株主優待とは?制度の仕組みや魅力、注意点を簡単にわかりやすく解説!
株主優待は企業から株主へ贈られる自社商品やサービス券などの特典で、株式投資の大きな魅力の一つです。
配当金とは別にその企業ならではの優待品が受けられるため、多くの個人投資家から人気を集めています。
しかし、「どうすればもらえるの?」「何か注意すべき点はある?」といった疑問やよりお得に手に入れる方法を知りたい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、株主優待の魅力や注意点、さらには「クロス取引」というお得な手法、おすすめの証券会社まで網羅的に解説します。
これから株主優待を始めたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
株主優待とは
株主優待とは、企業が株主に対して、日頃の感謝を込めて自社の製品やサービス、割引券などを贈る制度です。
株式投資によって得られる利益には、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)や配当金(インカムゲイン)がありますが、株主優待はこのどちらとも異なる「第3の利益」とも言えるでしょう。
配当金が「現金」で還元されるのに対し、株主優待は食品、日用品、施設の利用券といった「モノやサービス」で提供されるのが大きな特徴です。
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企業にとっては、個人株主に自社サービスのファンになってもらったり、長期的に株式を保有してもらったりするマーケティングの側面も持ち合わせています。
編集者
この制度は海外ではあまり見られず、日本の株式市場におけるユニークで魅力的な文化の一つとなっています!
株主優待のもらい方
株主優待をもらうには以下の4つのステップを踏む必要があります。
株式を売買するために証券会社の口座が不可欠です。
まだお持ちでない方は、手数料の安さやツールの使いやすさなどを比較し、ご自身に合った証券会社で口座を開設しましょう。
次に、欲しい株主優待を実施している企業の株式を購入します。
企業によって優待の内容や、優待をもらうために必要な最低株数(100株以上など)が異なります。
企業の公式サイトや証券会社の情報ページで、条件をしっかりと確認することが大切です。
ここが最も重要なポイントです。株主優待の権利を得るには、「権利確定日」という基準日にその企業の株主名簿に自分の名前が記載されていなければなりません。
株主名簿に記載されるためには、権利確定日の2営業日前にあたる「権利付最終日」の取引終了時点までに株式を保有している必要があります。
例えば、3月31日(金)が権利確定日の場合、その2営業日前の3月29日(水)が権利付最終日となります。この日までに株を買っておくことを忘れないようにしてください。
権利付最終日まで株を保有し、無事に権利が確定すれば、特別な申し込み手続きは不要です。
あとは自宅に優待品が届くのを待ちましょう。
一般的に、権利確定日から2〜3ヶ月後に、証券口座に登録している住所へ送られてくるケースが多くなっています。
株主優待のメリット
株主優待には現金で受け取る配当金とは違った以下のようなメリットが存在します。
実質的な利回りが高くなる
株主優待の最大のメリットは、現金配当だけでは測れない実質的な利回りが非常に高くなることです。
年間の配当金(インカムゲイン)に加えて、受け取った優待品の価値を金額に換算した「総合利回り」で投資効果を評価すると見方が変わります。
例えば、株価20万円の銘柄から年間3,000円の配当金が出ると、配当利回りは1.5%です。
しかし、それに加えて年に一度4,000円相当のカタログギフトが優待として送られてきた場合、実質的なリターンは合計7,000円と考えられます。これを基に計算した総合利回りは3.5%にも達します。
編集者
株主優待の価値を足し合わせて総合利回りを算出することで、表面的な数字だけでは見えてこない、きわめて魅力的な投資先を発見できるでしょう!
投資を長く続けるモチベーションになる
株主優待は投資の成果を具体的で楽しいモノとして実感させてくれるため、資産運用を続けるモチベーションを高めてくれます。
年に数回、企業から優待品が届くと、投資の成果をモノとして具体的に実感できます。
株価の値動きを数字で追うだけでなく、応援している企業からの贈り物というワクワク感が、投資を長く続けるためのモチベーションにつながるでしょう。
編集者
家族と一緒に楽しめる優待品を選べば、投資への理解を深めてもらうきっかけにもなります!
