【特集】【今週読まれた記事】突然のマグネシウム電池関連祭りと半導体長期相場が人気
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
連休明けの火曜日に日経平均は1ヵ月ぶりの1万7000円の大台回復。もっともその日の引け後に配信した「明日の株式相場見通し」の予想は「心理的フシ目の回復による目先的な達成感から、利益確定の売りが優勢となり反落」というもの。実際、翌日から日経平均は続落となり、大台回復後にいったん調整となる“教科書的”な値動きとなりました。週末は3日ぶり反発で、前週比では3円安で取引を終了。7月後半からのもちあい相場が継続した形ですが、値幅は次第に小さくなっており、いよいよもちあいは煮詰まってきました。為替はドル円の日足が一目均衡表の雲を上抜けし、年初からのドル安・円高トレンドが終焉。先行きの見通しは明るく見えます。
こうしたなか、今週の市場で話題を集めたのは、突然のマグネシウム電池関連銘柄の人気でしょうか。株探でも11日、すかさず速報記事「マグネシウム電池関連が軒並み急伸、『ホンダがマグネシウム電池を実用化へ』」を配信。次いで「<話題の焦点>=マネーゲームか、大相場の初動か マグネシウム電池関連株が超絶急動意」で深掘りした記事を公開し、注目度の高さから両記事とも多くのアクセスを集めました。
「理想買い」の段階にあるマグネシウム電池関連買いに対し、「現実買い」で人気継続中のテーマといえば半導体関連。「AI・IoT時代到来で需要爆発『半導体』、関連株は“異次元高値”へ <株探トップ特集>」は今週、最も読まれた記事となりました。今週は日米両国とも週後半の全体相場が調整ムードで、連れて半導体関連株も両国で押し目を形成しています。とはいえ、現実買いのステージに入った銘柄は、幾度もの押し目を作りながら業績の拡大とともに上昇トレンドを形成するもの。じっくりとホールドを続けるも良し、吹き値売りと押し目での買い戻しを繰り返しながら波に乗るも良し。記事ではIoT(モノのインターネット)やビッグデータ、人工知能(AI)などに注目が集まるなか、「その縁の下を支えるのは半導体」であり、「3次元NANDの成長は株式市場でも長期にわたって買いの手掛かりとなっていきそう」との分析を伝えており、目先の値動きで大局を見失わないようにしたいところです。
その他の投資テーマを扱った記事としては、今週の世間を賑わしたイベントである「プレステVR」発売を扱った「未知との遭遇、変わる世界―『プレステVR』あす発売で株価は <株探トップ特集>」、「プレステVR登場、VR市場は開花するか? SBI証券・鈴木英之氏に聞きました!<直撃Q&A>」が中位にランクイン。VR(仮想現実)は社会を変えていくのでしょうか。
先週後半から連休にかけて配信し、大人気だったのは「上方修正」期待銘柄の一連の特集。「発表迫る、16年9月中間期【上方修正】期待リスト」は「中大型株編」、「新興&2部編」、「小型株編」の3部に分けて配信。来週からいよいよ3月期決算企業の中間決算発表が本格化するなか、多くのアクセスを集めました。「上方修正」期待では、「低PERの17年3月期“上方修正”期待リスト〔第1弾〕 33社選出 <割安株特集>」もランクイン。こちらも必見のリストとなっています。
ひところより株価修正が進んだとはいえ、市場にはまだまだ割安に放置された銘柄が数多く存在します。配当利回りという観点からは、「10月に配当取りを狙える【高利回り】ベスト30 <割安株特集>」、「【高配当利回り銘柄】ベスト30 <割安株特集> 10月12日版」が人気でした。低PER銘柄を対象とした特集では“売り長”銘柄をリストアップした「好需給の低PER『お宝候補』リスト 36社選出 <割安株特集>」が非常に多くのアクセスを集めました。配信から2週間近く経つにもかかわらず根強い人気が続いたのが「新高値続出の中小型株、まだ割安の“連続増益”銘柄リスト 36社選出 <成長株特集>」。記事中で紹介された銘柄のいくつかは、その後に上値追いに移行しました。残された中にもまだ、変身を待つ銘柄が眠っているかもしれません。
全体相場についての見通しについては割れていますが、悲観的な声はほとんどありません。相場観特集で、「年末にかけ1万8000円」を打ち出したのは日本アジア証券の清水三津雄氏。一方で、ブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏は「1月初旬にかけて1万6000円前後、ともすれば1万5500円近辺までの調整もあり得る」と予想。もっとも、「ただし、そこは売り場ではない。年末にかけてはV字型の戻り相場を演じる可能性が高い」としており、この通りの展開になった場合、拾い場ということになるのかもしれません。証券ジャパンの大谷正之氏は日経平均が「戻り待ちの出やすい価格帯に差し掛かってきた」と指摘しています。
連載陣では、北浜流一郎氏が「ズバリ株先見!」で、トレンドに乗ることの重要性を説きつつ、この観点からは、全体相場は「まだそこまでの蘇生力はなく、正直物足りない」と指摘。富田隆弥氏は「『好転』の兆し、しかし慌てず」で、状況は好転しつつあるが日米とも全体相場のもちあいが煮詰まっており、「上向きの方向感を確認するまでは慌てる必要はない」と待ちの姿勢を説いています。
さらに長期的視点で、今が新たな大きな流れに入るかどうか見極める時期であると説いたのは植木靖男氏。現在の相場には3つの関門が存在し、その第三関門である4月の戻り高値1万7572円を突破した場合、「15年年央の大天井からの中期調整が終了」し、「09年3月から15年年央までの6年有余に及ぶ第一段騰げに続く、第二段騰げが期待される」と示唆。第三関門突破があるかどうかを予想しています。こうしてみると、現在の相場は新たな上昇ステージに向かえるかどうかの分岐点に差し掛かっているようです。年末に向けて、煮詰まりつつあるもちあいがどちらにブレイクするか目が離せません。
株探ニュース