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6727 ワコム

東証P
586円
前日比
-10
-1.68%
PTS
586円
11:29 04/26
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
23.0 2.15 3.41 11.33
時価総額 891億円
比較される銘柄
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決算発表予定日

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ワコム Research Memo(2):17/3期2Qは減収損失計上、英国のEU離脱に伴う対ユーロでの円高影響大


■2017年3月期第2四半期累計決算の分析

決算の全体像

ワコム<6727>の2017年3月期第2四半期累計は、売上高33,796百万円(前年同期比13.2%減)、営業損失897百万円(前年同期は2,053百万円の利益)、経常損失1,021百万円(同2,098百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失1,226百万円(同1,261百万円の利益)で着地した。

2017年3月第2四半期決算についての理解と評価は、前年同期比較よりも計画対比で考えることで、また、四半期ごとの推移を追うことで、より正確なものになると弊社では考えている。ここで注意を要するのは、同社の売上高における季節性である。通常、上半期の売上高は損益分岐点をわずかに上回る程度で、通期利益の多くを商戦期や企業の購買意欲が高まることによりクリエイティブユーザー向けの売上水準が切り上がる下半期に稼ぎ出す。

2017年3月第1四半期決算では、営業損失が1,446百万円で着地した。同社は期初の段階で、第1四半期の営業損失を“前年第4四半期並みの営業損失”と予想していた。2016年3月期第4四半期の営業損失は1,169百万円であったことから、今第1四半期については1,200百万円の営業損失を想定していたと推測できる。これとの対比では、今第1四半期の営業損失は246百万円拡大したということだ。

第1四半期の営業損失の計画比拡大は、ブランド製品事業において、想定以上に製品構成が悪化したことや、クリエイティブビジネス中のモバイルなど、モデルチェンジサイクル末期の製品の販売が減少したことが大きかったと弊社ではみている。円高要因は、期初の為替前提(米ドル円110円、ユーロ円125円)に対して期中平均が米ドル円109.07円、ユーロ円122.47円となり、第1四半期中のマイナス影響はさほどではなかったと推測している。

同社にとって第1四半期における最大の誤算は、期中の事業環境よりもむしろ、英国のEU離脱問題(いわゆるBrexit)に関してそれ以後の為替レートが大幅な円高となったことではなかったかと弊社ではみている。第1四半期の決算自体は、計画に対して損失が拡大したものの、その差は本来であれば十分取り戻すことができる範囲にとどまっていた。しかし為替レートが対ユーロで大幅に円高に振れたことで、業績見通しの変更を余儀なくされたということだ。

第2四半期単独期間の営業利益計画は、期初予想の段階では1,300百万円だったとみられる(前述の第1四半期の想定と第2四半期累計期間の期初予想から逆算した値)。しかしながら、第1四半期決算に際して業績見通しを下方修正した結果、第2四半期単独期間の営業利益予想は377百万円へと923百万円引き下げられた。

この下方修正の最大の要因は、為替レートの前提の変更だ。米ドル円を110円から103円に、ユーロ円を125円から114円に引き下げた。これによる影響額としては約600百万円が想定されていたものと弊社では推測している。また、第1四半期においてみられた、製品構成悪化やモデルチェンジサイクル末期の製品の買い控え影響などが第2四半期も続くことを想定して、前述の923百万円の下方修正につながったと弊社ではみている。

第2四半期単独期間の営業利益は最終的に549百万円で着地した。修正予想377百万円から上振れた理由としては、テクノロジーソリューション事業におけるスマートフォン向けやタブレットPC向けのペン・センサーコンポーネントの出荷が好調に推移したことなどがある。為替レートについては修正後の前提値と平均実績とがほぼ同水準となり、修正予想どおりのマイナス影響に収まったとみられる。

第2四半期累計期間を通して見ると、営業利益は期初予想の100百万円から実績である897百万円の営業損失へと、約1,000百万円下振れしたことになる。このうちの過半は為替レートがユーロ安円高に振れた影響であり、残りはブランド製品事業におけるモデルチェンジを控えた製品の販売不振や低価格品シフトによる製品ミックスの悪化が理由だった。テクノロジーソリューション事業は、円高影響を除けば順調に推移した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《YF》

 提供:フィスコ

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