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【市況】矢口 新のマーケット羅針盤 「Q&A:支持線や抵抗線、ロスカット、スリッページ」

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

●Q1:ロスカット・ライン。発注と同時に設定するロスカット・ラインはどこに設定するのが適切でしょうか?

 現在発注と同時に30銭(ドル円)で自動的にロスカット・ラインを設定しています。経済指標前など不確定な状況ではトレードをしていませんので、そのロスカット・ラインに引っかかることは今まで一度もなく、それよりも前の(例:売りを仕掛けて前回高値を更新するなど)優位性が解消された時点で、成行でロスカットをしています。

 何が起こるかわからないので、発注と同時に入れたいのですが、適切なロスカット・ラインの設定ポイントがよくわからない状態です。発注と同時に入れるロスカット・ラインは、優位性が解消されるポイントの5銭離れたところ、など場面によって変えた方がいいのでは? という感覚もありますが、いかがでしょうか?

●A1:ロスカットは、山越え確認で売ったのなら、「売りを仕掛けて前回高値を更新するなど」で、行うのが正解です。それを続けて下さい。

 これまで、ロスカット・オーダーが入らなかったのは、入らないところに入れていたからで、もっと近いところに入れていれば、付いたと思います。遠くに入れて付くと、大きな損失なりますので、それ以前に自らロスカットを行ったのが正解だったのです。

「何が起こるかわからないので、発注と同時にロスカット・オーダーを入れたい」というのは、正しいように聞こえますが、そうすれば、自らのオーダーが何かを起こすことにもなりかねません。つまり、ロスカットの所まで価格が動いて、その後、元に戻るのです。こういったことは、皆さんが考えている以上に普通に起きています。

 私は、ロスカットは必ずしなければならないと申し上げていますが、ロスカット・オーダーは入れない方が良いと申し上げています。オーダーを執行するのは業者です。大事なロスカットは、他人任せでなく、これまでの様に自分で行うべきかと思います。


●Q2:スリッページ。現在許容スリッページを0.3銭に設定してトレードをしています。約定することを最優先に考えるのであれば、許容範囲をなしにした方がいいのでは? と感じているのですが、いかがでしょうか?

●A2:許容スリッページを大きめに入れておけば、ほとんどの場合に約定できます。それでも約定できない場合には、諦めるのも1つの方法です。どうしても約定したい場合には、私などは突き抜けたところに指し値オーダーを入れるようにしています。例えば、10ビッド、11アスクの時に、13買い指し値のようなことです。それでも、通常は11で買うことができます。


●Q3:支持線や抵抗線の考え方。「レンジ相場での抵抗線や支持線は基本的に維持される方向に山越え・谷越えを確認してから仕掛け、支持線や抵抗線をブレイクした場合は直ちにロスカットしてトレンドに付く」という記載を本で読ませていただいたのですが、「基本的にはレンジ相場は維持される」という前提で捉えておいて大丈夫でしょうか?

 トレンド相場を取ろうという意識が先行していたため、支持線付近での売り、抵抗線付近での買いを繰り返し、結局多くのケースで反転(レンジ相場の維持)になって損をするという状況でした。(いきなりブレイクした時に大きくロスすることが怖いので、支持線と抵抗線の外側5銭程度で発注と同時にロスカット・ラインを今は設定している状況です)

●A3:支持線や抵抗線、他のテクニカル指標でのシグナルなど、すべては参考です。取り敢えずは機能すると考え、機能することを確認してから売買します。つまり、支持線から反発しかけてから買い、抵抗線から反発しかけてから売りです。先走りは禁物です。

 短期トレードで分足を用いる場合にでも、トレンドを知るために、週足、日足、時間足を確認し、大局的にはどちらの方向を向いているかを意識している方が、勝つ確率が高まると思います。

 ちなみに、私が見ている谷越え、山越えの波動は、移動平均線の13本~26本の動きに近いものです。ここに移動平均線の5本を組み合わせて、そのクロスを谷越え確認、山越え確認の参考にします。5本を使うのは、5本を入れていれば1~4までの短期の動きがすべて見られるためで、5本でなくてはならないという訳ではありません。それが13本と交わり過ぎると感じるようでしたら、21本にして下さい。すべて参考ですから、これが20本でも、26本でも、何の問題もありません。

 レンジ相場が煮詰まってくると、クロスが頻繁にでるようになり、その山越え確認、谷越え確認で売買すると、小さな損失がかさむようになります。こういった時には、一目均衡表の各線が近接していたり、ボリンジャーバンドがスクイーズになったりしています。三角保ち合いが煮詰まりつつあるのです。こういう時は、ブレイクするのを待って、抜けた方向につくのは、機能する確率が高いと言えます。


●Q4:推奨本。現在矢口先生の本を読ませていただいております。投資をしている友人から「ゾーン」という本を紹介してもらい、確率的な思考についてとても勉強になりました。短期トレードをする上で、この本は読んでおいたほうがいいという矢口先生オススメの本はありますでしょうか?

●A4:私は、いきなり実戦から入ったので、基本的に他人の本は読んでいません。一時、パンローリングさんが大量に投資関係の本を贈呈してくれましたが、会社をたたんだ時に、ほとんど読まずにいたものを、投資家の方々に差し上げてしまいました。

 おそらく、皆さん方のほうが、そういった本には詳しいかと思います。という訳で、その点に関してはお役に立てそうにありません。悪しからず。

2016年6月14日 記

矢口 新(やぐち あらた)
アストリー&ピアス、野村證券、グリニッジ・キャピタル・マーケッツ、ソロモン・ブラザーズ、スイス・ユニオン銀行などで為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤める。2002年5月株式会社ディーラーズ・ウェブ創業。2013年4月まで同社代表取締役社長。JTI(Japan Trading Intelligence)初代(2003-7年)代表。


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