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【特集】帰ってきた外国人買い、総力調査「上昇ベルは鳴ったのか?」 <株探トップ特集>

日経平均 <日足> 一目均衡表 「株探」多機能チャートより

―需給好転、上昇トレンド復活を示唆―

 東京株式市場は、年初から波乱展開のなか下値模索の動きを続けてきたが、ここにきてようやく流れが変わりつつある。前週末4月22日の日経平均株価は、当面の上値の関門とみられていた3月14日の戻り高値1万7291円を払拭すると同時に、日足一目均衡表の雲抜けを果たし、大勢トレンドは上昇転換の様相を示唆している。週明け25日は、前週末までの4日間で約1300円の上昇をみせた反動もあって利益確定売りに押されたが、下値では押し目買いの動きが活発だった。

 これに先立つ株式需給面での最大の変化といえば、東京市場の売りの主役であった外国人投資家の動向である。

●怒涛の日本株売り一巡で上昇転換

 東証発表の投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場1・2部・新興市場合算ベース)をみると、外国人投資家は昨年度第4四半期(16年1-3月期)、つまり年が明けてからの3ヵ月間で、累計5兆127億円に及ぶ大量の売り越しを記録していた。特に3月第2週は週間で過去最大となる1兆1932億円を売り越し、市場でも大きな話題となった。これについては、メジャーSQを直前に控え「海外で積んでいた裁定買いポジションを国内に持ち込んで解消した実質的なクロス商いが結構な金額を占めており(買いはこれを受けた自己部門に反映)、額面通りには受け取れない」(国内準大手証券)というが、そうした事情を差し引いたとしても、年初からの外国人投資家のスタンスは“怒涛の日本株売り”であったことに変わりはない。

 ただ、3月後半以降はその苛烈ともいえる外国人売りが減少傾向をたどり、4月新年度相場入りとともに14週ぶりに買い越しに転じてきた。第1週は327億円と小幅であったが、第2週には3848億円の買い越しと一気にその幅が拡大した。集計中の第3週の動向は定かではないが、日経平均は週初こそ急落をみせたものの、翌19日から4連騰で1300円の上昇をみせたことは前述したとおりで、「外国人の買いが、4月第2週に続き相場上昇の背景にあった可能性は高い」(国内ネット証券)という見方がある。

●外国人投資家の買いはショートカバー

 では、4月第2週の4000億円近い買い越しの実態をどうみるか。複数の市場関係者の意見をまとめると「値ごろ感に着目した実需面の新規買いではなく、これまで売り込んだ筋のショートカバー(買い戻し)が反映されたもの」との見方で大方一致している。日経平均は昨年末時点で1万9000円台に乗せていたが、年明けから急転直下で下値を探る展開となり、4月11日を境に行き過ぎた下げの巻き戻しが入ったとはいえ、時価はまだ1万7000円台半ばに過ぎない。4月第2週に、外国人投資家は先物でも2735億円買い越しており、「仕掛け的な売りポジションをいったん閉じる動きが、一斉に顕在化すればこの程度の戻りがあって違和感はない」(国内ネット証券)と指摘されている。

 世界最大の資産運用会社で日本株に積極投資を続けてきたブラックロックが、最近になって評価を引き下げるなど、海外投資家のアベノミクスに対する失望感がマーケットに漂っている。もちろん、伊勢志摩サミットを前に政策催促的な背景はある。消費増税延期への思惑に加えて、GDP600兆円に向けた「官民戦略プロジェクト」を打ち出すなど、アベノミクスのこれからに期待する声も根強いが、この沈滞ムードが一朝一夕に変わることは考えにくく、一気に実需の買い攻勢につながるだけの材料が今の日本株に見当たらないのは事実だ。

●黒田バズーカへの期待大きい

 ただし、ここまでの外国人投資家の売り圧力が止まっただけで相場全体には浮揚感が働くということを忘れてはならない。「世界的なアセットアロケーションのバランスから日本株を売ったが、日本が固有のネガティブな要素を抱えているわけではない。強いてあげればアベノミクスへの期待感が強過ぎたということ。海外年金資金などの長期資金は、今後も穏やかに日本株は上昇するという見方を変えていない」(国内有力投資顧問)という。海外の足の長い資金としては、グローバルなリスクオフを背景に投信の解約売り、あるいは原油市況安に伴う中東の政府系ファンド(SWF)の合わせ切りはあったが、「これは長期資金の大勢を意味するものではない」(同)という。

 スケジュール的に注目されるのは今週27、28日に行われる日銀の金融政策決定会合だ。東京市場は前週の急騰で、ある程度追加緩和を織り込んでいるため、仮に緩和を打ち出しても効果は限られ、場合によっては期待に届かず売り直されるというシナリオも否定できない。しかし、ここは短期的な押し目があれば買い下がる方針をとってみたい。5月連休明けにガイダンス・リスクによる軟調局面を想定し、海外短期筋はうまい具合に買い戻しを入れたいというのが本音ではないか。

●リスクオフ巻き戻し相場再び

「投信解約売りやSWFの長期資金の売りが止まれば、それに輪をかけた短期筋の売りも沈静化する。黒田バズーカは打ち止め感を出さないように配慮され、売り方への牽制効果は今後も継続する」(国内準大手証券)という見方もある。昨年8、9月のチャイナショックによる全体株価急落の後、年末にかけての“意外な戻り相場”は外国人投資家の買い戻しと歩調を合わせたものだ。今の東京市場は為替の動向が密接に絡むことは否定しようのない事実だが、円安方向へのリバウンドとセットで今回もリスクオフの巻き戻しによる昨年同様の光景が繰り返される可能性がある。前週末に日足一目均衡表の雲抜けを果たしたことも強気材料。昨年は11月初旬に一目均衡の雲を上に抜けてから約3週間にわたり上昇トレンドを維持した経緯がある。


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