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【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 暗転トヨタの株価に透ける「期待」

株式アドバイザー 北浜流一郎

「暗転トヨタの株価に透ける『期待』」

●衝撃のトヨタ決算に市場は意外な反応

 東京市場の戻りが順調だ。確かに13日は反落した。しかし、ゴールデンウイーク(GW)明けの9日から12日にかけては4日続伸となった。

 GW中、あまりにも大きく下げてしまったため、明けても続落してしまうだろう。こんな見方が大勢だったのだ。それを考えれば、5月第二週の日経平均株価は想定以上の展開を見せたことになる。

 特に印象的だったのが5月12日。前日11日、トヨタ自動車 <7203> が衝撃的ともいえる決算発表を行った。2017年3月期の連結営業利益(米国会計基準)が前期比40%減の1兆7000億円となる見通しだというのだ。

 営業利益が4年ぶりに2兆円の大台を割り込むばかりか、40%減に落ち込む予想。毎回慎重予想を出すトヨタ自動車であることを割り引いても、40%減はショッキングな予想であり、翌12日は株が大きく売り込まれてもおかしくなかった。ところが、寄り付きこそ5%ほど下げたものの、引けは81円マイナスの1.44%安。通常の下落とほとんど変わらなかった。

 この意味は大きい。市場が東京市場の先行きに対して悲観的なら、こんな動きにはならないからだ。

 では、市場はどう見ているのか。円の反発を懸念はしているものの、輸出企業はそれに対応、現時点で想定される減益予想を縮小するだろう。そのため、市場はここからはもう大きく下押す可能性は低く、底練り、もしくは浮上に転じる。トヨタ株の値動きから見えるのは、こんなシナリオになる。

●マイナス材料株の蘇生を見守る市場

 そしてもう一つ忘れてならないのが、シャープ <6753> の値動き。トヨタを優良企業中の優良企業と見るなら、いまはその対極にあるのがシャープになる。

 同社の株価はGW直前は156円の高値をつけたりしていたが、連休中に急落した。4月30日に、16年3月期の最終赤字が2500億円規模に拡大すると一部で報じられたからだ。

 それにより債務超過は避けられず、東京1部から2部への降格も。つまり、これ以上はないといえるほどのマイナス材料を背負うことになって、株価も再起不能に見えた。

 しかし、週末13日は急反発となった。シャープの国内外グループ従業員約4万3000人のうち、最大7000人を削減する検討に入ったことが好感されたのだ。

 もちろん反発したといっても前場段階ではわずか9円であり、市場で特に話題になった感じもなかったが、重要なのは前述したように、これ以上はないと思えるようなマイナス材料を背負っているのだ。

 そんな会社の株が買われる。そこには蘇生に期待する買いがあると見るのが自然だ。

 以上のようにトヨタ自動車とシャープ。2社を並べて検討するのは業種の規模、そして企業力から見ると適切ではないように思われるかもしれない。

 しかし投資の対象として見るなら、どちらも収益のこれ以上の低下を食い止め、好転を期待されている点が共通するのだ。

 両社がそれを果たせるかどうか。今後見守っていくことになり、特にシャープ株の蘇生がドラマティックになりそうだ。

 さて、こんな状況下、期待が持てるのはまずは久し振りにリニカル <2183> だ。臨床試験受託で信頼度の高い会社だが、株価は13日は急反落した。前日に前期決算を発表し、それが好ましいものではあったのだが、市場は織り込み済みとの判断から売りが出たのだ。この種の反落は下げ止まりを待って拾っておくのが正解だ。

 他銘柄にも目を向けると、医療用不織布首位のホギメディカル <3593> 、消費者金融最大手のアコム <8572> 、そして新興市場銘柄ではネット&メールを利用した販売支援パッケージに強いエイジア <2352> [東証M]、ソーシャルメディアの処理・解析に強いデータセクション <3905> [東証M]に注目だ。

2016年5月13日 記


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