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【特集】“3度の暴落”から“トランプラリー”へ、株探記事で振り返る2016年(前編)<年末特別企画>

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
―暴落に始まり英EU離脱ショックに揺れた2016年前半―

 2016年の株式市場は、年初からの大幅下落、6月の英EU離脱ショック安、11月のトランプショック安という3度の苦難を乗り越えて、日経平均株価は12月に年初来高値を更新。年足では5年続伸、5年連続陽線となり、2017年の株式市場にも期待がかかります。

 株価は未来を織り込むものであり、株式投資において大切なのはこれからの景気動向、これからの利益です。しかし、未来が過去の上に築かれるものである以上、2017年を知るためには2016年を知らねばなりません。いよいよ2016年が終わるにあたり、この1年間の株式市場の動きを、株探の記事とともに振り返ります。


● 呆然の1月、下がり続ける日経平均
 1月4日大発会の日経平均は582円安。翌日以降も下落は止まらず翌週まで6日続落で、6日間の下げ幅は1814円にも達し、お屠蘇(とそ)気分はあっという間に吹き飛ばされてしまいました。“大発会からの大幅安”といえば、1990年のバブル崩壊が思い出されるところ。市場関係者の中には、背筋に冷たいものが走った方もいたようです。

 この下げ相場入りを事前に予想し、2016年前半に大きく注目を浴びたのが人気連載「富田隆弥の【CHART CLUB】」。新春スペシャル版で、「日経平均株価の週足チャートはすでに崩れて」いるとし、下値のメドを「1万5967円」と「1万3790円」と打ち出しました。日経平均はその後、1月20日に632円安、翌21日に398円安と2日間で1000円超下落し、この月の安値となる1万6017円をつけました。富田氏の示した下値メド「1万5967円」はほぼ的中だったと言えるでしょう。

 株探トップ特集では「大波乱相場の『真相と行方』、最新見解」、「“逆オイルショック” 嵐の外国人売りはいつ止まる?」などの記事で、下落相場の背景を追跡。外国人売りについては、2016年前半の下げ相場の最大の要因となっており、この後も海外投資家の動向を繰り返し特集していくことになります。


● 底打ちの2月、連続する崩落とリバウンド
 1月安値1万6017円をつけたあと、日経平均は自律反発で2月1日に1万7905円まで上昇。しかし後になって振り返ると下落相場途中のアヤ戻しに過ぎず、その後にセリングクライマックスを迎えることになります。

 日経平均は2月9日に918円安、10日に372円安、建国記念日の祝日を挟んだ12日に760円安と、3日間で2051円下落する大暴落。株探トップ特集の「非常事態“1万6000円割れ” 市場の見方」、「“パニック売り”東京株式市場、負の連鎖いつまで?」 (1) (2) (3)は記録的なアクセスを集めることとなりました。日経平均は12日に1万4952円まで下落したものの、週明けの15日には1000円超の猛烈な反発で1万6000円台を即座に回復。暴落と猛反発という組み合わせはその後、何度も繰り返され、投資家の闘争心にダメージを蓄積していくことになりました。

 さて総悲観の底では得てして、株式市場の次代を担うテーマが育っているものです。戻り相場の始まった24日に配信した「時代が変わる、株価が動く ― 最強テーマ『フィンテック&AI』急動 <株探トップ特集>」は、人工知能(AI)という人類にとっての大テーマを扱い強い注目を集めることになりました。株探ではこの記事を手始めに、以後、AIの発展と半導体需要の増加というテーマを追い続けることになります。


● 雪解けの3月、マザーズ市場の久方の春
 “厳冬”出発となった2016年の株式市場でしたが、3月は春の陽気に照らされた相場展開となりました。日経平均こそ1万7000円を挟んだ気迷い相場が続きましたが、AI関連フィンテック関連などの新興銘柄に資金が流入。前年の高値からははるか下の水準に沈んだ日経平均をよそに、マザーズ指数は前年の高値を更新しました。株探トップ特集では「7ヶ月ぶり高値、復活『マザーズ市場』の業績好調株」を配信、翌月にかけてマザーズ指数が2007年以来の高値をつける動きを捉え、数々の有望株を紹介することに成功しました。

 また、テーマ株の中で最も人気を集めたバイオテクノロジー関連株については、「急騰劇相次ぐ、バイオ株繚乱! <うわさの株チャンネル>」、「2倍3倍続出『バイオ株』、次なる“変貌候補” <株探トップ特集>」などの記事が大変な数のアクセスを集めました。


