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【特集】「円急騰、その理由は?」 石川久美子氏に聞きました! <直撃Q&A>

石川久美子氏(外為どっとコム総合研究所 研究員・シニアFXアナリスト)

 東京市場が急激な円高に見舞われている。特に、日本が休場だった11日は一時、110円90銭台までドル安・円高が進行。先月29日の日銀によるマイナス金利導入で一時121円60銭台をつけた為替相場は、わずか2週間足らずで10円強の“急騰”を演じている。この背景にある要因とは何か。外為どっとコム総合研究所のシニアFXアナリスト、石川久美子氏に聞いた。

●石川久美子氏(外為どっとコム総合研究所 研究員・シニアFXアナリスト)

Q1 急激な円高が進行した要因は?

 10日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言後、一気にドル安・円高が進んだ。しかし、同氏の発言内容がそれほどインパクトのある内容だったかというと、そうとも思えない。年初から急激なドル安・円高の背景にあるのは、世界的な株安・原油安、中国など複合要因が絡みあったものだろう。きっかけはドル売りだが、その後は円買いの勢いが強まってくる。リスクオフ姿勢の強まりとともに、ファンド勢などからの“せき髄反射的”な「株売り・円買い」が入り、11日は一気に一時111円割れまで円高が進んだ印象だ。

Q2 当面の注目材料は。ドル円の下値メドはどうみていますか?

 週明けに中国株式市場が再開し、上海株がどう動くか。もし上海株が崩れるようならリスクオフ相場が続く可能性もある。市場には政府・日銀の円売り介入への期待が強いようだが、昨年10月31日の日銀によるハロウィーン緩和時の下値水準(109円10銭前後)に比べ円安水準にあるいまの状況では、介入は難しいと思う。当面の下値メドは11日につけた110円90銭台だが、このラインを割り込むようなら次の下値メドは110円ちょうど、その次は109円、108円といった具合に1円ごとがポイントになりそうだ。

Q3 アベノミクス相場下の円安は終わった、との声も出ています。

 今回の円高は日本要因だけで進んでいるわけではない。6割程度は海外要因だと思う。米国景気もそこまで悪くはなく、3月の利上げが見送られても、その後の経済情勢次第で6月以降は利上げに踏み切る可能性はある。そうなれば、ドルが買われ、円は売られるだろう。海外を主因とした円高なのであり、現時点でアベノミクス相場下の円安トレンドが終わったと言い切るのはまだ早いと思う。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(いしかわ・くみこ)
千葉大学法経学部総合政策学科卒業。商品市況研究所(商品先物専門紙「日刊デリバティブジャパン」他発行)の貴金属および外国為替相場担当の編集記者として、新聞や雑誌、ラジオ等で活躍する。2009年6月から現職。相場分析・レポート執筆の他、セミナー講師や、同社オンライン TVのキャスターやコメンテイターなども務める。

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