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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 勝負どころはいつか

株式評論家 植木靖男

「勝負どころはいつか」

●定石崩れるも、フシ形成近づく?

 東京株式市場は急落商状をみせている。あたかも底が抜けたかのようだ。

 株価は通常、下げ始めてから5~9日間でいったん下げ止まり、フシを形成することが多い。

 今回、6月15日に定石通りに反発、フシ形成を期待したが、時を経ずして早くも翌日には崩れ去ってしまった。先安懸念を痛感させられる一幕となった。

 注目された日銀の金融政策決定会合での緩和見送り。この効果は大きかった。追加緩和を期待していたのは僅か20%ほどといわれるが、株価下落途上での緩和見送りは、一気に円高を促し、株価を急落させてしまった。まさしく“盗人に追い銭”的結果になった。

 もっとも、マイナス金利の深掘りを気にしていた金融株の投資家はほっとしたに違いない。

 では、今後の株価はどういう経路を辿るのであろうか。

 直近高値からの下落は既にいつ下げ止まってフシを形成してもおかしくない日柄にあるのは言うもでもない。

 水準から見て先の2月安値1万5000円処はもう目の前にある。また為替面でも、ついに103円台に突入。市場が最悪のケースと予想する100円処も遠くはないようにみえる。

●焦点は英国民投票、勝負の判断難しく…

 このような情勢から、“株安・円高”を仕掛ける側からみると、ここで一気に煽って1万5000円割れ、100円突破を狙うか、深追いしないよう、いったん様子をみて抵抗勢力の力量を量るか、いわゆる見切りをどうするかを考える局面かもしれない。

 折しも、6月17日週末の日本株は、NY株が6日ぶりに反発したこともあって上昇している。ひとフシ形成するきっかけとなるか。

 週明けさらに続伸するようであればフシ形成となって、そのまま6月23日の英国の国民投票を迎える公算もあろう。

 であれば、次の攻防のステージは英国のEU離脱の是非を問う国民投票の結果を見てからとなろう。

 投票の結果大勢が明らかになるのは日本時間24日の昼頃といわれている。つまり週末の後場である。先進国では唯一日本市場がその結果の洗礼を受けることになる。

 仮に結果が離脱となっても、市場から見れば既に売るものは売っているので、一時的に株価は大きく下がっても長続きしないとみられる。しかも日米欧の主要中央銀行は市場安定に向けて一斉に動き出すはず。

 となると、1万5000円割れ、100円突破を狙うのは案外難しいかもしれない。

 であれば、無理を承知で週明け一気に勝負を仕掛けるか、あるいは勝負を先に延ばすか、この見切りは難しい。

2016年6月17日 記


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