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【特集】大波乱相場の「真相と行方」、最新見解 <株探トップ特集>

日経平均株価の日足チャート 「株探」多機能チャートより

―昨秋チャイナショック下回る日経平均、関係者はこう見る―

●大局支配する悲観ムード

 週明け18日の東京株式市場は、リスク回避の流れが一段と加速し日経平均株価は寄り後早々に前週末比482円安の1万6665円まで売り込まれる展開となり、昨年9月29日につけた取引時間中の安値1万6901円を大きく下に抜けた。年初からの波乱相場は依然として収束する気配がなく、投資家の不安心理を煽っている状況だ。

 中国経済の先行きに対する懸念とそれに付随した人民元安や上海株市場の急落、昨年来下げ止まらない原油市況に対する警戒感、さらにリスクオフの流れを象徴する円高など、悪材料が複合的にリンクする格好で容易に反騰相場への糸口がつかめず、悲観ムードが大局を支配している。

 大方の想定をはるかに超える地合悪は果たしてどこまで続くのか。改めて市場関係者の意見を集めると、トレンドには逆らえないという率直な感想はあるものの、一方で行き過ぎた下げとの感触を強く持っていることがうかがわれる。そこには今の相場の下げは経済実態よりも需給的な要素が浮き彫りとなっている可能性が高いことが示唆されている。

●買い方に不利な条件多いが…

 松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は、現在の相場の弱気トレンド形成には2つのポイントがあるとする。

 まず、昨年12月の日米欧の金融政策が一つの転機となったという見方だ。「昨年12月は初旬にECBが追加緩和に動いたが、これが小幅なものにとどまりマーケットの失望売りを誘った。さらに12月中旬は米国が予想通り利上げに動いた後、日銀が補完措置というかたちで緩和的な政策を打ったがこれも空振りに終わった。それまでは米利上げも日本と欧州の金融緩和で世界的な流動性は保たれるという暗黙のコンセンサスがあったが、これが崩れたことで買い方の根拠が希薄化した」という。その意味でも、今月28~29日に予定される日銀金融政策決定会合で追加緩和のカードを切るか否か、黒田日銀総裁の英断に期待が募るところではある。

 また、窪田氏は「(相場下落の要因として)原油安が下げ止まらないことが大きい。日本経済にはプラス要因とはいえ、経済面のプラスよりも産油国の政府系ファンドの売りなど株式需給面での直接的な売り圧力が強く意識されている」とみており、値ごろ感はあっても本腰を入れた買いが入りにくい現状を指摘している。

 一方、東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏は、中国の経済および株式市場に対する不安心理が払拭できないことが弱気心理を助長する最大の要因に挙げる。「週明けの東京市場は、本来ならショートカバーや押し目買いが入りやすい局面だが、明日(19日)に中国の15年10-12月期のGDPなど重要指標の発表を控えており、その結果を見極めるまでは手を出しにくいというのが実情だ。人民元安についてもジョージ・ソロスVS中国人民銀行のような構図となっているが、経済の現状をみる限り足もとは人民元の浮上が見込みにくく、この点もリスクオフに味方している」という。ただし、「(中国経済指標が市場予測を上回るなど)何かのきっかけがあれば買い戻しが一気に進む公算も大きい」(大塚氏)とみている。

●ヘッジファンド売りの影響大

 市場関係者の間では、全体相場は少し長い目でみれば買い場という見方も根強い。弱気筋の声だけを総合しても、年初からの動きはそれをオーバーシュートする下げに見舞われたといってよく、それだけ需給悪が際立った展開だったといえるが、その背景にはマクロヘッジファンドの売り仕掛けが大きなウエートを占めているとみられる。

 これについては複数の市場関係者が一様に指摘する“波乱相場の源泉”でもある。日経平均は昨年8月から9月末にかけての急落後、買い戻しを絡め11月末には2万円に回復する急回復を遂げたのも、ショートポジションを積み上げたファンド筋の買い戻しが足場となった経緯がある。

 そうしたなか「目先は悲観を煽る声が強いものの、相場は既に大底圏に達している可能性が高い」という見解を示すのはブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏だ。「今の下落相場は東京市場が固有の理由で下げているわけではなく、グローバルなリスクオフの流れが反映されたもので、早晩、実態面を見直すタイミングが訪れる。原油安、中国株安が続いても先進国市場はバランスを立て直せる」と強気の見方を示す。

 とりわけ、東京市場は先進国市場のなかでも企業収益との比較で売られ過ぎの是正余地が大きいという。企業収益については、為替の円高推移による影響などは為替予約の関係で16年3月期の業績予想へのダメージは極めて軽微であるといえるが、マーケットが気にする17年3月期の業績についても、馬渕氏は「ここからさらに急激な円高が進むならば話は別だが、増益基調が覆るようなことは考えにくい」とし、指標面からも上昇トレンドの復帰には十分な妥当性があることを指摘している。

●下値限界点近づく、戻りメドは見解に相違

 日経平均の下値メドについて、窪田、大塚両氏は1万6500円どころで一致している。また、馬渕氏は「きょう(18日)の安値が底になっても全く不思議はない」という見立てだ。

 上値メドについては窪田氏が「戻り売り圧力も強く、当面は1万8500円近辺が上限となりそうだ」としているが、馬渕氏は昨年9月末の安値からの戻り局面を引き合いに出し、「3月末までのタームであれば2万円台回復も十分視野に入る」という見解を示している。

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