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【特集】崩落の日経平均「485円安」、外資系“売り攻撃”と反転の日 <株探トップ特集>

2月以来約4ヵ月ぶり安値に沈んだ東京株式市場

―日銀緩和見送り合図に売り仕掛け、リバウンドは近い?―

 きょう16日の東京株式市場では日経平均株価が急落、一時前日比500円を超える下げで1万5400円を割り込む波乱の地合いとなった。大引けは485円安と若干下げ渋ったものの、1万5434円で着地し、年初来安値をつけた2月12日以来約4カ月ぶりの安値圏に沈んでいる。日経平均は週明け13日にも582円安の暴落をみせており、6月は大方の予想を上回る大荒れ相場の様相を呈している。

 きょうは後場取引開始前に日銀が金融政策の現状維持を決定、これに為替相場が急激に反応し1ドル=104円台に突入、リスクオフモードに陥った後場の東京株式市場は売り一色の状況となった。その後さらに円買いが進行し、一時104円割れ寸前と前日比変動幅2円を超える強烈な円高が進行したことで、日経平均も下げ加速となった。果たして、この波乱相場は市場関係者の目にどう映ったのだろうか。

●3段構えのイベントドリブン

 今週は、14~15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と15~16日の日銀の金融政策決定会合という日米2つの金融会合を控え、ボラティリティを高めたい投機筋にとっては為替を絡め絶好のチャンスともいえた。事前の予想として日米ともに金融政策の据え置きは半ば織り込まれ、サプライズ的要素には乏しいが、何といっても来週23日には英国のEU離脱の是非を問う国民投票を控えており、いわば3段構えで重要日程が続く。しかも、この国民投票がEU離脱か残留かどちらに転ぶか皆目見当がつかないという状況にあり、イベントドリブン型の仕掛けにはこれ以上ないお膳立てが施されていたといってもよい。

 市場では「ここゴールドマン・サックス(GS)など外資系がTOPIX型の先物売りを継続しており、全体下げ相場を主導した」(国内準大手証券)と指摘している。市場エネルギーに乏しい東京市場で機械的なこの売り圧力がボディーブローとなっていることは確かなようだ。もっとも、GSの先物売りの正体は「最少分散投資を行う海外の大口投資家でポートフォリオのリスクヘッジを目的とした売り」(同)が主流とみられている。最少分散投資とは銘柄の組み合わせや、組み入れ比率の変更で株式ポートフォリオ全体の価格変動リスクを抑制する投資手法だ。相場が波乱含みとなれば、ヘッジ売りなどボラティリティを低下させるためのアクションを起こさなければならない。

 したがってGS経由の先物売りはヘッジファンドによる売り仕掛けの要素は小さいが、「問題はこの動きが、純粋な空売りでショートポジションを積み上げる“売り方”に利用されやすいことだ」(同)という。仕掛け的な売りでボラティリティを高めれば、それが必然的に増幅され、労せずして下げは加速するという仕組みだ。

●国民投票前にリバウンドも

 今週の東京市場の波乱について別の市場関係者は「FOMCの利上げ見送り確認で売り乗せ、日銀の追加緩和見送りを確認したところで円買いに乗じた株売り本格始動という算段だったとみられる」(国内ネット証券大手)という。後ろには英国のEU離脱をかけた国民投票という大きなイベントリスクが控えている。「来週になってからでは日柄的に旨みがなく、今週のこのタイミングだからこそ安心して売れる」(同)という言葉には説得力があった。

 もっとも、前出の国内準大手証券マーケットアナリストは違った切り口で面白い見解を示す。「仕掛け的な売りには必ずその反動がある。23日の国民投票の結果が“離脱”ではなく“残留”となった場合を想定して、その通過を待たずに買い戻そうとする動きが必ず出てくるはず」と読む。そしてこう続けた。「英国のEU離脱が現実化すれば確かに大ごとかもしれないが、日本にとってはそうでもないかもしれない。震源地である英国の主要株価指数FTSE100より日経平均の下落率の方が大きいという現実を見れば、この歪みは過剰反応もしくは仕掛け的な売りが入っていることの証左。これは日経平均の急反騰というかたちで是正される可能性もある」。

 日経平均は5月末の戻り高値1万7234円から今日の引け値1万5434円まで、ちょうど1800円の下げ。ひとたび流れが変わればリバウンドの天井も高い。


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