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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─金融セクター、暗号資産関連がメーン!

経済評論家 杉村富生

「金融セクター、暗号資産関連がメーン!」

●暗号資産はトランプ政権の戦略商品に!

 マーケットはトランプ次期政権(ドナルド・トランプ氏は2025年1月20日に、第47代アメリカ大統領に就任予定)の発足に身構え、脅えるとともに、彼の政策を先取りし、積極的な投資行動を行っている。いわゆる、「トランプラリー」である。

 ちなみに、第1次トランプ政権下の2016年には保険、証券、銀行などの金融セクターが真っ先に買われた。財政出動、規制緩和、金利上昇を好感したのだ。今回はどうか。すでにアメリカン・エキスプレス<AXP>、JPモルガン・チェース<JPM>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>などが物色されている。

 半面、ハイテク系は分が悪い。21日の市場の動きを見ると、エヌビディア<NVDA>が伸び悩み、悪材料出現のアルファベット<GOOG>は急落した。第1次トランプ政権の後半がそうだったように、貿易摩擦が激化、輸出関連株は「当面、手掛けづらい」と、機関投資家は考えているのではないか。

 一方、トランプ次期政権の戦略商品と目されている暗号資産(仮想通貨)ビットコインは連日のフィーバーだ。21日には9万9073ドルまで上昇、10万ドルの大台に迫った。新政権は1981年1月発足のレーガン政権のAI(人工知能)業界のデファクト・スタンダード(事実上の国際標準)獲得戦略にならって暗号資産の覇権を目指しているのだろう。

 人気を集めているのはコインベース・グローバル<COIN>、ロビンフッド・マーケッツ<HOOD>、ブラックロック<BLK>、マイクロストラテジー<MSTR>、テラウルフ<WULF>、ペイパル・ホールディングス<PYPL>など。ブラックロックの暗号資産ETF(上場投資信託)は残高が激増しているが、日本の証券会社では買いづらい。

●全般相場は基本的に様子見姿勢!

 日本企業ではマネックスグループ <8698> [東証P]、セレス <3696> [東証P]、GMOインターネットグループ <9449> [東証P]、SBIホールディングス <8473> [東証P]、LINEヤフー <4689> [東証P]などが暗号資産関連とされている。日本には29の交換業者(10月末)が存在する。

 金融セクターではみずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]、SOMPOホールディングス <8630> [東証P]が強い。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]は7月5日の高値1849.5円奪回後に上げ足を速めることになろう。

 大和証券グループ本社 <8601> [東証P]、野村ホールディングス <8604> [東証P]の“両雄”は出遅れが著しい。ともにPBRは1倍割れだ。これはちょっと問題ではないか。野村ホールディングスのPBRは0.83倍だが、7-9月期のROE(株主資本利益率)は11%を超えてきた。筆者の試算ではPBRの妥当値は1.39倍になる。

 日本製鉄 <5401> [東証P]のPBRは0.60倍だ。USスチール<X>の買収問題、米中貿易摩擦(行き場を失った中国鋼材がアジア市場に流入する?)などのリスクがあるものの、株価は安い。まあ、積極的に買う気にはならないが……。関税が不透明な自動車セクターも同様である。

 全般相場については上値の重い展開が続いている。トランプ次期政権のネガティブな政策(外交、通商、移民など)面が世界的に嫌気されているほか、日銀は12月18~19日の金融政策決定会合において、0.25%の利上げに進むだろう。円安に対し、為替介入はトランプ氏の反応が怖い。とすれば利上げしかない、と思う。

 まあ、再三指摘しているように年末~年始相場はアメリカ新政権の出方(政策)次第だろう。当然、様子見姿勢が強くなる。内外の機関投資家は休暇だ。このため、総論にこだわらず、個別銘柄対応の投資戦術が有効、と主張している。業種的には金融セクター、テーマ的には暗号資産がメーンだろう。

2024年11月22日 記

株探ニュース

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