【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「下放れ、リーマン前と酷似続く」
株式評論家 富田隆弥
◆3月から踊り場を形成していた日経平均株価だが、13日に582円安の1万6019円でとうとう2月安値からの下値抵抗線を割り込んでしまった。そして、16日は一時523円安の1万5395円と、踊り場から下放れたことで下げ足を加速させている。
◆6月メジャーSQを明けてからの下げ加速は9月限に向けての方向性として気掛かりだが、それ以上に警戒されるのが「2007年~2008年」当時とウリ二つで推移していることだ。2008年は6月に26週移動平均線まで戻して頭打ちとなり、そこからリーマンショックとなる10月まで大きく突っ込んでいった。チャートは安倍首相の言う通り「リーマン前」とウリ二つの状況にある。
◆そして、もう1つ気掛かりなのは、世界が注目する23日の英国のEU離脱投票。どうなるかはもちろん投票結果を待たねばならないが、推移の似ている「2008年6月からの下落」をイメージすると「離脱」の可能性が否めない。つまり、日経平均は下げ足をここからさらに加速させる可能性があるということだ。
◆日足が陰転してきた欧米株(NYダウ、FT、DAX)、円高が加速する為替、往来を上放れた日本国債、戻り一巡から反落を始めた原油など、ほかの市場も先行きの波乱(同時株安、リーマン再演)を示唆する。もし、英国が「EU残留」となれば、買い戻し(ショートカバー)を交えて大きく反発はするのは当然だが、それで全て好転するとは限らない。反発は一時的で、すぐまた売りに押される可能性あることも想定はしておきたい。
◆いずれにせよ、日経平均の日足好転(いまは少なくとも1万6500円超)までは、安易に楽観を抱かず慎重姿勢を続けておきたい。
(6月16日 記、毎週土曜日10時に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース