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3484 テンポイノベーション

東証P
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100株
PER PBR 利回り 信用倍率
17.3 4.86 2.18 3.06
時価総額 162億円
決算発表予定日

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テンポイノベ Research Memo(1):飲食店舗転貸借ビジネスの先駆者


■要約

テンポイノベーション<3484>は、経営理念に「貢献創造」、経営方針に「転貸借の商慣習を変え、店舗物件のスタンダードを創造する」を掲げ、飲食店向けの居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業、店舗家賃保証事業、及び不動産売買事業を展開している。飲食店舗の総合プロフェッショナル集団であり、飲食店舗転貸借ビジネスの先駆者である。

1. 店舗転貸借事業は安定的かつ成長性の高いビジネスモデル
店舗転貸借事業は不動産オーナーから賃借した店舗物件を店舗出店者に転貸借する事業である。同社はターゲットを「東京・飲食店・居抜き」店舗に特化して事業展開している。ターゲットエリアは飲食店舗が集中して需要が見込める東京23区、ターゲット顧客は低コストでの飲食業の出店・起業を希望する小規模事業者、ターゲット店舗は出店費用を抑えることができるため出店・起業希望者が多い飲食店の居抜き店舗である。店舗転貸借事業の収益モデルは、転貸借物件(賃借した物件のうち店舗出店者と転貸借契約を締結している店舗物件)数の増加に伴って収益を積み上げるサブスクリプション(以下、サブスク)(ストック)型ビジネスモデル(転貸借物件数×転貸差益額)である。転貸借物件数が増加基調であり、店舗転貸借ビジネスの先駆者として高い競合優位性を有していることも勘案すれば、安定的かつ成長性の高いビジネスモデルと言えるだろう。

2. 2024年3月期第2四半期累計は先行投資で減益だが売上面順調
2024年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比16.3%増の7,098百万円、営業利益が同5.3%減の525百万円、経常利益が同3.9%減の558百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同4.3%減の381百万円だった。利益面は転貸物件の積極的な仕入に伴うコストの増加や先行投資などの影響で減益だったが、売上面は転貸借物件数の積み上げによってランニング収入が増加し、不動産売買事業も寄与して2桁増収と順調だった。店舗転貸借事業(店舗家賃保証事業を含む)の成約件数(新規契約と後継契約の合計)は10件増加の234件、第2四半期末時点の転貸借物件数は255件増加の2,335件となった。増加基調に変化はない。なお成約件数は第1四半期が119件、第2四半期が115件と引き続き100件を超えて高水準であるものの、2023年3月期第3四半期の131件、第4四半期の127件との比較では減少傾向となっている。これは、中長期的な営業力強化に向けた組織改革や新入社員の増加によって一時的に営業効率が下がったことによるもので、下期以降は営業組織再編の効果や新入社員の戦力化により積極的な営業活動を展開する見込みとしている。不動産売買事業は売却6物件、取得6物件で、第2四半期末保有物件数は6件となった。

3. 2024年3月期通期は増収増益予想
2024年3月期通期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が2023年3月期比13.6%増の14,844百万円、営業利益が同5.3%増の1,276百万円、経常利益が同3.2%増の1,306百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同0.7%増の891百万円としている。成約件数(新規契約と後継契約の合計)は同88件増加の570件、期末転貸借物件数は同311件増加の2,527件の計画である。成約件数と転貸借物件数が順調に増加して増収増益予想としている。店舗転貸借事業のランニング収入の安定成長をベースとして売上高は12期連続増収、営業利益も増収効果で先行投資を吸収して過去最高更新を目指すとしている。なお上期の進捗率は売上高が47.8%、営業利益が41.2%、経常利益が42.8%、親会社株主に帰属する四半期純利益が42.8%とやや低水準の形だったが、下期以降は営業組織再編の効果や新入社員の戦力化により積極的な営業活動を展開する見込みであり、ランニング収入の積み上げで通期会社予想の達成は可能だろうと弊社では考えている。

4. 2029年3月期に転貸借物件数5,500件、営業利益30億円規模を目指す
同社は成長に向けた基本戦略として、「東京・飲食店・居抜き」の領域にこだわり、成長のベースとなる優良な転貸借物件数の増加を図る方針としている。中長期的な目標としては、営業部門100名体制構築により、2029年3月期に転貸借物件数5,500件、売上高300億円規模、営業利益30億円規模を目指すとしている。そして2023年5月に新たに策定した中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)では、目標数値に最終年度2026年3月期の売上高19,111百万円、営業利益1,679百万円、営業利益率8.8%、成約件数700件、転貸借物件数3,275件を掲げている。基本方針は「転貸借契約件数と賃料差益の最大化」、テーマは「専門特化・プロフェッショナル化」として、営業体制の強化を推進する。株主還元については2024年3月期より配当方針を変更し、中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)期間中の配当性向を40%水準とした。

5. 転貸借物件数が増加基調で安定的に収益拡大基調が期待できる点を評価
外食産業の規模は大きく、店舗数では同社がターゲットとする小規模事業者が大半を占めている。また、開業・廃業による入れ替わりが激しいため、同社の「東京・飲食店・居抜き」領域の店舗転貸借事業にとってビジネスチャンスは豊富であり、更なる市場開拓余地は大きい。こうした事業環境の下、ストック収益のベースとなる転貸借物件数が右肩上がりの増加基調であり、今後も安定的に収益拡大基調が期待できる点を弊社では高く評価している。さらに、市場規模は大きく競合リスクは小さいという独自のビジネスモデルであり、積極的な事業展開で中長期成長ポテンシャルの大きさにも注目したい。

■Key Points
・店舗転貸借事業は「東京・飲食店・居抜き」に特化、安定的かつ成長性の高いビジネスモデル
・2024年3月期第2四半期累計は先行投資などで減益だが売上面順調
・2024年3月期通期は増収増益予想
・2029年3月期に転貸借物件数5,500件、営業利益30億円規模を目指す
・転貸借物件数が増加基調で安定的に収益拡大基調が期待できる点を評価

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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