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【特集】日経平均「582円安」、英EU離脱懸念と株安の行方 (1) <株探トップ特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―日米で金融会合控え不安定な地合い続く―

 週明けの東京株式市場は再びリスクオフの大波が押し寄せ、急激な下げに見舞われている。23日の英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を前に、事前の観測では離脱派優勢と伝わったことが世界株安の引き金となった。ただでさえ今週は日米の金融会合を控え、ボラティリティが高まりやすかったが、当面は不安定な地合いを余儀なくされそうである。第一線で活躍する市場関係者に今後の見通しを聞いた。

●「1万6000円近辺は積極買いで」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 きょうの東京株式市場は、英国のEU離脱懸念を背景としたリスク回避ムードに流され、売りが噴出したかたちだ。しかし、明らかに行き過ぎた下げとみている。4月末から5月初旬にかけての急落から立ち直ったかに見えた東京市場だったが、ここにきて再び海外ヘッジファンドのイベントドリブン型の仕掛けに振り回された格好。お決まりの為替のドル安・円高を絡めた売り崩しに、今の市場エネルギーでは対抗しようがない。

 英国のEU離脱が仮に現実化したとしても、もともとユーロ圏の通貨統合には参加しておらず、大方でハヤされるほどの金融市場へのネガティブな影響は出ないとみている。ただ、離脱の場合はポンド安、ユーロ安が一段と進むことが想定され、これに付随した円高の進行には警戒が必要だ。

 14~15日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げは見送られる可能性が高く、これはマーケットも織り込み済みで無風通過だろう。一方、15~16日に行われる日銀の金融政策決定会合では追加緩和をやるかやらないかを予想するというよりは、「やらなければしょうがない」というのが個人的な見解だ。公言してきた物価上昇率2%達成には遠く及ばない状況で、躊躇する理由が見当たらない。また、マイナス金利幅の拡大といった手法はマーケットが拒絶反応を示すことが分かった以上、封印するのが妥当。ETFとREITの買い付け枠拡大など、ドラスチックな量的緩和で対応するのが日銀の義務だ。

 日銀が16日に追加緩和に踏み切った場合、一般的にはサプライズとして受け止められ、日経平均株価は1万7000円台を通過点に水準を切り上げていく上昇トレンドとなる。しかし、仮に見送ったとしても、基本的には1万6000~1万7000円のボックス相場が続くとみている。したがって1万6000円以下はイレギュラー水準で、投資家にとっては絶好の買い場提供と考える。指数に連動する時価総額の大きい主力銘柄、もしくは単刀直入に日経平均ETFを買いに行くのも一法だ。

 23日の英国の国民投票の結果を確認する前に糸を出し切るような買いは避けるべきだが、中期的スタンスに立ってバリュエーションなどを考慮した場合、1万6000円近辺で拾った株が報われないということは考えにくい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。1988年~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。 2000年から東洋証券に入社し現在に至る。


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