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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「『好転』の兆し、しかし慌てず」

株式評論家 富田隆弥

日経平均株価は10月になり4連騰で1万7000円に迫ってきた(6日現在)。ゴールデンクロスの25日移動平均線、200日線を上抜くなど、チャートは好転の兆しを漂わせ、市場からは強気観測も聞こえるようになってきた。だが、チャートの流れとしてはまだ往来圏の中の「もみ合い」にある。この3ヵ月は「1万6300~1万7000円」の往来であり、少し長めに3月から見ても「1万5500~1万7500円」の往来相場で、週足では52週線(1万7140円)や一目均衡表の「雲」(1万6853~1万7908円)が控えている。

◆株高を支える要因の一つに「円安」がある。為替(ドル円)を見ると103円台を回復し、日足は75日線(102.50円)や「雲」(102.26~103.29円)を上抜き、6月から続く三角保ち合いを上放れてきた。この為替の好転信号は、日経平均にとって心強い援軍と言える。次の節は26週線の104円台半ばであるから、もうしばらく「円安-株高」が続くことも想定される。

◆あと残るポイントはNYダウ平均だ。NYは8月15日に過去最高値1万8668ドルを付けてから調整基調が続く。9月以降は1万8000~1万8400ドルの範囲でもみ、日足は三角保ち合いを煮詰めつつある。アメリカは12月の利上げが濃厚となり、為替は「ドル高-円安」に動き出しているが、NYダウにとっては微妙なところ。

◆「JR九州」の上場が10月25日に迫ってきた。市場関係者はその上場を成功させるためにも株式市場の堅調地合いを演出したいところだろう。また、年末にかけては「株高」というアノマリー(経験則)もあり、強気観測を強めることも想定される。だが、いまはまだ10月上旬で、10月には「波乱」のアノマリーもある。

◆為替を含めて目先の好転信号は注目できるものの、短期のテクニカルが高値圏となりスピード調整のほしいタイミングでもある。三角保ち合いを煮詰めるNYダウ、そして往来ゾーンにある日経平均。しっかり上向きの方向感を確認するまでは慌てる必要はない。

(10月6日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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