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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 難関突破で上昇軌道に乗るか

株式評論家 植木靖男

「難関突破で上昇軌道に乗るか」

●3つの要因改善が株高を演出

 季節は着実に夏に向けて移りつつあるようだ。緑は一段と濃くなり、木間にみえたビル群の姿もすっかり隠れてしまっている。

 株式市場も、これまでの冬ごもりからここへきてうねりがみえ始めてきた。新しい息吹である。4月21日、ついに日経平均株価は3月14日の引け値1万7233円を上抜いてきたのだ。

 かねがね、基調転換の条件として、直近の高値を3日間ほどの連続高で上抜くこと、としてきた。この1万7233円を突破した背景には、ドル高、原油高、米国株高のトリプル高があり、それも4月20日、21日と2日間に及んだ。

 さすが、厳しい壁も打ち破られたが、こうした材料の他にも、実は伏線があった。

 それは、2月12日に1万5000円を割り込む安値をつけた頃のドル円相場は110円処。ところが、4月6日に一段と円高が進み107円をつけたときには株価は2月12日の安値を下回ることなく、むしろ上回っていたのだ。

 もはや少々の円高では株価は下がらないことを示唆したとみてよい。

 ともあれ、ここへきて原油価格、ドル円相場、米国株の3要因が大きく改善したことが株高の原動力となったことは明白である。

●因縁の水準クリア、金融株に期待

 次に需給はどうか。年初来、3月第5週まで実に13週連続で海外勢が売り越したことが注目された。なかで3月の売り越しは異例の大きさとなった。当時の株価水準は、1万7000円前後。このとき買い向かったのは海外勢の売りを引き取った証券会社の自己、それに個人と公的年金と指摘されている。

 この株価水準を抜いてきたことは個人のしこっていた買い建玉の回転が効くことになったわけで、今後個人の買い姿勢の変化に期待したいところだ。

 ところで、この因縁の水準を上回ってきたことで、今後、株価はどう展開するとみればよいか。

 昨年6月の一番天井が2万0952円、そして12月の二番天井が2万0012円、三番天井が2月の1万7865円である。だとすると、まずは、この三番天井がひとつの目安となるが、罫線上は1万8500~1万9500円を示唆している。

 先行き日銀の金融政策決定会合や財政政策への期待感は、株価上昇で一段と膨らむことになろう。

 さて、物色であるが、この因縁の水準を突破できた、その論功行賞に値するのは、数字ではでないが金融株ではないだろうか。注目したい。

2016年4月22日 記


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