企業への理解や愛着が深まる
優待品を通じて、その企業の製品やサービスを実際に試す良い機会となります。
今まで知らなかった商品の魅力に気づいたり、レストランや小売店のファンになったりすることで、その企業をより一層応援したいという気持ちが芽生えるはずです。
株主優待は単なる金銭的リターンに留まらず、投資家と企業との間に意味のある関係性を築き、資産運用をより豊かな活動へと変えてくれます。
株主優待の注意点
多くのメリットがある株主優待ですが、株式投資である以上、知っておくべき注意点も存在します。
魅力的な側面だけでなく、リスクやデメリットもあらかじめ理解しておきましょう。
優待制度の変更・廃止リスク
株主優待は企業の業績悪化や経営方針の転換を理由に、優待内容が変更(改悪)されたり、制度自体が廃止されたりする可能性があります。
そのため、近年は全ての株主への公平な利益還元という観点から、優待を廃止して配当金を増やす(増配)方針を打ち出す企業も増えています。
編集者
優待目当ての投資が、予期せぬ変更で前提から崩れてしまうリスクがあることは覚えておいてください。
優待獲得のための条件を確認する
いざ株を購入しても、条件を満たさないと優待がもらえないケースもあるので注意が必要です。
- ・最低株数:多くの企業が100株以上など、優待獲得に必要な最低株数を定めています。
- ・長期保有条件:銘柄によっては1年以上継続保有している株主のみを対象とするなど、長期保有が条件の場合も少なくありません。
「買ったのに優待が届かない」という事態を避けるため、優待内容だけでなく、こうした獲得条件を企業の公式サイトや証券会社のページで事前にしっかりと確認することが大切です。
自分にとって不要な優待品もある
いくら「利回り〇%相当!」と謳われていても、その優待品が自分のライフスタイルに合わない、あるいは使わないものでは価値がありません。
お酒を飲まない人にとってのビール券や、近所に店舗がないレストランの割引券などがその例です。
編集者
数字上の利回りだけに惑わされず、その優待が本当に自分にとって嬉しいものかを冷静に判断する視点を持つようにしてください。
優待をお得に取得できるクロス取引
「株主優待は欲しいけれど、権利落ちによる株価下落は避けたい…」。そんな投資家の悩みを解決するテクニックとして知られているのが「クロス取引(つなぎ売り)」です。
この手法を正しく使えば、株価変動のリスクをほぼゼロに抑えながら、優待の権利だけをお得に手に入れることが可能になります。
クロス取引の基本的な仕組みは、「現物株式の買い」と同じ銘柄の「信用売り(空売り)」を同じ株数で同時に行うというものです。
「現物買い」と「信用売り」のポジションを両方持つことで、その後の株価がどう動いても損益が互いに相殺されます。
例えば、株価が上がれば買いポジションで利益が出ますが、売りポジションでは同額の損失が発生。
逆に株価が下がれば売りポジションで利益が出ますが、買いポジションは損失となり、実質的な損益はプラスマイナスゼロに近くなります。
株価変動の影響を受けない状態のまま、株主の権利が確定する「権利付最終日」をまたぎます。
現物の株式は保有しているため、株主優待や配当金(に相当する配当落調整金)を受け取る権利はしっかりと確保できるのです。
権利落ち日以降に、保有している現物株式を、信用売りの返済に充てる「現渡し(品渡し)」という手続きを行います。
これにより、買いと売りの両方のポジションが解消され、一連の取引は完了。最終的に、手元には株主優待の権利だけが残るという仕組みです。
クロス取引は非常に魅力的な手法に見えますが、コストの発生、信用取引の在庫切れ、計画的な準備が必要といった注意点も存在します。
編集者
まずは手数料が安く、一般信用の在庫が豊富な証券会社を選び、少額の取引から試してみることをお勧めします!
