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【特集】日経平均「582円安」、英EU離脱懸念と株安の行方 (3) <株探トップ特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―日米で金融会合控え不安定な地合い続く―

 週明けの東京株式市場は再びリスクオフの大波が押し寄せ、急激な下げに見舞われている。23日の英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を前に、事前の観測では離脱派優勢と伝わったことが世界株安の引き金となった。ただでさえ今週は日米の金融会合を控え、ボラティリティが高まりやすかったが、当面は不安定な地合いを余儀なくされそうである。第一線で活躍する市場関係者に今後の見通しを聞いた。

●「きょうの急落で懸念材料の株価織り込み進む」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 きょうの日経平均株価の急落は、前週末10日に世論調査の結果から、英国のEUからの離脱の是非を問う国民投票に関する警戒感が強まり、欧米株式市場が軒並み大幅安となったことが背景にある。さらに、欧州経済への先行き懸念からユーロ安・円高、ドル安・円高が加速して、円相場が一時、1ドル=105円台後半へと上昇したことが株価下落に拍車を掛けた。

 日経平均株価の大幅下落で、今週相次いで開催される日米の金融政策決定イベントで想定される「現状維持」の内容がある程度織り込まれたとの見方もできそうだ。ただ、来週23日に予定されている英国のEUからの離脱を問う国民投票の結果が実際に明らかになると新たな反応が起きる可能性もある。

 東証1部市場は、株価指数先物主導で売り仕掛け的な動きとなっているが、これまでリスク回避の動きから比較的堅調な推移をみせていた中小型株や、マザーズ市場など新興市場銘柄も売られているのは気に掛かる。今後日本は、参院選に突入するため、政策面での動き難さもあるが、7~8兆円規模の財政出動などを前倒しで実施するといった積極策が必要な時期にきているのではないか。

 個別銘柄では、スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> に注目。今期は「FF15」など大ヒットコンテンツの寄与で好調な業績推移が予想されている。さらに、現地14日から開催される米国のゲーム見本市「E3」でも注目を集めそうだ。

 検体検査機器や試薬を手掛けるシスメックス <6869> は、これまで実績を積み重ねてきた中国での事業が収穫期を迎えており、利益貢献が見込まれる。また、円高の逆風環境にありながらも、独自の商品力に伴う付加価値の高さで利益の拡大が見込まれる。

 保土谷化学工業 <4112> は、有機EL材料を手掛けており、国内外の代表的なパネルメーカーに材料を提供している。正孔輸送材、電子輸送材を開発、有機ELの長寿命化、高耐久性を実現している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。


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