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【特集】マザーズ先物“直前1ヵ月”揺れる中小型株の行方 <株探トップ特集>

そーせい <日足> 「株探」多機能チャートより

―全体相場不透明で消去法から人気継続も―

 東証マザーズ市場が激しい値動きを続けている。マザーズ指数はバイオ株人気にも乗り全体相場が軟調ななか、5月中旬まで上昇基調を続けてきたが、足もとでは一転波乱局面となっている。一方、バイオベンチャー株の急伸や急落などが関心を集めるマザーズ市場では、7月19日からついに「マザーズ指数先物」の取引が始まる。市場の高い関心を集めるマザーズ市場は今後、どう動き、先物はどのような影響を及ぼすのか。

●マザーズ指数は急伸後の下落基調、先行きに強弱感

 東証マザーズ指数は今年2月安値664から4月高値1230まで約85%上昇した。全体相場と逆行する形で値を上げてきたが、足もとでは同指数は一転、938まで下落している。マザーズ上昇の牽引役となったのは、そーせいグループ <4565> [東証M]などバイオベンチャーや、ゲームソフト「神の手」が注目を集めるブランジスタ <6176> [東証M]などだ。もっとも、急騰を続けたバイオ株などには、高値警戒感から調整局面にある銘柄も目立つ。こうしたなか、東証マザーズ銘柄の今後の展開に対しては、「物色人気は継続する」との声と「過熱感からの調整局面入り」との見方で強弱感が対立している。

●バイオ銘柄はセンチメント次第も「質」は向上

 東証マザーズの今後を探るうえでのポイントは、全体相場をどう見るかだ。マザーズ市場が人気化したのは春先以降だが、これは東証1部など大型株が円高進行などで手掛けにくくなった時期と一致する。市場関係者は「東証マザーズなど中小型株は、“消去法的”に物色された面がある」(中小型株アナリスト)という。それだけに「今後も円高基調が続き、全体相場の上値が重い状態が続くようなら最終的に中小型株に再度、物色のホコ先は向かう」(同)ともみられる。

 また、バイオベンチャー株は赤字企業が多く、株価は市場のセンチメント(心理)に左右される面が強いが、「そーせいのように高成長が期待できる企業が出てきており、バイオ企業は新たに成長産業として評価できる段階に入った」(薬品アナリスト)との見方も出ている。加齢黄斑変性治療薬「エミクススタト」の臨床第2b/3相試験で有効性を示すことができず株価が暴落したアキュセラ <4589> [東証M]には、先行きに慎重な見方も少なくないが、財務体質が良好なことや「白内障治療薬」などへの評価で株価の下げ止まりを期待する声もある。

●マザーズ指数は7月19日から売買開始

 こうしたなか、市場の注目を集めるのが7月19日から開始される「東証マザーズ指数先物」の動向だ。同指数の展開に関して「機関投資家などがどの程度利用するかは不明」(市場関係者)との見方も少なくない。もっとも、これまでヘッジが難しかった東証マザーズ銘柄に先物ができることで、「相場の過熱化を防ぐことができる」(準大手証券)ことがメリットとして挙げられている。また、東証マザーズ指数は時価総額加重平均ベースの指数であり、時価総額上位のミクシィ <2121> [東証M]やCYBERDYNE <7779> [東証M]、そーせいグループ、ブランジスタ、ヘリオス <4593> [東証M]などの動向に左右される面が大きい。これらの時価総額上位銘柄の動向をみることで、東証マザーズ全般の流れも見通しやすくなる。このため、ヘッジ目的だけではなく東証マザーズ先物を単独で売買することで利益も狙える。

●「ヘッジツール」か「新たな投機商品」か

 東証マザーズ指数は、ボラティリティの高い指数であり「マザーズの個別銘柄は手掛けにくいが、指数なら売買できるという投資家はいるはず」(市場関係者)との声もある。こうしたなか、マザーズ先物指数は「うまく育てばNEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]と同様に、投機志向の強い個人投資家の人気の商品となることもあり得る」(同)という。ボラティリティの高いマザーズの個別銘柄にマザーズ先物買いを組み合わせれば、一段のレバレッジが効かせられるというわけだ。マザーズ先物の登場では、東証1部と同様に裁定売買やSQでの影響が出ることが気になるが、「流動性の問題もあり中小型株市場では裁定売買は実施しづらいのでは」との見方も出ている。東証マザーズ先物の登場まであと1ヵ月。同先物の登場は、東証マザーズ市場の業容拡大へつながることが期待されている。

◆東証マザーズ指数先物取引概要◆

[対象指数] 東証マザーズ指数
[取引時間] 8時45分~15時15分、16時30分~翌5時30分
[限月取引] 3・6・9・12月を対象とする5限月取引
[取引最終日]各限月の第2金曜日(SQ日)の前営業日
[取引単位] 東証マザーズ指数×1000円
[呼値の刻み]0.5ポイント(1ティックの金額は500円)
[最終決済] SQによる差金決済

出所:JPX


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