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【特集】非常事態“1万6000円割れ” 市場の見方 <株探トップ特集>

日経平均は続急落、1年3カ月ぶりの1万6000円割れとなった

―安全資産の円買いが「円高・株安」悪循環呼ぶ―

 10日の東京株式市場ではリスク回避の売りに歯止めがかからず、日経平均が一時600円を超える下落をみせた。前日に日経平均は918円安と2年7カ月ぶりの下げ幅を記録したが、その余韻冷めやらぬなか、連続の暴落で市場は一時悲観ムード一色に包まれた。大引けは372円安と下げ渋ったものの、直近2日間合計の下げ幅は約1300円に達し、当然ながら今年1月21日につけた昨年来安値1万6017円を大きく下抜けたことで、新たな1番底模索の展開となっている。

●二つに割れるマーケットの見解

 これについて市場では「需給先行で明らかに売られ過ぎ」という見方がある一方、「実態面から押し目買いを後押しする材料が見当たらない」という悲観的な声も聞かれ、マーケット関係者の間でもまさに見解が真二つに割れていることをうかがわせる。

 まず需給面では、「祝日をはさんだ明後日にオプションSQを控え、ポジション整理の売りが機械的に出ているところに、為替の円高にリンクさせた売りプログラム発動が株価の下げを増幅させた」(国内準大手証券)という見方がある。これは、きょうの後場終盤の下げ幅縮小の過程で、ショートカバーの片鱗がみられることにも裏付けられる。

 ただ一方で、「きょうは先物主導というよりはむしろ現物の実弾売りが目立った。売り主体は外国人投資家」(国内ネット証券大手)という指摘もあり、一概に不安心理を煽った短期筋の売り仕掛けだけでは片づけられない下げであったようだ。

●グローバル経済不透明感と封じられた追加緩和

 今、市場ではグローバル経済の先行きに対する不透明感が強く意識されている。欧州では金融セクターが過激に売り叩かれているが、デリバティブ損失や新興国融資の焦げ付き思惑などが改めて銀行売りの材料にされている。また、好調経済の最後の砦ともいえる米国でも銀行はシェール関連などのエネルギー関連企業の投資で裏目を引いている現状が指摘されている。

 これらが安全資産とされる円買いの動きに反映され、その円高が日本企業の収益を悪化させる要因として株価の上値を押さえる、いわゆる、悪循環の連鎖が売り方にとってはこの上ない“御馳走”となっているわけだ。日銀の黒田総裁の英断であったはずのマイナス金利導入も今や逆噴射政策としてのレッテルを張られかねない状況にあり、今後の追加緩和のカードは事実上封じられたような状況にある。

 八方塞がりの東京市場で、今最大の注目点は日本時間あす未明のイエレンFRB議長の米下院での議会証言。FRBが株式市場にフレンドリーな姿勢を強めることが目先の流れを変える唯一の期待材料というのは心もとない状況とはいえる。


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