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【特集】桂畑誠治氏【好転する市場ムード、“希望”と“死角”】(3) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 25日の東京株式市場は、日経平均株価が前週末比133円安の1万7439円と5日ぶり反落で一服商状となったものの、外国為替市場で一時、1ドル=111円台後半へと円安・ドル高が進行、また27~28日開催の日銀金融政策決定会合での追加緩和期待が強まるなど市場環境は改善傾向にある。ただ、3月期決算企業の決算や業績見通しの発表が本格化するのに伴い、“ガイダンスリスク”を懸念する見方もある。そこで、今後の相場展開について、第一線の市場関係者に聞いた。

●「ガイダンスリスクと政策効果の綱引き」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 企業業績に焦点を当てれば現在は株式市場にとって厳しい環境にあるといわざるを得ない。まず、外需については為替の円高進行が重い足かせとなっており、1ドル=117円台を前提としていた3月の日銀短観時と比較しても下方修正圧力は拭えない。世界経済減速懸念が高まっていることも逆風だ。IMFが4月に世界経済見通しを引き下げたが、まだ実態を楽観的に見ている部分があり、さらなる引き下げの可能性がある。

 内需についても消費の周辺では一部外食などを除いて低迷が続いている。したがって外需がダメでも内需で牽引するというような構図も描きにくい。今週から本格化する企業の決算発表では、こうした状況を考慮して、17年3月期業績予想も保守的にならざるを得ず、ガイダンスリスクが懸念される。

 ただ、この厳しい環境は政策期待と表裏をなしている。まず、27、28日の日銀の金融政策決定会合では追加緩和の可能性が高そうだ。具体的にはETFの買い入れ枠拡大が有力視されるが、金融機関への貸し出しにマイナス金利の適用を検討しているという一部報道も出ている。いずれにしても、金融政策決定会合に先立つ現地時間26、27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ見送りが濃厚で、なおかつ6月利上げの可能性を示唆する公算も小さく、ドル安円高への誘導圧力が高まることから、日銀も音無しの構えでやり過ごすことはできないだろう。

 ガイダンスリスクについては、事前にある程度マーケットは身構えているフシもあり、相場にネガティブ要因には違いないがサプライズ的な売り圧力に晒されることもないだろう。日銀の追加緩和実施が前提となるが、政策効果が吸収するかたちで5月前半の株式市場は上値指向を維持する可能性がある。足もとは世界の株式市場もリスクオフの巻き戻し段階にあり、これも日本株にとってはプラスに働きやすい。熊本地震からの復旧対応で補正予算編成というかたちで財政出動が濃厚となったこともあって、金融と財投両面の政策が株式市場の先高思惑につながるケースも考えられる。

 ただし、世界的なリスクオンの流れはそう長くは続かないと思われる。「セル・イン・メイ(5月に売れ)」の相場格言もあるように5月末にかけて、相場は崩れる可能性も否定できない。5月末までの日経平均のレンジは上値1万8500円、下値1万6500円を想定している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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