【特集】西川雅博氏【新年「トランプ」相場の見通し】(2) <相場観特集>
西川雅博氏(光世証券 執行役員)
―期待感いつまで、相場に潜む“先高感”と“死角”―
東京株式市場は12月最終週を迎えて市場参加者不足からさすがに商いは盛り上がりを欠いているものの、一部の手仕舞い売りを吸収して日経平均株価は底堅さを発揮している。来年相場への先高感の強さを物語っているが、順風満帆の相場展開に死角はないのだろうか。金融・証券分野での経験が豊富なマーケット関係者3人に新年相場の見通しと投資の勘所を聞いた。
●「日本株の出遅れ感が目立つ、日本の政治的安定感を評価する見方が強まる」
西川雅博氏(光世証券 執行役員)
当然、短期的には高値警戒感が台頭するところだが、騰落レシオの異常値は、過熱感と同時に中長期の相場トレンドが劇的に変化したことを示すシグナルでもある。アベノミクスが始まって以降の4年間で25日騰落レシオが165%水準まで上昇したのは2012年12月19日と2014年6月24日の2回しかない。一年後の日経平均はおのおの6000円と5000円幅以上の上昇となった。特に、アベノミクス初動時の2012年の場合は、翌2013年5月22日までの約5ヵ月間大きな押し目のない強気相場につながっている。
米国大統領選後急騰して年末を迎えた日本株だが、年初からの日経平均上昇率はようやく2.1%(12月22日現在)である。NYダウが14.4%、英FT100が13.2%、どいつDAXが6.5%なので、年間を通じれば日本株の出遅れ感が目立っている。選挙スケジュールから政治リスクを抱える欧州に比べて、今後は日本の政治的安定感を評価する見方は強まるのではないか。
来年の株式相場のポイントは、トランプノミクスへの期待感がどれだけ持続するのかということになろう。現在のところ、選挙公約に掲げた保護主義的政策の表立った動きは封印されている。大統領就任後も少なくとも春くらいまでは期待が先行する動きが続くであろう。その頃には来期(18年3月期)の日経平均のEPS予想が1350円程度まで上がる可能性が高いと見ており、PER16倍として2万1000~2万2000円が当面の目標と考えている。個別ではアルプス電気 <6770> とスタンレー電気 <6923> に注目。
(聞き手・加藤智)
<プロフィール>(にしかわ・まさひろ)
1960年奈良県生まれ。82年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 90年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当。
株探ニュース