仕手株とは?メカニズムを理解し、注意しよう!
「株価が急騰している銘柄があるけど、これって一体何…?」そんな風に思ったことはありませんか。
もしかしたらその銘柄は特定の投資家グループによって意図的に株価が操られている仕手株かもしれません。
仕手株は短期で大きな利益を得られる可能性がある一方で、仕組みを知らないと高値で掴んでしまい大損する危険性もあります。
本記事では、仕手株のメカニズムや特徴、そして失敗しないためのポイントを初心者にも分かりやすく解説します。
仕手株とは?
仕手株とは、特定の目的を持った投資家グループ(仕手筋)によって、巨額の資金を使い、意図的に株価を操作される銘柄のことです。
仕手筋の目的は安値で大量に株を買い集めた後、株価を人為的に急騰させ、注目が集まりきった最高値のタイミングで一気に売り抜けることにより、短期間で莫大な利益を得ることにあります。
この株価の急騰に気づいて飛び乗った個人投資家は、仕手筋が売り抜けた後の株価暴落に巻き込まれ、結果的に高値で株を掴まされる(高値掴み)ことになり、大きな損失を被る危険性が非常に高いです。
このような仕手株の値動きは、企業の業績や将来性といった本質的な価値とは全く関係なく動いており、まさに仕手筋によって仕掛けられた危険な「マネーゲーム」と言えるでしょう。
仕手株のメカニズム
仕手株が作り上げられるまでには、一般的に「玉集め」「玉転がし」「古い落とし」という3つの巧妙なステップが存在します。
まず仕手筋はターゲットに定めた銘柄の株を市場に気づかれないように少しずつ、かつ大量に買い集めていきます。
この段階を「玉集め」と呼びます。
株価を安く仕入れるため、この収集は取引参加者が少ない銘柄を対象に、数週間から数ヶ月かけて静かに行われるのが特徴です。
十分に株を買い集めた後、仕手筋は次の段階である「玉転がし」に移ります。
自分たちが仕込んだ玉(株式)を転がすように、SNSやネット掲示板などで「近々大きなIRが出る」といった真偽不明の情報を流し、一般投資家の関心を煽ります。
この情報に釣られた個人投資家たちの買い注文が殺到し、株価は坂道を転がる玉のように勢いを増して急騰していきます。
株価が十分に高騰し、多くの個人投資家が熱狂して買いに走るクライマックスで、仕手筋は最終段階に入ります。それが自分たちの利益を確定させ、高値で買った投資家をふるい落とすための「古い落とし」です。
仕手筋は安値で仕込んでいた全ての株を最高値圏で一気に市場に売り浴びせます。
この膨大な売りによって株価は一気に暴落し、高値で掴んだ個人投資家だけが取り残されるという悲惨な結末を迎えることになるでしょう。
仕手株になりやすい銘柄の特徴
仕手筋にとって株価操縦がしやすい、狙われやすい銘柄にはいくつかの共通した特徴がありますので紹介します。
時価総額が小さい
まず挙げられるのが、時価総額が数十億〜数百億円程度と規模が小さいことです。
時価総額が小さいということは、株価を動かすのに必要な資金が少なくて済むことを意味します。
特に発行済み株式数が少ない銘柄は市場に出回る株の量も限られるため、仕手筋が株を買い占めやすく、自分たちの思い通りに株価をコントロールしやすくなります。
普段の出来高(売買代金)が少ない
普段の取引が活発でなく、閑散としている銘柄もターゲットになりやすいでしょう。
出来高が少ない銘柄は、少しの買い注文が入るだけで株価が大きく動きやすいという特徴を持っています。
そのため、仕手筋は効率的に株価を吊り上げることが可能になります。
普段は閑散としているのに、ある日を境に出来高が急増し始めた場合は注意が必要かもしれません。
成長途中の新興株
グロース市場などに上場している新興株も、仕手筋に狙われやすい傾向があります。
これらの企業は将来の大きな成長が期待される一方で、まだ事業基盤が安定していないケースも少なくありません。
その「夢」と「不安定さ」のアンバランスさが、業績などの実態からかけ離れた値動きを生む土壌となり、仕手筋に利用される隙を与えてしまいます。
仕手株で失敗しないために
仕手株による失敗を避けるための最も確実な方法は、原則として手を出さないことです。
特に株式投資の初心者は、企業の業績や将来性といったファンダメンタルズに基づいた堅実な投資を心掛けてください。
その上で、仕手株の被害に遭わないためには、そもそもターゲットにされやすい銘柄に近づかないことが重要になります。
具体的には、上記で説明した「時価総額が小さい」「普段の出来高(売買代金)が少ない」「成長途中の新興株」といった特徴を持つ銘柄を投資初心者のうちは特に避けるのが賢明です。
編集者
これらの特徴を満たす銘柄は株価を動かしやすいため、仕手筋にとって格好の的になりかねません。
仕手株に関するよくある質問
-
Q
仕手株の取引や情報拡散は違法ですか?
-
A
意図的に株価を吊り上げるために虚偽の情報を流したり(風説の流布)、特定のグループが結託して売買を繰り返したりする行為は金融商品取引法における「相場操縦行為」として明確に禁止されています。
違反した場合は重い罰則が科される可能性があり、安易に情報を拡散するだけでも罪に問われるリスクがあるため、注意が必要です。
-
Q
仕手株だと気づかずに高値で買ってしまった場合はどうすればよいですか?
-
A
最も重要なのは、さらなる損失拡大を防ぐために迅速に損切りをすることです。
「また株価が戻るかもしれない」という期待は捨て、機械的に売却するのが賢明です。
仕手筋が売り抜けた後の株価が、買い値まで戻る可能性は極めて低いと考えましょう。
-
Q
仕手株の動きを予測して儲けることはできますか?
-
A
難しいです。仕手筋がいつ売買を仕掛け、いつ売り抜けるのかを正確に予測することは、プロの投資家でもできません。
運良く一時的に利益が出たとしても、それは再現性のないギャンブルと同じです。
最終的には大きな損失を被るリスクが非常に高いため、はじめから関わらないのが最も賢明な判断と言えます。
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