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【特集】超大型IPO「LINE」ついに登場、総力取材“株価の行方”<株探トップ特集>

市場の話題となり続けてきた「LINE」が、ついに株式上場を果たす

―東証・NY同時上場に戸惑いと期待―

 無料通信アプリ大手「LINE <3938> 」がついに株式上場を果たす。同社は10日、東証とニューヨーク証券取引所(NYSE)に同時上場することを明らかにした。LINEはその上場を巡り、2年強にわたり株式市場の話題となり続けてきた。上場時の時価総額6000億円弱の超大型IPOが今夏実現するわけだが、NYSEへの上場が7月14日と日本に先行する形となるなど異例のIPOとなる。

●時価総額6000億円弱と今年最大規模

 LINEは東京証券取引所とニューヨーク証券取引所(NYSE)に同時上場する。ジョイント・グローバル・コーディネーターは野村証券、モルガン・スタンレー証券、ゴールドマン・サックス証券、JPモルガン証券。東証への上場は7月15日の予定。想定発行価格の2800円から弾いた上場時の時価総額は約5880億円となり、今年最大の超大型IPOとなる見通しだ。調達資金は、海外市場での知名度向上を図る広告や営業戦略の強化などに向ける予定だ。NYSEにはADSでの上場となり、日本に先行して7月14日の公開となる。

 LINEは、韓国のインターネット大手ネイバーの日本子会社。11年に無料通話アプリの提供をスタートし、日本や台湾、タイを中心に世界の月間利用者数は2億1840万人(今年3月末現在)に達している。この日は、LINEの株式上場の報道を受け関連株が急伸。アドウェイズ <2489> [東証M]が一時前日比19.8%上昇したほか、GMO TECH <6026> [東証M]、ユナイテッド <2497> [東証M]、エムアップ <3661> 、イマジニア <4644> [JQ]、ネットイヤーグループ <3622> [東証M]などが買われた。前日に韓国メディアがLINEの上場見通しに否定的な報道を行い、関連株が下落していたこともあり、この日の上場報道を受け一転、堅調な値動きとなった。

●海外競合企業に出遅れ感、新規市場の開拓が急務に

 アドウェイズは、LINEと代理店契約を結びLINEフリーコインを販売しているほか、GMO TECHはLINE上で使える仮想通貨「LINEフリーコイン」を販売。エムアップはLINEスタンプを提供、メディア工房は「LINE占い」に占いサイトを提供している。

 市場の注目度の高いLINEの上場だが、市場には「成長期待が強い無料通信アプリ大手の登場であり、市場の人気を集める」(証券会社営業担当者)との見方がある一方で「旬の時期が過ぎてからの登場となるのでは」(ファンドマネジャー)と懸念する見方もある。「株価も急上昇というより、そこそこの値動きとなる可能性も」(同)とも予想する。

 海外市場では、米国の「ワッツアップ」の利用者数が10億人、「フェイスブックメッセンジャー」が9億人、中国の「ウィーチャット」が約7億人となっており、LINEの利用者数は海外大手に比べ見劣りする。それだけに、今回のIPOによる海外での知名度向上と利用者数の拡大が最重要課題となる。

●NYSEに7月14日先行上場、日米市場の株価形成に関心

 一方、LINEの上場を巡っては韓国親会社が優先株の発行を求めているという観測もあった。しかし、優先株の上場はなく懸念要因のひとつは薄れた格好だ。加えて、市場で注目されているのがNYSEと同時上場となる点だ。この点に関しては、「米国は上場企業に関する規制は強くコスト高となる懸念があるほか、情報開示をどうするのか」(アナリスト)といったことを気にする声もある。

 また、あるファンドマネジャーは「日本に先行してADSをNYSEに上場する格好となったが、米国が株価形成でのメーンの市場となるのかどうか気になる」という。IT関連株の人気が高い米国市場の方が値を上げやすい一方、類似企業が多い中、全体のなかに埋没する可能性もある。さらに、米国と日本の株価に差が生まれないかも懸念されている。ただ、NYSEとの関係では「結局、日本での出来高が大きくなることが予想され、東京市場メーンでの株価形成となるだろう」(準大手証券)との見方も出ている。

 いずれにせよ、さまざまな期待と思惑を胸に来月、ついにLINEがその姿を株式市場に現すことになる。


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