【特集】檜和田浩昭氏【好転する市場ムード、“希望”と“死角”】(2) <相場観特集>
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25日の東京株式市場は、日経平均株価が前週末比133円安の1万7439円と5日ぶり反落で一服商状となったものの、外国為替市場で一時、1ドル=111円台後半へと円安・ドル高が進行、また27~28日開催の日銀金融政策決定会合での追加緩和期待が強まるなど市場環境は改善傾向にある。ただ、3月期決算企業の決算や業績見通しの発表が本格化するのに伴い、“ガイダンスリスク”を懸念する見方もある。そこで、今後の相場展開について、第一線の市場関係者に聞いた。
●「株主還元積極化や高ROE銘柄に注目」
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
前週の日経平均大幅上昇により、全体相場は下値模索状態から脱して反転上昇機運が高まってきた。今週は、日米両国で金融政策決定会合が相次ぐうえに、3月期決算企業の決算や業績見通しの発表が本格化することから、これらの内容によって相場が左右されることになりそうだ。
日経平均は、昨年12月1日の取引時間中高値(2万12円)から今年2月12日の安値(1万4865円)までの下落幅に対する半値戻し(1万7439円)を上回ってきたことで、今後は上昇基調が強まりそうだ。当面の下値メドは1万7000円、上値メドは2月1日の取引時間中の高値1万7905円と想定される。
決算発表や、今期の業績見通し発表に伴うガイダンスリスクについては、個別企業ベースでは、想定を超える内容で株価波乱が起きる可能性も否定できないが、市場では各企業の慎重な業績見通しをかなり織り込んでいる面もあり、全体相場へのマイナス影響は軽微となりそうだ。また、日銀の金融政策決定会合での追加金融緩和期待から、22日の米外国為替市場で1ドル=111円台後半まで円安・ドル高が進行していることも、輸出関連企業の業績見通しへの反応に影響を与えることになりそうだ。
全体相場の上昇基調が明確になると、主力銘柄に物色の矛先が向く傾向がある。こうしたなかで、株主還元に積極的な銘柄や高ROE(自己資本利益率)に注目したい。また、一部の個人投資家は、7月19日からの先物取引のスタートなどで話題を集めるマザーズ市場の銘柄にも関心を強めているようだ。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。
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