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【特集】“パニック売り”東京株式市場、負の連鎖いつまで? (2) <株探トップ特集>

清水三津雄氏(日本アジア証券 エクイティ・ストラテジスト)

―バリュエーション異常ゾーン突入、待たれる対策―

 12日の東京株式市場は売りが加速、日経平均は800円を超える急落で一昨年10月以来、1年4カ月ぶりに1万5000円の大台を割り込んだ。世界的なリスク回避の流れがここにきて一気に加速している。前日の欧米株市場は軒並み大きく値を崩し、外国為替市場では一時1ドル=110円台に入る急激な円高が進行、東京市場も企業実態を度外視したパニック的な売りにさらされている。

 この負の連鎖による下げはどこまで続くのか。また、東京市場が立ち直るための条件は果たして何か。悲観ムード一色に染まる相場の今後ついて市場の第一線で活躍する証券関係者3人に意見を求めた。

●「国内GDP発表が転機に、財政出動などに期待」

清水三津雄氏(日本アジア証券 エクイティ・ストラテジスト)

 年初からの株式市場の波乱の背景には、“世界的なマネー収縮”があるとみている。

 昨年12月の米国での利上げは、当初は前向きな見方も多かったが、実施してみたらリスク回避の動きが鮮明となったという格好だ。

 日本の景気も厳しく、15日に発表される国内総生産(GDP)はマイナス成長が予想されている。国内景気の悪化も株価の下げ要因に働いている。日銀がマイナス金利政策に踏み切ったことの方向性は、間違っていないと思う。実施されるのは今月16日からであり、本当の評価はこれからだろう。

 ファンドなどによる機械的な売りで日本株の水準は大きく下がったが、バリュエーション的には割安感が強まっている。足もとでは、日経225採用銘柄はPBR1倍前後に近い水準にあり、さすがに売られ過ぎの水準にある。

 2008年のリーマンショック時は赤字企業が相次いだ。しかし、来期は減益となっても赤字にまで追い込まれる企業は、そう多くないだろう。ここが、リーマンショック時との大きな違いだ。

 GDPの発表で景気落ち込みが明らかになれば、財政出動による景気対策の動きが出てくるだろう。このため、来週のGDP発表は相場の大きな転換点になると思う。また、景気悪化が来年4月の消費増税の延期あるいは凍結の議論に結びつく可能性もある。

 3月末を視野に入れれば日経平均は1万7000円前後までの回復は期待できる。

 配当利回りなどバリュエーション面で割安感がある銘柄に注目したい。トヨタ <7203> の配当利回りは3%を超えている一方、PBRは1倍程度の水準だ。

 村田製 <6981> は来期以降も電子部品への高い需要が見込め、株価は割安。業績を増額修正したダイフク <6383> などにも注目したい。それにショーボンド <1414> など建設関連株や道路株も活躍が期待できると思う。

(聞き手・岡里英幸)


<プロフィール>(しみず・みつお)
1987年コスモ証券(現、岩井コスモ証券)入社。リテール・ホールセール営業、国内外の株式ディーラー・トレーダーを歴任し、投資調査部副部長。2014年11月日本アジア証券入社、現職。歯切れの良さと分かりやすい説明に加え、ピンポイントの銘柄分析に定評がある。「ラジオNIKKEI」「日経CNBC」「ストックボイス」にレギュラー出演。


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