配当金とは?初心者向けに分かりやすく解説!
株式投資の魅力は、株価の値上がり益だけではありません。もう一つの大きな楽しみが、企業から利益の一部が還元される「配当金」です。
この記事では、配当の基本的な仕組みから、銘柄選びに役立つ「配当利回り」や「配当性向」といった重要な指標、さらには配当をもらうために欠かせないルールを分かりやすく解説します。
配当金の基礎的な理解を踏まえて、あなたの資産運用に配当株を取り入れてみませんか?
配当とは
配当とは、一言でいうと「企業が事業活動によって得た利益の一部を、株主へ現金で分配すること」です。
株式会社の株を保有している人(株主)は、その会社のオーナーの一員です。企業は、株主から集めた資金をもとに事業を行い、利益を追求します。
そして、無事に利益が出た場合、その一部を「出資してくれてありがとう」という感謝の気持ちを込めて、オーナーである株主に還元します。この還元されるお金が「配当(配当金)」です。
配当は、多くの日本企業では年に1回(期末配当)または2回(中間配当・期末配当)支払われます。
ただし、すべての株式会社が配当を出すわけではありません。
利益が出ても、それを株主に還元せず、事業拡大のための設備投資や研究開発に使う(=内部留保)企業もあります。特に、成長段階にあるベンチャー企業などでは、配当を出さずに事業へ再投資するケースが多く見られます。
株式投資による利益には、株を安く買って高く売ることで得られる「値上がり益(キャピタルゲイン)」と、この「配当(インカムゲイン)」の2種類があります。
配当は株を保有し続けているだけで定期的にお金を受け取れる可能性がある、非常に魅力的な仕組みなのです。
配当の見方
企業の配当情報は、どこで、どのように確認すればよいのでしょうか。
普段お使いの証券会社のアプリやウェブサイト、株探やYahoo!ファイナンスのような株価情報サイト、あるいは企業の公式ウェブサイトにある「IR情報(投資家向け情報)」のページで誰でも簡単に見ることができます。
それらの情報を見る際に、特に注目したいのが「1株当たり配当金」と「配当利回り」の2つです。
1株あたり配当金
「1株当たり配当金」とは、株を1株持っているごとにもらえる配当金の額を示します。「1株配」と略して表示されることもあります。
多くの企業は年間の予想配当額を「配当予想」として公開しています。
例えば、ある企業の「1株当たり配当(予想)」が50円だったとしましょう。もしあなたがその企業の株を100株保有していれば、50円 × 100株 = 5,000円(税引前)の配当金が年間で受け取れるという計算になります。
編集者
まずはこの「1株当たり配当金」の金額を確認するのが、配当情報の基本となります!
配当利回り
「配当利回り」とは、現在の株価に対して、年間の配当金が何パーセントになるかを示した数値です。
株価に対する配当金の「お得度」を測るための重要な指標と言えます。
例えば、株価1,000円のA社(1株配50円)と、株価3,000円のB社(1株配60円)を比べてみましょう。1株当たりの配当額はB社の方が多いですが、配当利回りを計算すると以下のようになります。
- ・A社:50円 ÷ 1,000円 × 100 = 5.0%
- ・B社:60円 ÷ 3,000円 × 100 = 2.0%
このように比べると、投資額に対して効率よく配当を得られるのはA社であると判断できます。
高配当株を探す際には、この「配当利回り」が非常に重要です。
編集者
これらの情報は証券アプリやサイトの個別銘柄ページの「指標」や「配当情報」といった欄にまとめられています。配当を狙うなら、必ずチェックする習慣をつけましょう!
権利付最終日と権利落ち日とは
配当や株主優待をもらうためには、ただ株を保有しているだけでは不十分な場合があります。
実はいつまでに株主になっていれば良いかという明確なルールが存在し、これを理解することは投資家にとって非常に重要です。
ここで登場するのが、「権利付最終日」と「権利落ち日」という言葉になります。
- ・権利付最終日
→この日までに株を購入し、取引を成立させれば、配当を受け取る権利が得られます。投資家にとって最も重要な日と言えるでしょう。 - ・権利落ち日
権利付最終日の翌営業日を指します。この日に株を買っても、今回の配当や優待を受け取ることはできません。 - ・権利確定日
→権利付最終日から数えて2営業日後にあたります。この日に株主名簿に名前が載っていることが、権利を得るための最終的な条件です。
例えば、ある企業の権利確定日が2025年3月31日(月)だったとします。
- ・権利確定日:3月31日(月)
- ・権利落ち日:3月28日(金)←権利確定日の1営業日前
- ・権利付最終日:3月27日(金)←権利確定日の2営業日前
この場合、3月27日(木)の取引時間中に株を購入すれば、無事に配当と優待の権利が手に入ります。
しかし、1日遅れて3月28日(金)に購入した場合、次の権利確定日まで待たなければなりません。
配当性向とは
配当性向とは、企業がその年に稼いだ利益の中から、どれくらいの割合を配当金として株主に支払っているかを示す数値です。
配当利回りが株価に対するリターン率を示すのに対し、配当性向は企業の利益還元に対する「姿勢」を読み解くためのカギとなります。
計算式は以下の通り、非常にシンプルです。
編集者
つまり、会社がその期に最終的に得た利益(当期純利益)のうち、何パーセントが株主への配当に向けられたかを表しています!