株主優待におすすめな証券会社
株主優待を始めるにあたり、パートナーとなる証券会社選びは非常に重要です。
証券会社を選ぶ際は以下の3つのポイントを押さえましょう。
- 1.取引手数料の安さ
株の購入には必ず売買手数料がかかります。特に少額から始めたい方や、多くの銘柄を保有したい方にとって、このコストは無視できません。1回の取引ごとにかかるプランや、1日の取引金額の合計で決まる定額プランなど、ご自身の投資スタイルに合った手数料体系の証券会社を選ぶことが大切です。 - 2.クロス取引のしやすさ
株価変動リスクを抑えて優待を得たいなら、クロス取引への対応力は必須のチェック項目です。特に予期せぬ追加コスト(逆日歩)が発生しない一般信用売りの取扱銘柄数や在庫の豊富さが重要になります。 - 3.情報収集ツールの充実度
「どんな優待があるか」「権利確定月はいつか」といった情報を簡単に検索できるツールの有無も、快適な優待ライフには欠かせません。優待内容やキーワードで絞り込み検索ができる機能が充実していると、効率的に魅力的な銘柄を見つけ出すことができます。
上記のポイントを踏まえ、株主優待におすすめの証券会社を3社紹介します。
SBI証券
SBI証券は口座開設数No.1を誇る最大手ネット証券です。≫SBI証券の評判・評価を詳しく見る
取引手数料の安さに加え、一般信用売りの取扱銘柄数が業界トップクラスであり、優待投資家にとって盤石の選択肢と言えるでしょう。
優待検索機能も非常に高機能なので、これから優待投資を始めたいという方はまずSBI証券に口座を開設しておけば間違いありません。
三菱UFJ eスマート証券
三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)は優待投資家からの評価が高い証券会社です。≫三菱UFJ eスマート証券の評判・評価を詳しく見る
特に業界随一の一般信用売りの品揃えを誇っており、他の証券会社では在庫がないような人気銘柄でも、ここなら取引できるケースが多々あります。
公式サイトにはクロス取引の専用解説ページやコストを計算できるシミュレーターも完備されており、まさに至れり尽くせりです。
1日の取引額100万円まで手数料無料のプランもクロス取引と非常に相性が良く、本格的に優待投資に取り組むなら必須の口座と言えるでしょう。
SMBC日興証券
SMBC日興証券は大手3大証券の一角でありながら、オンライン取引(ダイレクトコース)に力を入れています。
特筆すべきは信用取引の手数料が完全に無料である点。
さらに、一般信用の取扱期間が他社より長いケースや独自の在庫を保有していることがあり、クロス取引を本格的に行いたい投資家にとって非常に心強い存在です。
株主優待に関するよくある質問
-
Q
株主優待と配当金はどう違いますか?
-
A
配当金が「現金」で還元されるのに対し、株主優待は自社製品やサービス券、金券といった「モノやサービス」で還元される点が大きな違いです。
配当金は利益の分配ですが、株主優待は企業から株主への「感謝のしるし」といった意味合いが強く、日本独自の文化とも言われています。
-
Q
株主優待にはどんな物がありますか?
-
A
優待内容は企業によって多種多様です。主なものには以下のような種類があります。
- ・自社商品・商品券:食品メーカーの詰め合わせ、化粧品セット、自社店舗で使える商品券など
- ・割引券・サービス券:飲食店の食事割引券、鉄道会社の優待乗車券、ホテルの宿泊割引券など
- ・金券類:QUOカード、おこめ券、ギフトカードなど、自社サービスとは直接関係ない汎用的なもの
-
Q
株主優待をもらうための注意点はありますか?
-
A
はい、いくつか注意点があります。
まず、優待をもらうためには「権利付最終日」までに株を保有している必要があります。また、企業によっては「100株以上を1年以上継続保有」といった長期保有の条件を設けている場合もあります。
さらに、企業の業績によっては優待内容が変更されたり、制度自体が廃止されたりするリスクがあることも覚えておきましょう。
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