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【特集】窪田朋一郎氏【迫る英離脱投票、“その後”のシナリオ】(1) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 週明け20日の東京株式市場は、英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の情勢で、残留派が盛り返していると伝えられているのを手掛かりに買い戻しが優勢となり、日経平均株価終値は、前週末比365円64銭高の1万5965円30銭と大幅続伸した。しかし、情勢は残留と離脱の支持が極めて拮抗しており、文字通りフタを開けるまで分からない状況が続きそうだ。英国の国民投票に関連しての今後の株価、円相場の見通しを第一線の市場関係者に聞いた。

●「EU離脱なら2月安値意識、残留なら1万6500円」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 今週は英国EU離脱の是非を問う国民投票を前に為替市場を絡めて上下にボラティリティの高い展開を余儀なくされそうだ。ただ、国民投票の結果が判明する前(特に23日)は流動性が欠如するなかで、株価は上にも下にも行き過ぎる可能性が高いため、急激な下落、あるいは上値を大きく伸ばした場合は、それに逆行する売り買いで反動を取るという手法もありそうだ。

 国民投票を経て、仮に英国がEUを離脱した場合は、為替で1ドル=100円ラインの攻防、日経平均は1万5000円を割り込み、今年2月12日の安値(ザラ場ベースで1万4865円)を視界に置く展開を予想している。一方、EU残留が決まった場合は1ドル=107円台への円安局面を想定し、つれて日経平均も25日移動平均線の1万6500円近辺へとカイ離を埋める上値指向を予想する。

 また、この重要イベントを通過した後は、日経平均が短期的に上下どちらに振れても、相場のトレンド自体が大きく変わってしまうということはなく、“往って来い相場”の形で結局はボックス圏もみ合いに収れんしてくる可能性が高いとみている。

 EU残留となった場合は、リスクオフの象徴だった円買い圧力が緩和するため輸出関連株、例えば為替感応度の高いトヨタ自動車 <7203> などには有利な流れとなりそうだが、既に外需セクターで上値を試している株も多く、好材料を抱えた銘柄やファンダメンタルズに対して割安な銘柄など、あくまで選別買いのスタンスが必要となろう。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウオッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。


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