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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】FOMC通過で市場の関心は企業決算に移る

RAKAN RICERCA 取締役 会長 村瀬智一

「FOMC通過で市場の関心は企業決算に移る」

●「ディープシーク・ショック」にも市場は冷静

 中国の人工知能(AI)開発企業ディープシークが発表した低コストで高性能の 生成AIアプリ「DeepSeek」が、AI分野における米国の技術的優位性を覆すものとして警戒され、半導体・AI関連を中心に日米の株式市場は激震に見舞われた。

 足もとで4万円台を回復してきた日経平均株価は続落し、1月28日には3万8886円まで売られた。下げを牽引したのはアドバンテスト <6857> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]の3社で、2日間で日経平均株価を1000円超押し下げた格好である。だが、一方でその間の東証プライムの騰落銘柄は値上がり数が過半数を超える状況であり、パニック的な下げの中でも市場は冷静だったことがうかがえる。

 アドバンテストは29日に2025年3月期の業績予想の上方修正を発表。来週2月6日には東京エレクトロンが決算を発表する予定であり、パニック的な下落となったハイテク株を見直す動きが強まる可能性がある。もっとも、決算発表が本格化する中で主要企業の決算動向に振らされやすい状況でもある。このため、予想を下回る決算発表が相次ぐ局面では、慎重姿勢が強まりそうだ。

 ただ、米国では足もとでハイテク企業の予想を上回る決算発表が目立っており、AIの普及加速による成長期待が再確認されよう。また、7日に米雇用統計の発表を控えているが、米連邦公開市場(FOMC)を通過したことにより、市場の関心は企業決算に移っている。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆シグマクシス・ホールディングス <6088> [東証P]
経営コンサルタント中堅。IT戦略立案・実行まで一括。昨年11月6日に発表した2025年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益は前年同期比40.7%増の28億3700万円で着地。主力のコンサルティング事業が基幹システムのSaaS化支援などで顧客の旺盛な需要に支えられ好調に推移した。株価は1月21日につけた840円を安値にリバウンドを強めており、昨年11月につけた上場来高値982円に接近。11月高値から12月安値864円までの下落幅をリプレイスした1124円が次のターゲットになりそうだ。なお、第3四半期決算の発表予定日は2月6日。

◆セガサミーホールディングス <6460> [東証P]
ゲームコンテンツのほか映像、トイなどのエンタテインメントコンテンツ事業、パチンコ・パチスロなどの遊技機事業、カジノ機器などを手掛けるゲーミング事業の3領域で展開。昨年10月に発売したゲーム「ソニック×シャドウ ジェネレーションズ」の世界累計販売本数が200万本を突破。また、映画「Sonic the Hedgehog 3」(邦題「ソニック×シャドウ TOKYO MISSION」)の全世界興行収入が、前作の4億500万ドルを上回る4億2500万ドルを達成した。このほか、昨年12月に発売した絵文字を送れるコミュニケーション玩具「emojam(エモジャム)」が好調な滑り出しをみせている。株価は昨年12月27日につけた3157円をピークに調整していたが、75日移動平均線を支持線にリバウンドをみせてきた。23年8月高値とのダブルトップが意識される水準であり、これを明確に突破してくると一段の上昇が期待できそうだ。第3四半期決算の発表予定日は2月7日。

◆メイコー <6787> [東証P]
プリント配線板製造大手。車載向け、スマートフォン向けが主軸。昨年11月6日に25年3月期の連結営業利益を従来予想の160億円から190億円に上方修正した。スマートフォンや情報通信向け基板、半導体パッケージ・モジュール基板などが好調に推移。高付加価値のビルドアップ基板の販売拡大が利益を押し上げている。株価は上方修正が好感されて、12月3日高値の9590円まで買われた。その後は高値圏での保ち合いを続けていたが、足もとで75日線を支持線とするリバウンドにより上値抵抗の25日線を突破。高値更新を意識した展開が期待される。

◆FOOD & LIFE COMPANIES <3563> [東証P]
回転すし店「スシロー」を直営店中心に全国でチェーン展開。海外事業の拡大を進め、昨年12月24日には中国大陸で華東地域に初出店、「スシロー蘇州中心店」をオープンした。4月13日に開幕する大阪・関西万博では「スシロー未来型万博店」を出店する計画であり、日本食の人気が続くなか、さらなる海外展開に向けた足掛かりとなりそうだ。株価は1月17日につけた3022円をボトムにリバウンドを継続し、75日・25日線を突破。昨年12月6日高値の3678円が射程に入ってきた。第1四半期決算の発表予定日は2月7日。

◆パナソニックホールディングス<6752> [東証P]
総合家電首位。1月7日に米家電・IT見本市「CES」で、生成AIを開発する米新興企業アンソロピックとの戦略提携を発表。米オープンAIのライバル企業として知られるアンソロピックの技術を活用し、AI製品・サービスがグループ売上高に占める割合を2035年までに約30%に高める。提携第1弾として、家族の心身の健康や幸福を支援するアプリサービス「Umi(ウミ)」を米国で今年から始める。株価は昨年12月30日につけた1668.5円をピークに下落基調にあったが、75日線近辺までの調整を経て、足もとで上値抵抗の25日線を突破してきた。12月高値を射程に入れたリバウンドが期待される。第3四半期決算の発表予定日は2月4日。

(2025年1月31日 記)

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