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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 日米市場ともに目先は正念場を迎える!

株式評論家 杉村富生

「日米市場ともに目先は正念場を迎える!」

●外国人はアベノミクスに興味を失う!

 日本の株式市場がNY市場などに比べ大きく出遅れているのは確かである。しかし、これだけでは買えない。特に、委託売買代金シェアの6~7割を占める外国人はアベノミクスに対する興味を完全に失っている。それに、マーケットの“声”に背を向けている日銀の言動は問題だろう。

 さらに、目先(5~6月)の相場において、重要なポイントは(1)企業業績の行方、(2)円高圧力の存在、(3)NY市場の動向――と主張している。いずれもこの局面ではネガティブな材料である。まず、企業業績だが、2017年3月期は10~15%の減益になろう。この結果、日経平均株価の予想PERは16倍台に乗せ、極端な割安感は消える。

 為替についてはアメリカ政府が11月の大統領選挙をにらみ、明確にドル安政策を打ち出している。日本、ドイツ、中国などを「為替監視国」に認定したのはその一環だろう。もちろん、インフレ期待率を加味すると、実質金利は日本がアメリカよりも高い。為替は円高傾向と考えていた方がいいのではないか。

●やはり、テーマ性を有する“小物”を攻めよ!

 一方、NY市場は正念場を迎えている。S&P500の予想PERは17倍を超え、ここ数年来のゾーン(13~17倍)の上限に到達した。株価が一段高に進むにはEPSの増加が不可欠だが、利益の伸びは止まっている。株価刺激策として総還元性向(2015年実績は125%)を高めるのは無理がある。

 結局、主軸株は上値を追えない。このセクターは引き続いて、「突っ込み買いの吹き値売り」作戦が有効である。地合いにつられ、高いところを買うと、利食うのは難しいし、苦労する。

 狙い目は? これまで同様、テーマ性を有する“小物”だろう。今、イノベーション・バブルが起こっている。この流れに乗り遅れてはいけない。古来、続く流れに逆らうな、ついていくのが儲けの道!というではないか。

 具体的にはクラウドソリューションの中堅企業であり、IoT分野に注力中のスマートバリュー <9417> [JQ]、越境EC、SNSの本命的存在のアライドアーキテクツ <6081> [東証M]、VR・ARに加え、暗号解読など多彩な分野に展開中のサン電子 <6736> [JQ]、好業績のアルファクス <3814> [JQG]、ゲームソフトのアカツキ <3932> [東証M]などに妙味があろう。

2016年5月12日 記


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