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【特集】S&P500は7000ポイント超えへ、と見る3つの理由

トランプ、トレンド、TOPIX~3つの「T」の行方を読む~トレンド編
長田清英 東海東京インテリジェンス・ラボ チーフストラテジストに聞く~最終回


登場する銘柄
S&P500、東京海上<8766>、MS&AD<8725>、トヨタ<7203>、SBG<9984>、オラクル<ORCL>、メタ・プラットフォームズ<META>、マイクロソフト<MSFT>

第1回記事「FOMCに踊らず、アメ株は3つのトレンドに注目」を読む
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この記事を読む3つのポイント
1 テクニカルとアノマリーの面から見たアメ株
2 日本株の展望
3 半導体サイクルとAI銘柄急落の対応策

現地時間の1月29日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利の据え置きが決定されたことを受け、米S&P500種株価指数などの主要指数は軒並み下落した。

だが東海東京インテリジェンス・ラボの長田清英さんは、米S&P500種株価指数は、当面の高値として7000ポイントまで上昇する可能性があると見る。

米国のインフレ、特に影響の大きいサービス価格のインフレが収束に時間を要することは、FRB(米連邦準備理事会)が以前から示している。利下げ期待の剥落で株価が調整する場面はあっても、ファンダメンタルズ面からさらなる上値を期待できる理由を前回の記事で示した。

最終回は、テクニカルやアノマリー(経験則)などから上昇要因を見ていく。またアメ株の動向が日本株に及ぼす影響や、直近で市場の注目を集める「ディープシーク・ショック」に対する見解などを聞いた。

(聞き手は真弓重孝/株探編集部、福島由恵/ライター)

長田清英さんのプロフィール長田清英さんのプロフィール:
東海東京インテリジェンス・ラボ欧米株式市場担当執行役員兼投資戦略部長、チーフストラテジスト。国内大手銀行、および外資系金融機関で日本株のファンドマネージャーを経て、2011年に現在の所属企業に入社、18年4月より現職。欧米での勤務経験とキャリアを活かしグローバルな視点で株式投資戦略の立案を行う。


大統領選の「翌年」は9勝1敗、中間選挙は5勝5敗

―― 現在、6000ポイント程度のS&P500が7000ポイントまで上昇すると見る背景は?

長田清英さん(以下、長田): 判断材料としては、前回に紹介したファンダメンタルズ要因に加え、今回触れる主に3つの材料を参考にしています。これらは、主にテクニカルやアノマリー(経験則)、そして経済指標との連動性を基にしたものです。

まず1つ目として、多くの投資家が注目しているわかりやすいものに、
大統領選の翌年の勝率は高い、――というアノマリーがあります。

内容を見ると、S&P500の昨年末比のパフォーマンスについて、1973年のオイルショック以降では、大統領選以降、3回は連続で負け、つまりマイナスになっていますが、それ以降は好調です。

85年以降は、21年までに、「大統領選の翌年」に当たる年は10回あり、そのうち9回が勝ちとなっています。また、負けの年を含めた10回平均の騰落率は、約18%になります。

―― 直近の10回で9割が勝ちというのは、それだけの理由がある?

大統領選の翌年は、選挙の際の公約に基づいた景気拡大策が次々と打ち出され、これが発動するスタートの年であります。そのため、投資家の期待も高まりやすい。このことが、高い勝率に結びついているのでしょう。

ただし、大統領選の翌々年の中間選挙の年は、直近10回分で比べると、5勝5敗。やや勝率が下がることには注意が必要です。

■大統領選の「翌年」、および中間選挙の年のS&P500の騰落率と勝敗
大統領選の翌年中間選挙の年
9勝1敗5勝5敗
年間騰落率勝敗年間騰落率勝敗
1985年26.3%勝ち1986年14.6%勝ち
89年27.3%勝ち90年▲6.6%負け
93年7.1%勝ち94年▲1.5%負け
97年31.0%勝ち98年26.7%勝ち
2001年▲13.0%負け2002年▲23.4%負け
05年3.0%勝ち06年13.6%勝ち
09年23.5%勝ち10年12.8%勝ち
13年29.6%勝ち14年11.4%勝ち
17年19.4%勝ち18年▲6.2%負け
21年26.9%勝ち22年▲19.4%負け

出所:東海東京インテリジェンス・ラボ作成資料より『株探プレミアム』編集部再編成


1月が強ければ、年間を通して強い

―― 次の中間選挙は来年(2026年)となると、今年の終盤から来年にかけては注意が必要となりますね。足元で見ると、現時点でのS&P500の1月の騰落率は+2.7%です。

長田: 1月の騰落率では1月のバロメーターという注目されているアノマリーがあります。

これは、「ストック・トレーダーズ・アルマナック」の創刊者であるイェール・ハーシュ氏が提唱した考え方で、「1月がプラスで終わればその年の株式市場もプラスで終わることが多い」という経験則です。

S&P500の実績を見ると、1950年から2024年の75年のうち、1月が上昇した年は45回。この45回中、40回が年間のパフォーマンスがプラスで勝ちを修めています。勝率は89%と高く、全45回の平均年間上昇率も17%になります。

一方、1月が下落の年は、75年のうちに30回です。この30回のうち、年間成績がプラスだったのは14回となるため、勝率は47%とぐっと下がってしまいます。全30回の平均年間上昇率は▲2%と不調です。

1月にS&P500が勝って終えられるのか。多くの市場参加者が注目しているアノマリーであるため、これが達成できるか否かは、かなり重要です。もし勝ちとなれば、これも今年のアメ株相場の好調を支える、有力な材料となりそうです。

■S&P500の1月が「勝った年」と「負けた年」の結果(1950年~2024年)
1月の騰落上昇下落
① 回数45回30回
② 年間で上昇40回14回
上昇確率
(②÷①)
89%47%
平均騰落率17%▲2%

出所:東海東京インテリジェンス・ラボ作成資料より『株探プレミアム』編集部再編成


底値から次の高値までは2倍が目安

―― 2つ目の材料としては、どのようなものがありますか。

長田: S&P500の底値からの上昇率アノマリーとも言えるもので、長期視点で株価の底値と高値の上昇率の"癖"を見ると、S&P500の当面の高値の目安は7000ポイント程度となると想定しています。

その内容は、次のとおりです。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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