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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 米国長期金利次第か

株式評論家 植木靖男

「米国長期金利次第か」

●関門突破で第二段騰げに期待

 株価はようやく回復の途につき始めたようだ。

 目下、上値の壁に第一関門、第二関門、第三関門とあるが、第一関門は超目先のものであり、これは日々の値動きで容易に変わり得る。10月7日現在、この関門は突破している。

 ついで第二関門は9月6日の1万7081円だ。ここを上抜けば6月24日安値以降の買いは計算上はすべて利喰い玉になる。多くの投資家はほっとし、安堵感が生まれる。ようやく回転が効いてくる水準だ。

 そして第三関門はいうまでもなく4月の戻り高値1万7572円である。ここを突破する意味合いは大きい。大雑把にいえば、年初からの買い玉は大方利喰いの水準となるからだ。

 そして、15年年央の大天井からの中期調整が終了したことも確認されることになると同時に、09年3月から15年年央までの6年有余に及ぶ第一段騰げに続く、第二段騰げが期待されることになる。

 では、この水準を抜く可能性はどうか。

●米国株保ち合いの行方に注目

 10月に入ってから市場を巡る環境は好転しつつある。なによりも米国利上げの可能性が強気の景気指標の発表が相次ぎ強まってきたことだ。これに呼応してここ急速に米国長期金利は上昇に転じてきた。10月6日1.739%と5日間の続伸である。

 これを受けて為替市場では海外で104円台を覗く水準にまでドル高となっている。7月に107円台があるが、直前のドル高値104円台を明確に上抜くと107円台もみえてくる。いよいよ“円高時代、さようなら”ということになる。

 こうなれば、株価の基本要因である企業収益も大方の輸出想定レート105円処ということであれば、今期上方修正の余地もあろう。

 株高の条件は次第に醸成されていく。企業収益の見通しが変わってくれば需給関係にも変化が顕れよう。今日、日銀買いの海外勢売りといった対立構図になっているが、海外勢が逆に買いに転換することも予想される。海外勢が買わなくては東京株価が騰がらないのも事実。

 ともあれ、こうした上昇シナリオ通りにいくかどうかは米国金利の動向次第といえよう。

 一方、気がかりは米国株価だ。8月に大天井を打って以降、数百ドル下落した1万8000ドル台前半で、9月中旬以降もみ合いが続いている。この保ち合いが下落途中での中段もみ合いなのか、はたまた底値もみ合いなのか予断を許さない。前者であれば海外勢が日本株を買ってくる余裕はない。

 いずれにしても、米国株の保ち合いは日柄からみて結論が出る頃だ。注目したい。

2016年10月7日 記

株探ニュース

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