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【特集】大谷正之氏【ムード好転の東京市場、上値のメドは?】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―日経平均1ヵ月ぶり大台回復、今後の相場展開を聞く―

 11日の東京株式市場は、日経平均株価が終値で前週末比164円67銭高の1万7024円76銭と反発した。終値では9月7日以来約1ヵ月ぶりの1万7000円台回復。11月の米大統領選に向け、民主党のヒラリー・クリントン候補が優勢と伝えられたことや、原油価格上昇を追い風に、前日の米株式市場でダウ平均株価が大幅反発し、外国為替市場で1ドル=104円近辺へと円安・ドル高が進行したことが好感された。日経平均株価1万7000円台回復後の相場展開について第一線の市場関係者に聞いた。

●「マイナス材料を織り込み底上げ相場進展へ」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 今週、来週は海外の経済指標や企業決算の内容に左右される展開が予想されるが、それ以降は国内企業の4-9月期決算を織り込みながらの推移となりそうだ。きょうの値動きで象徴的だったのは日本郵船 <9101> 。前週末7日に、郵船が17年3月期の第2四半期決算で、減損損失および契約損失引当金の発生で合計約1950億円を特別損失に計上する見込みと発表した。これを嫌気して、きょう寄り付きは売りが先行したものの、短時間でプラス圏に浮上し、その後は頑強な推移となった。業績の下方修正は悪材料出尽くしと受け止められ、為替の円高によるマイナス要因の多くは、4-9月期の業績で織り込み済みとの見方が強まっている。

 業績に関連したマイナス要素の織り込みが進んでいることから、4-9月期決算発表本格化に伴って、株価面での底上げが進展することになりそうだ。ただ、日経平均が1万7000円台を回復してきたことで、滞留日数の関係から戻り待ちの出やすい価格帯に差し掛かってきたことは確か。

 当面のフシ目としては52週移動平均線(1万7139円=前週末)があり、長期的な上昇シグナルの点灯として注目。さらに、5月31日高値の1万7251円、4月25日高値の1万7613円が目標となる。半面、下値は13週移動平均線(1万6675円)辺りを想定している。

 4-9月期決算発表が本格化するなかで見直し余地があるのは建設、化学、非鉄などのセクターだ。具体的には、利益の進捗率の高い五洋建設 <1893> 。化学株では大手の三菱ケミカルホールディングス <4188> 、三井化学 <4183> 、住友化学 <4005> に注目。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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