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【特集】脚光・隠れた“高利回り”、旅行・百貨店「積み立て」が人気 <株探トップ特集>

積立で旅行や買い物を楽しむ人が増加中

―低金利時代の救世主、マイナス金利きっかけに加入者急増―

 日銀がマイナス金利政策を導入して以降、資産運用手段のひとつとして急浮上している商品がある。それは旅行会社や百貨店が取り扱っている“積み立て”で、満期時に上乗せされるサービス額(銀行でいう利息)の高さが特徴だ。積み立て先でしか使えないなどの制限はあるものの、低金利時代の意外な「高利回り商品」として関心が高まっている。

●「金利が低すぎる」との回答65%

 日銀が4月11日に発表した3月の「生活意識に関するアンケート調査」によると、現在の金利水準について「低すぎる」と答えた割合は65.1%となった。前回調査の15年12月から13.2ポイント上昇し、大手銀行の定期預金の金利が0.010%にまで低下したことなどが影響している。

 こうしたなか、人気を集めているのが旅行会社や百貨店が手掛けている積み立てだ。この制度は、一定の金額を毎月積み立てるか、もしくは一括(一時)払いをすることで、満期時に積み立てた額以上の商品券などが受け取れる仕組み。金融商品ではないため単純には比較できないが、消費者にとっては銀行に預けるよりも高い利回りを得ることができる。取り扱い企業にとっても新規顧客の獲得や囲い込みを図ることができ、サービス内容の拡充やキャンペーンを打ち出す動きが相次いでいる。

●HISは年利換算8.4%のキャンペーンを実施

「旅行積立」は、旅行を計画している人や毎年決まった時期に帰省している人にとって利用価値の高い商品だ。満期時に上乗せされるサービス額は概ね年利換算で1.5~3.0%で、各社ともに利用者が拡大している。例えば、エイチ・アイ・エス <9603> の3月の申し込み件数は前年同月比約2.5倍に伸長。4月20日からは期間限定で年利換算8.4%に設定した10周年キャンペーンを実施しており、「夏の旅行需要を取り込みたい」(営業戦略室)と期待を寄せている。また、KNT-CTホールディングス <9726> 傘下の近畿日本ツーリストの2月の契約高は約1.3倍、3月は約1.6倍に膨らんだ。同社では「有効期限がないことや、店頭で取り扱っている各種商品に幅広く利用できる点が注目されている」(広報部)とみている。

●JALはキャンペーン効果で3月6.5倍

 JAL <9201> は3月に「JAL旅行積立」ボーナスマイルキャンペーンを実施し、同月の申し込み件数は前年同月比約6.5倍となった。前回キャンペーン時(15年11月~16年1月)の約1.3倍を大幅に上回る伸びで、同社では「今回はキャンペーン実施効果が55%、マイナス金利効果が45%あった」(広報部メディアグループ)と分析している。ANAホールディングス <9202> も2月の申し込み件数が約1.3倍、3月が約1.6倍と好調だ。「6月中旬にも夏のキャンペーンをスタートさせる予定」(ANAセールス)といい、さらなる利用者増を見込んでいる。

●高島屋は3.4倍、Jフロントは5.0倍

 旅行積立より、さらに利回りが高いのが「友の会」と呼ばれる百貨店の積み立て制度だ。例えば、毎月1万円を積み立てると1年後の満期時には1カ月分のボーナスがプラスされた13万円の商品券を受け取れる仕組みで、単純計算では年利8.3%となる。また、ホテルやレストランといった提携施設の優待など各種サービスを受けることができるのも魅力のひとつで、高島屋 <8233> の2月の新規入会者は前年同月比約2.2倍、3月は約3.4倍となった。「26日からは店舗やカタログ通販に加えて、オンラインストアでも利用できるようになる」(広報・IR室)としており、利便性を高めて顧客の囲い込みを狙っている。J.フロント リテイリング <3086> 傘下の大丸松坂屋でも2月が約3.0倍、3月はキャンペーン効果もあって約5.0倍と急増した。

●河合楽器や京都友禅も運営

 その他の業種でも積み立てを行っている企業がある。河合楽器製作所 <7952> は、商品購入時に積立額に対して5%のサービス額がプラスされる「カワイ友の会」を運営。京都きもの友禅 <7615> は2万円×24回コースの場合、最大4万8000円(積立金の10%)がつく。また、積み立てではないが、ヤマハ <7951> グループのヤマハリゾートは会員に2.5~5%を還元。アパマンショップホールディングス <8889> [JQ]は月額1000円で会員になると、飲料水やインスタント食品といった生活用品が希望小売価格の最大7割引で購入できる。


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