市場ニュース

戻る
 

【特集】桂畑誠治氏【新年「トランプ」相場の見通し】(1) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―期待感いつまで、相場に潜む“先高感”と“死角”―

 東京株式市場は12月最終週を迎えて市場参加者不足からさすがに商いは盛り上がりを欠いているものの、一部の手仕舞い売りを吸収して日経平均株価は底堅さを発揮している。来年相場への先高感の強さを物語っているが、順風満帆の相場展開に死角はないのだろうか。金融・証券分野での経験が豊富なマーケット関係者3人に新年相場の見通しと投資の勘所を聞いた。

●「トランプ相場は現実回帰で押し目形成も」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 足もとの東京株式市場は利益確定売りを吸収して強い動きが続いており、年内にもう一段の上値を指向する可能性はあるが、年明け以降は注意が必要との見方は変えていない。

 来年1月3日から米国で議会がスタートすることから、実際の政策交渉で投資家心理も現実路線へと引き戻されるケースを考慮しておかなければならない。共和党が上院議会の過半数を占めてはいるものの、安定多数の60議席を確保しているわけではなく、トランプ氏の打ち出す政策すべてが何でも通るというわけではない。したがって、ここまで過度な政策期待で買われていた反動が生じることもあり得る。また、ここまで進行してきたドル高が米国経済の実勢面に影響を与えることも考えられ、表面化した場合は米株市場にとってもネガティブに作用する可能性が高い。

 東京市場も外国人主導で上昇してきただけに、米株市場が軟化すればその余波は免れないだろう。加えてトランプ次期米大統領は製造業の支持が基盤となっていただけに、ドル高を放置しておくことは考えにくい。これまでの円安基調がストップすれば主力株には逆風となる。

 したがって、2017年相場はトランプ氏の大統領就任前後の1~2月にかけて押し目形成の場面に遭遇しやすいと考えている。その場合、NYダウは1万9000ドル近辺、日経平均は1万8500円程度まで調整があって不思議はない。ただし、大勢上昇トレンドは不変と考えており、そこでの押し目は中期的にみれば買い場となりそうだ。

 東京市場における新年の物色対象としては銀行セクターが相対的な強みを発揮しそうだ。また、強い米国経済を需要先とする自動車株やトランプ氏のインフラ政策拡大が追い風となる建機メーカーなどは優位性がある。もっともトランプ次期米大統領の意思を反映したドル安・円高方向への揺り戻しには注意が必要で、為替相場を横目に臨機応変に対応したい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均