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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「正念場のNY株式市場」

株式評論家 富田隆弥

◆先週の日経平均株価は11日に高値1万7074円を付けたが、その後は1万6700円台に押されるなど、7月から続く往来相場に変わりはない(13日現在)。為替も103~104円台で推移しており市場に危機感はない。だが、世界の屋台骨であるNYダウ平均の雲行きが少し怪しい。

◆NYダウは8月15日に過去最高値1万8668ドルを付けたあと、9月14日に1万7992ドルまで下げ、日足が「陰転」、その後1万8000~1万8400ドルでもみ合い、踊り場を形成している。1万8600ドルを回復するなら「好転」の兆しも出るが、直近(10月12日)は安値1万8082ドルを付けるなど「下放れ」の気配を漂わせている。もし下放れると日足は「二段下げ」となり、一目均衡表の「雲」下限1万7865ドル、N波1万7773ドル、200日移動平均線1万7638ドル、52週線1万7625ドルなどを模索する動きとなろう。

◆NYダウが二段下げとなると日本株もツレ安を免れず、75日線(1万6457円)や往来相場(1万6250~1万7250円)の下限を試すことになるが、懸念されるのは、NYダウが7年半に及ぶ過剰流動性(マネーゲーム)により過去最高値圏にあり、下値余地が小さくないことだ。「二段下げ」が単なるスピード調整で終わり、その後に切り返すなら大きな問題にはならないが、世界中に溢れ出ている未曾有のマネーが逆流すると「負の連鎖」から「同時株安」を強め、「8年前の二の舞」となり兼ねない。

◆ブラックマンデーの10月、3日新甫の10月、ヘッジファンドの決算対策売りなど、この10月は波乱の起きやすいアノマリーがある。それだけに、NYダウの二段下げには多くのリスクが孕んでいることを認識しておく必要がある。

◆もちろん、NYダウが安泰であれば日本株に対する懸念も杞憂に終わるだろう。ただ、いまのところ日米とも株価は好転を確認できずにおり、それを確認するまでは慌てる必要もなく、リスクに備えておくことは無意味でもない。

(10月13日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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