貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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8058 三菱商事

東証P
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09:30 04/26
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疾風怒濤の“外国人買い”、メガバンク主導で「上昇相場」第2幕へ <株探トップ特集>


―大統領選後1兆円超える猛烈「日本買い」、アベノミクス相場開始時に酷似―

 東京株式市場では“トランプ効果”による活況相場が続いている。日経平均株価は師走相場入りとなった12月1日、1万8700円台まで買われる場面があり、大引けは1万8513円で着地。今年の大発会だった1月4日以来約11ヵ月ぶりに年初来高値を更新した。翌2日は週末要因に加え、米雇用統計発表やイタリアの憲法改正を問う国民投票などを控えて利益確定売りに反落したものの、大勢は1万8000円台を新たなステージとする相場展開へと水準を切り上げている。

 その原動力となっているのは本格的な海外マネーの日本上陸である。外国人投資家は11月第2週に現物で4007億円、先物(日経225、TOPIX、JPX400合算)で2226億円、合計で6230億円強を買い越し、第3週には同じく現物で4903億円、先物で6904億円の買い越しを記録、現先合計では1兆1800億円強に達した。また、第4週も現物で3027億円、先物で3076億円を買い越し、合算で6100億円強と引き続き大幅買い越し姿勢を堅持している。今週(第5週)はさすがにややトーンダウンしていたが、30日にウィーンで開催されたOPEC総会で大方の予想を覆す減産合意に伴い原油価格が急騰、このリスクオンの流れに乗り改めて主力株に物色の矛先を向けてきたことが観測されている。

●“トランプ大統領”が眠れる獅子呼び覚ます

 11月第2週は現地時間11月8日に米大統領選挙が行われたスペシャルウイークであり、取引時間中に大統領選の途中経過とその結果の一部始終を目の当たりにした東京市場は大波乱の様相を呈した。その時に海外ファンド勘定であるアルゴリズム取引でいったんは売りの集中砲火を浴びたが、翌日には米国株の強調展開を確認して一気に買い戻された経緯がある。以降、外国人投資家はドル円相場の急激な円安進行と合わせて、あたかも眠れる獅子が目覚めたかのような日本株買いに動き出している。

 市場では「初動はヘッジファンドの買い戻しだったが、その後は欧米系の年金やミューチュアルファンドなど長期スタンスの資金が日本株に流入している。短期筋に位置づけられる資金もシュートカバーにとどまらず、ロングに転換してきたようだ」(準大手証券ストラテジスト)と指摘する。「米国経済は12月利上げの可能性が極めて濃厚とみられているように決して悪い状態ではない。にもかかわらず、トランプ新大統領のもとで大型減税と大規模インフラ投資を行う方向にあるのは、まさに鬼に金棒。大統領就任前の段階でこれを絵に描いた餅と斜に構えて静観を決め込むのでは投資家をやっている意味がない」(同)というが、これはマーケットの戦線に立つ者の本音であろう。

 株式市場は資本主義経済の鏡ではあるが、そこには必ずしも実体が担保されているわけではない。企業の「実」に対して株価は「虚」。常に市場には虚実表裏一体のメカニズムが存在し、時に期待先行で上昇しその反動で下落する。今は、市場関係者の多くが指摘するように「理想買い」の領域にある。しかし、「現実買い」の段階まで待っていては、勝利はおぼつかない。売買シェアの6割以上を占める外国人投資家は買い主体としても最強だ。その外国人投資家が勇躍、日本買いに動いている以上はこの流れに乗れることが投資家としての器量といえるかもしれない。

●日本株急騰を後押しする円安はアベノミクスの再来

 では、なぜ日本株はトランプラリーに沸く本家の米国株市場以上の上昇率を示すのか。それは株価水準が史上最高値圏を走る米国と比較して大きく出遅れていることが、水準訂正余地の大きさにつながっていることがひとつ。そして、もう一つ忘れてならないのは、今回のトランプ氏が掲げる政策が副次的に米長期金利の上昇を引き起こし、その結果日米金利差拡大を背景とした円安が進行していることがある。円安による日本企業の業績改善思惑が、まぎれもなく外国人投資家の食指を動かしているのだ。これは、アベノミクス相場がフライング気味にスタートした2012年12月の相場の立ち上がりと酷似している。

