市場ニュース

戻る
 

【特集】伊藤智洋が読む「2017年マーケット・シナリオ」 <新春特別企画>

日経平均 <月足> 「株探」多機能チャートより

「年後半、2万3000~2万5000円処を目指す!」

●こうして組み立てる「年間の相場シナリオ」

 毎年、その年のシナリオは、年間の変動幅(日経平均株価なら3000~6000円)を目安に強弱の両方を考えます。

 年初には、強弱それぞれ何通りかのシナリオが想定できます。そして、そのシナリオは、上げるべき時期、下げるべき時期を経過するごとに絞られていきます。

 2017年の展開を考えていく前に、まず、日経平均の1年間を通じた値動きの特徴を書いておきます。

 日経平均は、1月から4月、展開次第では6月頃までの期間は上げ傾向がみられます。

 弱気パターンの年は、1月、4月、または6月に年間の最高値をつけて、下げの流れへ入る傾向があります。

 5月は、強弱のどちらの年であっても、上値を抑えられやすい傾向がみられます。上昇の流れを継続すると見られるときでも、値幅の伴った調整が入ると想定できる場面があります。この時、3~6月の期間のどこかで値幅の伴った調整があると推測するならば、4月に戻り高値をつけて、5月へ向けていったん下値を試す動きを考えます。

 1~4月は上昇しやすい時期ですが、4ヵ月連続して上昇するわけではありません。1月、2月に上昇するなら、3月、4月が上値重く推移して、逆に1月、2月に上値重く推移するなら、3月、4月に上昇するという流れになります。

 また、前年後半に十分価格が上昇しているときは、1月、2月に調整を経過することを想定しておく必要があります。

 2016年は、15年末に有力と見ていた予想と異なり、1月、2月に価格が大幅に下落しました。極端に弱い動きとなりましたが、それでも、そのまま下げの流れを継続せず、2月の安値が押し目になって、4月まで上値を試す流れができました。

 さて、年後半の傾向ですが、6月から10月頃までは、上値を抑えられやすい時期になります。そのなか、9月は、5月と同様にはっきりとした下げ傾向があります。下げ幅が大きくなる場合、下値を掘り下げるのは、7~9月になります。

 以上を前提に、2017年のシナリオを組み立てていきます。

●2017年、2つの有力シナリオ

 現時点では、2017年が強気パターンの年になるか、弱気パターンの年になるかはわかりません。そのため、強弱の両方で何通りかのシナリオを想定することができます。

 ただ、これまでの経緯から推測すると、今のところ有力と考えられるシナリオは、以下の2通りに絞られます。

 2通りのシナリオは、3月以降、値位置が若干異なる程度で、だいたい同じ展開を想定しています。その違いは、16年11月1日~11月9日までと同程度の値幅(1362円幅)の調整がいつ頃あらわれるかになります。

【第1のシナリオ:年前半の高値は2万0900円処】

 1つ目は、現在がすでに1362円幅の調整の途中という見方です。その場合、1月から2月頃までの期間で、1万8230円前後で調整を終了して、上昇を開始すると考えられます。

 年初にいったん価格が下げてしまうと、15年6月24日の高値2万0952円まで、2000円以上の上げ幅を残すことになるので、上げやすい時期とはいえ、年の前半で一気に2万0952円を大きく上回る展開になることを考えにくい状況ができます。

 したがって、2月からの上昇は、2万0952円を前に、または2万0952円を超えてすぐのあたりで、4月、または6月頃に上値を抑えられると考えられます。

【第2のシナリオ:年前半の高値は2万2000円処】

 2つ目は、現在が上昇の途中で、1月に上げ幅を拡大するという見方です。

 16年12月21日以降の上値重い動きは、12月30日の時点で終了して、新年から新たな上昇の流れへ入ります。

 この上げは、11月9日から継続する上昇の最後の吹き上げの動きであるため、短期間で一気に上げる動きになる公算です。上昇の目安は短期間で上げられる値幅のため、1000~2000円幅になります。

 1月中旬から2月上旬頃までの期間で、2万円から2万1000円の範囲内で戻り高値を確認して、その後、1362円幅の調整局面へ入ります。

 戻り高値を確認した後、比較的長い調整期間が必要になります。このケースでは、3月頃に押し目をつける展開を想定しています。

 3月以降は、17年前半の上げ場面へ入ります。この上昇は、1月の高値を超える展開になるので、上値に対して目立った抵抗がなくなります。したがって、こちらの展開になる場合、6月頃までに2万2000円程度までの上げ余地が出てきます。

 さらに上値を目指す動きがあるか否かは、円・ドルの展開次第になります。

●円安を追い風に、年後半は新たな上昇局面に

 17年前半は、8月、または9月頃まで、円・ドルが円高気味に推移し、110円を目指す動きになると想定しています。

 したがって、日経平均は、5月以降、円高方向の振れ幅が大きくなり、下げ幅が大きくなりやすい展開へ入ります。

 ここからの説明は、上記2つのシナリオで想定される共通の展開について述べたものになります。日経平均は、季節性や円高により、17年前半の高値を確認した後、9月頃まで上値を抑えられやすい動きを継続すると考えられます。

 そして、8月から10月までの期間で、下値堅さを確認した後、新たな上昇の流れへ入ります。

 この上げは、 為替で1ドル=110円から120円、125円を目指す円安の後押しもあり、前半の高値を大きく上回って、年末までの期間で、2万3000~2万5000円程度を目指すと考えられます。参考になる展開としては、2005年に近い動きになると見ています。

2016年12月29日 記

情報提供:パワートレンド=伊藤智洋のPower Trend

【伊藤智洋 プロフィール】
1996年に投資情報サービス設立。メールマガジン、株価、商品、為替の市況をネット上で配信中。最新刊「株の値動きは4回のうち3回当てられる」(KADOKAWA)など著書多数。


★元旦~3日、「新春特集」を“21本”配信します。ご期待ください。
       →→ 「新春特集」の記事一覧をみる

★元旦、7本を配信します。
 10時 高岡隆一の【2017年のポイントとヒント】─ 波乱を想定、為替が鍵を握る
 11時 伊藤智洋が読む「2017年マーケット・シナリオ」 <新春特別企画>
 12時 ドル円は“130円台”に、山岡和雅が斬る2017年「為替相場の大胆予想」
 13時 雨宮京子が斬る!酉年「有望株!」 <新春お年玉企画>
 14時 植木靖男が斬る!酉年「有望株!」 <新春お年玉企画>
 15時 杉村富生が斬る!酉年「有望株!」 <新春お年玉企画>
 16時 北浜流一郎が斬る!酉年「有望株!」 <新春お年玉企画>

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均