では、この配当性向の数値から具体的にどのようなことが分かるのでしょうか。
一般的に、配当性向が高い企業は、株主への利益還元に積極的であると評価できます。安定した収益基盤を持つ成熟企業に多く見られる傾向にあります。
その一方で、配当性向が低い場合は、利益を内部に留保し、事業の拡大や研究開発などに再投資することで、将来の成長を重視している企業だと考えられます。特に、成長段階にあるIT企業やベンチャー企業では、配当を出さずに成長投資を優先する戦略をとることもあります。
ここで一つ注意したいのが、配当性向が100%を超えているケースです。
これは、その年に稼いだ利益以上の金額を配当として支払っている状態を意味します。
編集者
配当性向は、企業の財務的な余裕や成長戦略を判断するための重要なヒントです。高ければ良いというわけではなく、その企業の業種や成長ステージと合わせて総合的に判断することが大切になります!
連続増配とは
長期的な視点で株式投資を行う投資家から、特に注目されるキーワードの一つに「連続増配」があります。
これは、企業が毎年、1株当たりの配当金を増やし続けている状態を指す言葉です。
では、なぜこれほどまでに連続増配が重視されるのでしょうか。
その理由は、安定した業績と将来への強い自信がなければ、配当を増やし続けるという株主への約束はできないからです。
目先の利益が不安定だったり、将来の事業環境に懸念があったりすれば、企業はむしろ内部留保を厚くしようと考えるはず。
それをせずに毎年配当を「増やす」という決断は、「私たちの事業は今後も成長し、安定的にキャッシュを生み出せます」という、経営陣からの力強いメッセージに他なりません。
編集者
つまり、連続増配の実績は、その企業の財務的な健全性と、株主を大切にする姿勢の証明なのです!
特別配当と記念配当
企業が支払う配当には、実はいくつかの種類が存在します。
基本となるのは、毎期の安定した業績に応じて支払われる「普通配当」ですが、これに加えて特別な理由で支払われる配当もあります。
それが「特別配当」と「記念配当」です。
投資家として、これらの配当を見る際に最も注意すべき点があります。
それは特別配当や記念配当は「その年限り」の一時的なものであるということです。
これらの配当が含まれた年の配当利回りは、見かけ上とても高くなります。
しかし、翌年にはこの上乗せ部分がなくなる可能性が非常に高いため、この高い利回りが続くと期待してはいけません。
編集者
企業の本当の実力、つまり継続的な配当能力を測るには、あくまで「普通配当」の額を基準に考えることが大切です!
配当の高い業界と銘柄
では、実際にどのような業界に配当利回りが高い企業が多いのでしょうか。
もちろん企業の個別の戦略によりますが、一般的に高配当となりやすい業界には共通した特徴が見られます。
高配当が期待できる業界は、多くの場合、ビジネスモデルが確立された「成熟産業」です。
既に大規模な設備投資の時期を終え、安定したキャッシュフローを生み出す力があるため、利益を株主に還元する余力が大きいと考えられます。
具体的には、以下のような業界が挙げられます。
- ・銀行・保険・リースなど(金融セクター)
- ・大手総合商社
- ・情報・通信
- ・鉄鋼・非鉄金属
- ・石油・石炭製品
編集者
これらの業界は、景気の波に左右されにくいディフェンシブな性質を持っていたり、事業規模が非常に大きく安定した収益基盤を持っていたりする点が特徴です!
