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【特集】“逆オイルショック” 嵐の外国人売りはいつ止まる? <株探トップ特集>

日経平均 日足チャート 「株探」多機能チャートより

―オイルマネーに再度の株式売却観測も―

 年初から厳しい下落に見舞われる東京株式市場。21日の日経平均株価は前場こそ上昇したものの、結局前日比398円安の1万6017円と大幅続落。新年に入り上昇したのは依然、2日にとどまっている。株式市場の急激な下落の背景には、外国人の売りが指摘されている。特に、原油価格の下落と歩調を合わせる格好で、オイルマネーの株式売却観測が浮上。市場では原油安による「逆オイルショック」を受けた外国人売りが相場の下落要因とみられている。

●日本株急落のトリガーを引いた外国人投資家

 アベノミクス相場をけん引し大量買いを続けてきた外国人投資家は、昨年中盤以降、売り基調に転換。「中国ショック」に見舞われた8~9月に3兆円強の売り越しを記録。15年の年間でも2509億円と08年以来、7年ぶりに売り越した。

 月間ベースでは10月以降は買い越しとなったが、12月は下旬から売り姿勢が再度、強まった。特に、1月第1週は現物で4471億円の大量売り越し。先物と合わせれば、この週だけで1兆円近い売り越しとなった。第2週も現物で約2100億円を売り越しており、新年からの日本株急落のトリガーを引いたのは、外国人投資家との見方は強い。

 特に、市場の関心を集めているのはオイルマネーの動向だ。地域別では、昨年9月に産油国関連の取引比率が高い欧州地域が約1兆8000億円の大量の売り越しとなったが、これはオイルマネー売りとの観測が出ていた。また、足もとでは原油先物相場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)価格が1バレル=20ドル台に落ち込むなか、オイルマネーに再度、株式売り観測が浮上している。

 サウジアラビア通貨庁(SAMA)やアブダビ投資庁(ADIA)といった中東産油国の「ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)」は積極的に世界の株式に投資を行ってきたが、原油価格急落で国家財政が厳しくなるなか保有株の売却に奔走している、との見方が有力だ。市場では、外国人の大量の日本株売りは、原油安に伴う「逆オイルショック」を懸念したもの、との見方が少なくない。

●原油価格底打ちなら基調転換も

 オイルマネーに関しては、SAMAは「JUNIPER」「SAJAP」「EVERGREEN」などの名義が出ている銘柄に投資しているとの観測がある。具体的には、マツダ <7261> や良品計画 <7453> 、タカラトミー <7867> 、アシックス <7936> 、森永乳 <2264> などが関連銘柄に挙げられている。オイルマネー系の資金が入っている銘柄は、売りが警戒されている。

 市場には「これまでの外国人売りはヘッジファンドが主体で、ADIAなどのオイルマネーの売りはこれからかもしれない」(外資系投信会社)との見方もある。具体的には、「オイルマネーの株式売却に先回りする格好で、ヘッジファンドが株式売りを仕掛けているようだ」(市場関係者)という。オイルマネーの売り観測にヘッジファンドが便乗している格好だ。

 ただ一方で、20日の海外市場でWTI価格は一時26.19ドルまで下落した。「もし原油価格が底打ちしたのなら、原油価格と連動した外国人売りも転換点を迎える可能性も」(国内証券ストラテジスト)と期待する見方も出ている。

 今後の外国人動向は、原油価格や主要先進国の政策動向に左右されそうだ。このなか、今晩の欧州中央銀行(ECB)理事会や来週28~29日の日銀金融政策決定会合の動向が注目を集めている。さらに、原油安の影響で「経済緊急事態」を宣言したベネズエラが石油輸出国機構(OPEC)に緊急総会の開催を要請するなど、産油国サイドからの新たな動きも注視されている。

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