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【特集】日経平均「582円安」、英EU離脱懸念と株安の行方 (2) <株探トップ特集>

西川雅博氏(光世証券 執行役員)

―日米で金融会合控え不安定な地合い続く―

 週明けの東京株式市場は再びリスクオフの大波が押し寄せ、急激な下げに見舞われている。23日の英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を前に、事前の観測では離脱派優勢と伝わったことが世界株安の引き金となった。ただでさえ今週は日米の金融会合を控え、ボラティリティが高まりやすかったが、当面は不安定な地合いを余儀なくされそうである。第一線で活躍する市場関係者に今後の見通しを聞いた。

●「英国のEU離脱などさらなる混乱なら先進国の協調した市場安定化策を想定」

西川雅博氏(光世証券 執行役員)

 5月の連休明けから膠着状態が長かった日本株だが、ここにきて下落圧力が強まっている。日経平均株価のテクニカルで見ても、1万6600円台近辺の狭いレンジに収れんしていた5日から100日くらいの移動平均から日々線が大きく逆カイ離する動きであり、注意が必要だ。

 当面の株式市場は、日米の金融政策決定会合、英国のEU離脱国民投票など消化困難な重要日程を控え、神経質な展開にならざるを得ないであろう。5月の米雇用統計を受け、イエレン議長が6月の利上げ見送りを示唆し、市場の関心は7月以降の利上げ有無に移っている。6月の雇用統計で雇用者数が大幅増になれば、7月利上げの可能性が残されているとは言え、単月で再び利上げ判断に傾くにはハードルが相当高くなったと考える。

 一方、足もとで円高・株安の流れが強まっており、日銀の追加緩和の可能性は従来よりも高まっている。ただ、コンセンサスは依然今月も見送りとの見方が大勢であり、追加緩和の発表が無かったとしても、極端な失望売りにはつながらないのであろう。

 仮に、英国のEU離脱など市場がさらに混乱した場合には、日本のみならず先進国は協調して市場安定化策を打ち出すことも想定される。

 大きなレンジ相場は継続するとみて、ここから7月に向け、押し目は積極的に対応したい。下値のメドとしては、4月8日の1万5471円と2月12日の1万4865円あたりが意識される。セクター別では、為替反転期待から下げの大きい自動車電子部品など主力銘柄の逆張り狙いと、財政出動期待で不動産建設など。個別ではカシオ計算機 <6952> 。

(聞き手・加藤智)

<プロフィール>(にしかわ・まさひろ)
1960年奈良県生まれ。1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当。


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