高配当銘柄を自分で探すには、証券会社のウェブサイトや株価情報サイトが提供している「スクリーニング機能」を使うのが非常に便利です。
この機能を使えば、「配当利回り4%以上」や「業種:銀行業」といった条件で、該当する銘柄を簡単に絞り込むことができます。
ぜひ一度、ご自身で条件を設定して検索してみてください。
高配当株の落し穴
高い配当利回りは非常に魅力的ですが、その数字の裏に潜むリスクにも目を向ける必要があります。
「利回りが高い」という理由だけで安易に投資すると、思わぬ「落とし穴」にはまってしまうことがあるからです。
ここでは、高配当株に投資する際に特に注意すべきポイントを解説します。
株価の下落で利回りが「高く見えている」だけのケース
最も注意したいのが、株価の下落によって配当利回りが「高く見えている」だけのケースです。
配当利回りは「1株当たり配当金 ÷ 株価」で計算されるため、企業の業績悪化や不祥事などによって株価が大きく下がると、結果的に利回りの数値は上昇します。
しかし、これは企業の魅力が高まったわけではありません。むしろ市場がその企業の将来性に「NO」を突きつけているサインである可能性が高いです。
このような銘柄に投資すると、たとえ配当金を受け取れても、それを上回るペースで株価が下落し、結果的に大きな損失を被る危険があります。
無理な配当による「減配」のリスク
次に警戒すべきは「減配」、つまり配当金が減らされてしまうリスクです。
企業の業績が悪化すれば、当然ながら配当金を支払う原資も減ってしまいます。
特に、利益のほとんどを配当に回しているような「配当性向」が極端に高い企業は、注意が必要かもしれません。
少し業績が傾いただけでも、これまでの配当水準を維持できなくなり、減配に追い込まれる可能性を秘めています。
編集者
減配が発表されると、それを嫌気した投資家の売りが殺到し、株価が急落することも少なくありません。
特別配当・記念配当による一時的な利回り上昇
「特別配当」や「記念配当」も、落とし穴の一つになり得ます。
これらの臨時的な配当は、その年限りのものであるため、翌年には配当額が元に戻り、配当利回りも大きく低下します。
編集者
高い利回りがその年だけの一時的なものか、それとも継続的な普通配当によるものなのか、内訳をしっかり確認することが不可欠です!
配当金に関するよくある質問
-
Q
配当金に税金はかかりますか?確定申告は必要?
-
A
はい、配当金を受け取る際は税金がかかります。
特定口座の源泉徴収ありで口座開設している場合、受け取る際に20.315%(所得税および復興特別所得税15.315% + 住民税5%)が源泉徴収されています。
この源泉徴収によって納税は完了しているため、原則として確定申告は不要です。
ただし、株式投資で損失が出ている場合に「損益通算」を利用して税金の還付を受けたい場合や、年収が一定額以下で「配当控除」を利用した方が有利になる場合など、確定申告をすることでメリットが得られるケースもあります。
-
Q
NISA口座の配当金は非課税になりますか?
-
A
はい、NISA口座で保有している株式の配当金は非課税になります。
ただし、そのためには配当金の受け取り方法を「株式数比例配分方式」に設定しておく必要があります。
他の受け取り方法を選択していると、NISA口座で保有している株式の配当金であっても課税されてしまうため、必ず設定を確認しましょう。
-
Q
1株しか持っていなくても配当金は貰えますか?
-
A
はい、もらえます。配当金は「1株あたり〇円」という形で支払われるため、たとえ1株だけの保有であっても、権利確定日に株主であれば配当金を受け取る権利があります。
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Q
権利落ち日に株価が下がるのはなぜですか?
-
A
配当を受け取る権利がなくなった分だけ、その株式の価値が理論上は下がると考えられるためです。
株価にはその「配当を受け取る権利」の価値も含まれています。
権利付最終日を過ぎ、その権利がなくなった「権利落ち日」には、その価値の分だけ株価が下落しやすくなるのは自然な現象と言えます。
-
Q
月に10万円の配当金をもらうためにはいくら必要ですか?
-
A
必要な投資額は、投資する銘柄の配当利回りによって大きく異なります。計算式は以下の通りです。
必要な投資額 = 年間の目標配当額 ÷ 配当利回り
例えば、月に10万円(年間120万円)の配当金を得たい場合、配当利回りによって以下の金額が必要となります。
- ・配当利回り3%の銘柄なら:120万円 ÷ 3% = 4,000万円
- ・配当利回り4%の銘柄なら:120万円 ÷ 4% = 3,000万円
- ・配当利回り5%の銘柄なら:120万円 ÷ 5% = 2,400万円
このように、利回りが高い銘柄を選ぶほど、目標達成に必要な元手は少なくなります。
ただし、利回りの高さはリスクの高さと表裏一体の場合もあるため、注意が必要です。
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