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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「リーマン前に似るチャートは何を語る?」

株式評論家 富田隆弥

◆メジャーSQ(10日)を前に日経平均株価は乱高下。とはいえ、チャート的には1万6500~1万7000円処を中心とするもみ合いで、ここには政策的なPKO色がプンプン臭っている。日銀は6月(6月9日現在)になりETF買いを5回(立会日数7日)実施し、年金資金を扱う信託銀行は6月第1週まで5週連続で買い越している。先月はサミットを控え、そして今月はボーナス資金獲得と参院選を睨み、何が何でも「下げさせない」ということだろう。

◆イエレンマジックでNYダウが切り返し、原油価格も51ドルまで回復するなど欧米市場は堅調が目立つ。だが、日本株の上値は重い。為替(ドル円)は111円を戻り高値に再び軟化し、直近106円台。為替チャート(週足)は円高基調のままで「100円指向」の流れが続く。

◆そして、日経平均は「下値抵抗線注視」の状態が続く。週足を見ると、昨年のダブルトップから10月にかけて陰転、12月のアヤ戻り高値から今年2月まで二段下げ、そしていまジリ高の踊り場にあり、26週移動平均線(1万6920円処)に近づく。こうした流れはサブプライムショックのあった「07~08年」当時とウリ二つで、08年は6月に26週線まで戻して頭打ちとなり、そこからリーマンショックが始まった。そう、安倍首相の言う通り、チャートはいま「リーマン前と似た状況」にある。

◆参院選まで堅調相場を演出したい政府当局。海外や為替に波乱がなければ1万7000円台に戻す可能性はあるものの、日本株でカギを握るのは外国人投資家だ。サミットが終わり、円高が始まった。6月SQを通過し、ここから彼らの動向が気になる。そして日経平均は、ここからの崩れ(下値抵抗線割れ)に細心の注意が必要となる。

(6月9日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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