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【特集】「OPEC8年ぶり、原油急騰の行方!」芥田知至主任研究員に聞く!<直撃Q&A>

芥田知至氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主任研究員)
 石油輸出国機構(OPEC)は30日の総会で、8年ぶりとなる減産に合意した。事前には交渉は難航しているとの観測が強かったが、減産合意との報道を受け、WTI価格は1バレル=49ドル後半まで急騰した。減産合意に至った背景には何があるのか、また今回のOPEC総会が持つ意義とは何か。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員に聞いた。

Q1 OPECの減産合意を受け原油価格が急騰しています。今回の合意をどう評価しますか?

芥田 ポジティブな結果と評価していいと思う。生産量は、9月の臨時総会で合意した日量3250万~3300万バレルの下限である3250万バレルに決定した。狭いレンジだが、その厳しい側の水準での減産で決まった。また、ロシアも減産に参加するとの見通しもあり、OPEC非加盟国にも足並みを揃える姿勢が見えた。今回の総会が決裂した場合、WTI価格は1バレル=40ドル割れに下落するとの見方もあった。それだけに、減産がまとまったことを市場は好感している。

Q2 サウジアラビアとイランなど産油国間の対立が懸念されていました。なぜ、減産合意に至ることができたのでしょう?

芥田 今回、OPEC加盟国は約120万バレルを減産する。このうち、サウジは48万6000バレル減産する。一方、イランは高めの生産量が許容された。サウジはシェアを犠牲にして価格を重視した格好だ。それだけに、今回のOPEC総会は、「シェア重視」から「価格重視」への姿勢転換が確認されたという点で意味がある。サウジは厳しい国家財政も考慮し、かつてのような1バレル=100ドルは無理だが、50~60ドル台程度の原油価格は確保したいと考えてもおかしくない。また、世界最大の石油会社、「サウジアラムコ」が新規株式公開(IPO)を計画するなか、ある程度の原油価格は欲しいだろう。

Q3 今後の原油相場の展開をどう予想しますか。また、次の注目ポイントは何でしょうか?

芥田 当面、WTIは50ドル前後での値動きが続くとみている。原油価格が上昇すれば、米国のシェールオイルの増産が気になる。また、産油国間で本当に減産が守られるかには疑念がつきまとう。今後のポイントは、次回5月のOPEC総会だろう。その際の減産枠に関する協議の結果が注目される。また、トランプ次期大統領のエネルギー政策も注目される。トランプ氏は米国のエネルギー開発には積極的であり、これは原油需給の悪化要因となる。一方、対イランでは強硬姿勢を示しており、こちらは原油高要因に働く。原油価格をみるうえで、米新政権の動向は関心を集めるだろう。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(あくた・ともみち)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員。専門分野は、国際商品市況、原油価格、金属価格、為替、内外経済。1992年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。同年山一証券入社、山一証券経済研究所・経済調査部。98年、三和総合研究所(現、三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。2006年から現職。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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