● 気迷いの4月、止まらない外国人売り
 マザーズを中心とした新興市場の盛り上がりが4月も継続する一方で、日経平均は新年度入りの4月1日に再び急落。この日に配信した株探トップ特集「衝撃の新年度“594円安”、緊急調査『東京市場に何が…』」、6日に配信した「追跡『外国人売り』、リーマン危機超える“5兆円売り”全背景」は大きな注目を集めました。後者の記事では海外勢が買い増した銘柄もリストアップ。そこにはバイオ関連や民泊関連銘柄が含まれ、盛り上がる新興株買いの背景の一端がうかがえるものとなりました。

 この月は、月末の日銀金融政策決定会合に向けて、追加緩和への期待が高まっていました。27日配信の「日銀“異次元ETF買い”で上がる株 <株探トップ特集>」はETF買い入れ枠拡大の可能性を先取りしたものの、この時は見送りに。翌日の「日銀、動かず――“624円ショック安”市場の見方 <株探トップ特集>」、「1ドル『100円割れ』視界、“日銀ショック”後の世界 <株探トップ特集>」へとつながって行きました。ETF買い入れ枠拡大はその後、7月に決定され、年後半の上昇を後押しすることになりました。


● 煮詰まりの5月、立ち込める暗雲
 5月の日経平均は、前月の緩和見送りの影響により大幅安でスタートしたことで、1ヵ月単位でみれば上昇となりました。しかし、3月4月と大幅に上昇してきたマザーズ指数がダブルトップを形成。主力大型株の株価も低迷するなか、新興株も調整ムード濃厚となり、いよいよ相場は手詰まり感の強いものとなっていました。こうしたなか、【杉村富生の短期相場観測】では「日米市場ともに目先は正念場を迎える!」と警鐘を発し注目を集めました。買い手がかりに欠ける一方で外国人売りは止まらず、市場には徐々に手詰まり感が広がっていきました。


● 嵐の6月、歴史的選択に揺れる
 2016年6月は後世、歴史の転換点として記憶される月となる。多くの方がこの時、そう感じたことでしょう。6月23日に投票が行われる英国のEU(欧州連合)離脱を問う国民投票は、残留派が優勢と5月までは信じられていました。英国がEUから離脱した場合、経済に与える悪影響の大きさはもちろん、第二次世界大戦後の欧州統合の理念にすら反することとなり、こうした状況で離脱派が勝利することなどありえない。それが大方の予想でした。

 しかし6月13日、初めの“ショック安”がマーケットを襲います。「日経平均『582円安』、英EU離脱懸念と株安の行方」(1) (2) (3) 、そして16日の「崩落の日経平均『485円安』、外資系“売り攻撃”と反転の日 <株探トップ特集>」は離脱派優勢の見通しと市場の動揺を伝えています。

 後から振り返れば小さなものだったこれらの“ショック安”のあと、再び残留派が優勢との観測が大勢となり、日経平均は反発に向かいます。そして迎えた運命の24日、開票速報が伝えた結果はEU離脱派の勝利。「“英EU離脱”ショック直撃、東京市場の明日を読む <株探トップ特集>」は始値が1万6333円、終値が1万4952円だったこの日の様子を克明に記しています。もっとも売られ過ぎにはリバウンドがつきもの。数日後には「下げ過ぎ日本株、英EU離脱と“無縁”の『特選リバウンド候補』 <株探トップ特集>」を配信。「総悲観は買い」は、2016年を通じて有効な相場格言だったのではないでしょうか。

 日経平均は英EU離脱ショック安のあと、徐々に上昇に向かうことになります。しかし、投資家が受けた傷は深く売買高は低下。その後の上昇相場において、多くの投資家がおっかなびっくりで参戦をためらったのは、年初から6月の手痛い経験も影響していたでしょう。

 欧米で重要な投票が行われ、開票が日本時間の昼間に行われる場合、そこで起きたサプライズを受け止めるのは東京株式市場となる。このとき私たちは、この図式を年内にもう1度味わうことになるとは思ってもいなかったのでした。


<後編>に続く


★2017年元旦~3日に、<新春お年玉企画>など「新春特集」を“21本”配信します。ご期待ください。
       →→ 「新春特集」の記事一覧をみる

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