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【特集】小川英幸氏【好転する市場ムード、“希望”と“死角”】(1) <相場観特集>

小川英幸氏(光世証券 本店コンサルティンググループ 課長代理)

 25日の東京株式市場は、日経平均株価が前週末比133円安の1万7439円と5日ぶり反落で一服商状となったものの、外国為替市場で一時、1ドル=111円台後半へと円安・ドル高が進行、また27~28日開催の日銀金融政策決定会合での追加緩和期待が強まるなど市場環境は改善傾向にある。ただ、3月期決算企業の決算や業績見通しの発表が本格化するのに伴い、“ガイダンスリスク”を懸念する見方もある。そこで、今後の相場展開について、第一線の市場関係者に聞いた。

●「金融緩和や政策効果を期待して不動産に注目」

小川英幸氏(光世証券 本店コンサルティンググループ 課長代理)

 海外株の堅調や日銀の追加緩和期待により、足もとの株価は堅調に推移している。年初の株価の下落は中国不安や原油価格の下落が原因だった。最近では、中国株は安定し、原油価格が40ドル以上をキープするなど、リスクを取りやすい環境となっている。日本では消費増税凍結や財政支出の話もあり、決まれば一段の株価の上昇が望める。

 不安材料は海外にあると見ている。一つ目はやはり中国だ。中国の経済指標などは持ち直しているが、融資の大幅増加などが要因となっており、景気回復の継続性は望みにくいように見える。また、商品市況の回復も大元には中国の存在があると見られるため、今後のマクロに大きく影響すると見られる。

 二つ目は米国企業の収益と株価の逆行だ。米国は企業収益が前年比で低下しているのに、株価が上昇する傾向にある。ドル安が進み、イエレン議長もハト派な姿勢に転じたため、ある程度リスク許容度が上がるのは分かるが、最近のバリュエーションの上昇や高値の更新はオーバーシュート気味に感じられる。

 日本企業の決算発表がこれから本格化する。ドル円が昨年度より円高水準にあること、金利の低下により企業年金の不足分の増額など不安材料は多い。また今期の見通しも良いものは期待しにくい環境にある。しかし大型株に関しては、今期見通しのネガティブな市場の見方について、年初からの下落で株価に織り込まれていると考えられる。そのため、大型株の大幅安により株価指数が大きく影響されるような展開は考えていない。

 一方で、これまで堅調だった小型株は、一部の銘柄が市場の予想以上に買われ過ぎている反動もあり、決算の影響を受けやすいだろう。そのため5月の終わり頃までは、大型株優位の展開が見られることを想定している。セクターでは金融緩和や政策の効果を期待して不動産に注目している。

(聞き手・加藤智)

<プロフィール>(おがわ・ひでゆき)
1977年滋賀県生まれ、2000年滋賀大学経済学部卒。光世証券入社後、先物オプションや現物の自己売買部門を経て、2015年12月からコンサルティンググループに所属。

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