 急速な円安が進行している関係でドル建てベースの日経平均はほとんど上昇していないという指摘もあるが、これについて市場関係者は、「外国人投資家は基本的に企業業績の拡大をベースにポートフォリオを形成している。為替は、仮にここから円高方向に振れたとしても、今度はドル建てベースでみた場合ヘッジ効果が発現することになり、むしろ今の環境は外国人投資家にとって躊躇なく買える環境」(国内生保系アナリスト)と分析する。今後についても「トランプ氏の大統領選出で転換した相場である以上、当面は外国人買いの流れに変化はなさそうだ」(同)とみている。

●オイルマネー換金売りから解放、買いはノルウェー系に集約

 原油価格がここ上昇基調にあることでリスクオンのムードが醸成されているが、その延長線上にはオイルマネーによる日本株買いへの期待も底流している。10月の中旬から下旬にかけて不動産株が急動意、当時さしたる上昇材料がなかったことで「オイルマネーが不動産株を買っている」という噂が市場に流れたのは記憶に新しい。その時も短期的な原油市況の回復が背景にあった。

 今回の怒涛の外国人買いについて「流入しているのは欧州および米国系の足の長い運用を目指す資金とみられるが、基本的にオイルマネーは目ざとく運用に動くようなことはしない。仮に欧州機関投資家経由でオイルが入っているとすれば、運用に前向きなノルウェー系で本流ではない」(大手証券株式部長)と指摘する。ただし、今後一段と原油に先高感が生まれてくれば状況は変わるだろう。また、ひところの日本株急落の引き金となった“オイルマネーの換金売り”からは解放されている。これは大きなアドバンテージである。

●メガバンクが外国人買いの象徴、証券株にも波及

 では、外国人買いはどこに向かっているのか。必ずしも時価総額の大きい銘柄に総花的に買いを入れているわけではなく、ファンダメンタルズに合わせ銘柄によって濃淡があることは否定できない。

 前出の準大手証券のストラテジストは、「 メガバンクはかなり(外国人投資家の目に)魅力的に映っているはずだ。ここ三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> を中軸にメガ3社の商いが急激に膨らんでいるのは個人投資家の相乗りもあるが、外国人投資家の実需買いが牽引している」という。米国の長期金利上昇はメガバンクにとって収益機会の拡大を意味する。また、米財務長官に決まったゴールドマン・サックス出身のムニューチン氏が金融規制の緩和に言及しているが、これは米国はもちろんのこと、グローバルな金融規制強化の流れに一石を投じることにもなり、米国をはじめ海外展開するメガバンクにとっては慈雨となる。

 また、同様に証券セクターでは海外展開で実績を際立たせる野村ホールディングス <8604> などにも海外機関投資家が熱視線を向けていると指摘する声は強い。

●円安本命の自動車や総合商社に物色の矛先

 一方、市場では円安メリットの大きいトヨタ自動車 <7203> など大手自動車株も外国人買いのターゲットとして指摘されている。円安進行は為替感応度の特に高い自動車セクターには追い風材料。TPP脱退を明言するなどトランプ次期米大統領の保護主義的政策に対する警戒はあるが、生産拠点を米国に持っていることで影響は限定化され、NAFTA(北米自由貿易協定)には脱退ではなく柔軟な姿勢を示しており、先高期待は根強い。

 三菱商事 <8058> や三井物産 <8031> など総合商社株にも外国人の買いが観測されている。原油市況の上昇に加え、メガバンク同様に株価指標面からの割安さも見直し買いの対象だ。中国の経済減速懸念の後退などで商品市況全般に底入れ感が出ている点もポジティブ材料と判断されているようだ。

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