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【特集】AI・IoT時代到来で需要爆発「半導体」、関連株は“異次元高値”へ <株探トップ特集>

アドテスト <日足> 「株探」多機能チャートより

―2020年世界データ量6倍へ、膨らむ関連株の上値期待―

 半導体関連株の上値期待が再び膨らんできた。東京エレクトロン <8035> やアドバンテスト <6857> 、SCREENホールディングス <7735> 、ワイエイシイ <6298> など半導体製造装置メーカーの株価は9月に入り調整色をみせていたが、ここ最近は売りが一巡し仕切り直し相場に動き出した感がある。また、製造装置関連のなかでは相対的に強さを発揮し、9月に押し目らしい押し目を形成しなかった日立国際電気 <6756> や、ローツェ <6323> といった銘柄も再浮上に転じている。これらの銘柄に共通していえることは、現在の株価水準は、中期的なスパンでみてまだ山麓に過ぎないということだ。半導体関連株の行方は大方が予想するよりもはるかに高峰を目指す可能性が出ている。

●IoT新時代に産み落とされた革命的メモリー

 あらゆるものがインターネットで結ばれる IoT時代の到来は、膨大な情報量と我々の日常空間が、境界線が引かれることなく同化されていく過程でもある。東京五輪が開催される2020年には全世界ベースで500億台の機器がネットとつながるとも試算されており、その前提で世界のデータ量は同年までに現在の6倍水準に膨れ上がるともいわれている。その際のインフラとして、大量の情報を保管するデータセンターの新設や設備増強は必須の課題となる。

 こうした状況下、高水準の需要が創出される新型メモリーとして脚光を浴びているのが3次元NAND型フラッシュメモリーである。記憶素子が従来の平面ではなく立体方向に積層化されたフラッシュメモリーであり、高速での読み書きが可能となる。データセンターではビットコストがハードディスクドライブ(HDD)より割高であっても、時流は高速・大容量化に対応した3次元NANDを使用したソリッドステートドライブ(SSD)へのシフトが加速していくことを示唆している。

 3次元NANDは、韓国のサムスンが業界を先駆したが、現時点ではこれに韓国のSKハイニックス、米インテル&マイクロンテクノロジーの企業連合、そして東芝 <6502> &ウエスタンデジタル連合の4極がしのぎを削る状況となっている。既に、サムスンは来春にかけて2兆2000億~2兆3000億円規模の巨額資金を投入して、3次元NANDの増産を図る方向にあることが伝わっている。また、東芝は7月末に世界初の64層3次元NANDのサンプル出荷をスタートさせ、8月以降の株価上昇に反映させているのは周知の通りだ。13週移動平均線を下支えに典型的な下値切り上げトレンドで、戻り相場はこれからが本番という印象も受ける。

●AIや自動運転で半導体に新たな成長シナリオ

 今後、データセンター分野以外にも、米アップルのiPhoneをはじめモバイル端末の進化に加え、ソフトバンクグループ <9984> 傘下の英アームが重視する自動運転など、成長分野がひしめき、半導体需要を喚起する。産業革新ともいわれる3次元NAND需要が増勢一途となることは必至の情勢といってよい。

 東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏は、「IoTやビッグデータ、さらに人工知能(AI)などが日々メディアを賑わすなかで、忘れられがちだが、その縁の下を支えるのは半導体だ。平面で集積度を高める微細化が限界点に達したところで発想を転換し、立体化という画期的な進化をもたらした3次元NANDの成長は株式市場でも長期にわたって買いの手掛かりとなっていきそうだ」という見解を示す。

 また、株式市場では、ここにきて半導体関連が再び動意づく目先的な環境の“変化”もある。経済ジャーナリストの雨宮京子氏は、「半導体SOX指数が高値圏で推移していることに加え、米早期利上げの思惑が再燃したことで、為替が円安方向に動き出した。これが輸出関連である半導体関連株には有利に働いている。また、日立製作所 <6501> や富士通 <6702> の事業売却の動きが大きく報じられるなか、これがいずれも“選択と集中”というコンセプトで株価に前向きに作用したことが、投資家心理に良い影響を与えた。半導体周辺株は、再編思惑をプラス材料としてとらえるムードが醸成されていることも、投資のタイミングを暗示している」と実践的な視点で急所を衝く。

●株価優位性を発揮する製造装置関連株

 一方、半導体関連といっても十把一絡げに買いというわけでもない。銘柄ごとの物色人気には濃淡が出ている。東エレク、スクリーン、日立国際といった製造装置メーカーが既に過去10年を遡っての高値圏に突入している一方で、ルネサスエレクトロニクス <6723> やSUMCO <3436> などにはまだ相対的に出遅れ感がある。投資マネーの選別のポイントはどこにあるのか。

 これについて、松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「半導体関連でも3次元NANDに対応した設備投資増強の動きが、そのまま収益機会につながる製造装置関連は業績面で確実な上乗せが見込める点で物色人気が集まりやすい。しかし、これから量産化のプロセスで価格競争の波に揉まれやすい半導体メーカー側は、それほど楽観的ではない部分もある。そこを投資マネーは見極めている」と指摘する。現時点では3次元NANDは従来型のフラッシュメモリーと比較して20倍近い価格がつく超高付加価値商品だが、「普及に従って値段が下がってくるのは半導体メモリーの宿命」(窪田氏)であり、結局は競争に打ち勝つ技術力と体力を有しているかどうかが株価的にも明暗を分けることになっていく。

●高値圏舞う日立国際、アドバンテと関電化に穴株妙味

 個別では、半導体製造装置メーカーで、今期減益見通しながら株価が19年ぶりの高値圏に入った日立国際の強さが目立つ。5月以降、13週移動平均線をサポートラインとする一貫した上昇波動を形成、前工程で使用されるサーマルプロセス装置(熱処理成膜装置)で東エレクと世界シェアを二分する。また、過去の天井の高さが注目されるのがアドバンテスト <6857> で、1999年12月末に1万3970円(分割修正値)の高値をつけている。検査装置での商品競争力は今も健在だ。高速・大容量の3次元NAND向けのテストシステムの需要旺盛で、来期以降の業績回復シナリオが見えてくれば、再び中長期大化け相場の道程が待っている可能性もある。

 半導体向けなどに特殊ガスを手掛ける関東電化工業 <4047> も積層化された3次元NANDのチップ構造に対応した6フッ化タングステンなどが拡大、収益環境は追い風が強まっている。半導体切断装置を手掛けるディスコ <6146> も3次元NAND向けで引き合いが増えている。東芝向けなどでビジネスチャンスが広がっていく公算が大きい。

株探ニュース

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