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【特集】日銀“異次元ETF買い”で上がる株 <株探トップ特集>

ペプドリ <日足> 「株探」多機能チャートより

―検証・追加緩和期待、28日に金融政策決定会合の結果発表―

 日銀は28日に金融政策決定会合の結果を発表する。同会合に向けては追加緩和期待が強く市場には「量・質・金利」の3次元緩和を予想する見方もある。追加緩和実施の有無には不透明感もあるが、そのなかで、にわかに市場の注目を集めているのが、ETF(上場投信)だ。来月には賃上げや雇用拡大に前向きな企業の株式を組み入れる「新型投信」の設定も見込まれ、ETFの周辺は慌ただしさを増している。

●ETF買い入れ、7~10兆円への増額観測

 28日に結果が発表される日銀決定会合への注目度が高まっている。国内大手証券では「量・質・金利」の3次元緩和で、「マイナス金利政策の0.1%拡大」「国債購入額10兆円拡大」「ETF1兆円の増額」「REIT300億円程度増額」との予想を出している。また22日には「日銀は金融機関への貸し出しにマイナス金利の適用を検討している」との一部報道が注目された。

 大手証券の投資情報関係者は「追加緩和があるとすれば、金融機関への貸し出しのマイナス金利適用とETF買い増しが有力ではないか」と予想する。今回の日銀決定会合で追加緩和が実施された場合、有力外国証券では「ETFの買い入れ増額が緩和手段の中心となる」とみており、買い入れ金額は現在の年3.3兆円から2倍強の7兆円程度に増額されると予想する。市場には10兆円への増額観測もある。ただ、あるエコノミストは「足もとで株高・円安が進み追加緩和の必要性は薄れた」として、4月は見送りで6月の追加緩和を見込む。

●賃上げETF、子育て関連銘柄など注目

 日銀決定会合の結果は不透明だが、5月に向けETFが一段と話題を集めることは必至だ。日銀は「賃上げや雇用拡大、設備投資に積極的に取り組む企業へのサポート」を狙い、新型ETFを毎年3000億円買い入れる方針を打ち出している。この“賃上げETF”は、早ければ5月にも東証に上場される見通しだ。野村アセットや大和投信などの大手運用会社が設定を予定しているとされ、1ETF当たり150~300銘柄が組み込まれるとの観測が出ている。

 このETFの構成銘柄には、KDDI <9433> やトヨタ自動車 <7203> 、アステラス製薬 <4503> 、ブリヂストン <5108> などの大手企業の組み入れが有力とみられている。 また、国内大手証券ではサカタのタネ <1377> 、沢井製薬 <4555> 、キョーリン製薬ホールディングス <4569> 、ペプチドリーム <4587> 、オービックビジネスコンサルタント <4733> 、三菱UFJリース <8593> 、イオンモール <8905> 、コナミホールディングス <9766> 、ソフトバンクグループ <9984> などを候補に挙げている。加えて「保育支援を充実させている企業は有力」との見方もあり、経済産業省と東証が選定している「なでしこ銘柄」も候補とする見方がある。JPホールディングス <2749> など子育て関連銘柄に加え、なでしこ銘柄のカルビー <2229> や、ユナイテッドアローズ <7606> 、スタジオアリス <2305> 、トレンダーズ <6069> [東証M]なども注目されている。

●懸念される日銀の実質大株主化

 もっとも日銀によるETF大量買い入れ思惑はさまざまな議論も巻き起こしている。もし、日銀が追加緩和でETFの年7兆~10兆円の買い入れ増額を決定した場合、「買い入れ可能なETFは15兆円程度の市場であり、品不足状態に陥る可能性がある」(アナリスト)ことが予想されている。また、「日銀による日本企業の実質的大株主化が促進される」(同)ことが見込まれ、コーポレートガバナンス面からの懸念を指摘する見方も少なくない。副作用を指摘する声も出ている日銀のETF買いだが、その動向は今後一段と関心を集めそうだ。


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