【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─新産業革命の進展が株高を支える!
経済評論家 杉村富生
「新産業革命の進展が株高を支える!」
●年末の日経平均株価4万5000円シナリオは不変!
古来、「ときには遠くを見よ」という。この格言は長期的な視点の重要性を語っている。すなわち、トレンド(方向)の確認である。
足もとの相場は下落、反発を繰り返している。乱高下だ。3月22日に、日経平均株価が4万1087円(ザラバベース)の高値を付けた局面までのような勢いは感じられない。基本的には調整(値固め)局面だろう。
波乱の背景は地政学上のリスク、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ先送り、政治不安(岸田政権の支持率低迷)、慎重な今期予想、為替(円)の動向、機関投資家の投資行動などだが、外国人の動きが大きいと思う。なにしろ、日本市場は委託売買代金シェアの7割を外国人が占めている。
その外国人は先物を含め、1月に8886億円、2月に9878億円買い越したものの、3月は一転して1兆6021億円の売り越しだ。4月は第1週に8284億円、第2週に8334億円買い越した。第3週は1兆1427億円の売り越しとなっている。細かい数字をくどくどと述べたが、要は指数の値動きと彼らの売買が一致しているということ。
問題は今後の動向にあろう。5月4日にバークシャー・ハサウェイ<BRK.B>が年次ミーティングを開催する。ウォーレン・バフェット氏がどんなコメントを出すか、これがポイントである。昨年は「日本株有望」との“ご託宣”をきっかけに、外国人買いが盛り上がった。さて、今回はどうだろうか。結論は「買い」となろう。
再三指摘しているように、短期的には休養場面だが、長期上昇トレンドは不変である。7日にはアップル<AAPL>がイベント(新製品の発表)を行う。AI対応スマホ、新型iPadの市場投入があろう。すでに、中華スマホ向けを中心に、日本勢の積層セラミックコンデンサの輸出増が報告されている。
●AIは社会構造を激変させる!
現在、世界的に新産業革命が進展中だ。社会構造を激変させ、経済活動を活発化させた発明には印刷機、蒸気機関、電気、コンピュータ、インターネットなどがある。次はAI(人工知能)、生成AIだろう。エヌビディア<NVDA>、マイクロソフト<MSFT>に続きサービスナウ<NOW>、ルーブリック<RBRK>など有望企業が次々に登場している。
日本では半導体工場、データセンターの建設ラッシュだ。新東西冷戦構造、フレンド・ショアリングが追い風になっている。ガバメントクラウド、小型監視衛星、ドローンの国産化はこの延長線上にある。さくらインターネット <3778> [東証P]、スマートバリュー <9417> [東証S]、QPS研究所 <5595> [東証G]は大きな上値が期待できる。
経営者の意識は変わった。日立製作所 <6501> [東証P]が1対5の株式分割(6月末)を実施する時代だ。増配、自社株買いが急増している。九州電力 <9508> [東証P]は2025年3月期の配当を50円(前期は25円)、日本M&Aセンターホールディングス <2127> [東証P]は同29円(前期は23円)とする。
ハイテクセクターではデクセリアルズ <4980> [東証P]、ローム <6963> [東証P]、ソシオネクスト <6526> [東証P]に妙味があろう。さらに、PBR1倍割れの日本郵政 <6178> [東証P]、ジェイテクト <6473> [東証P]、日本製鉄 <5401> [東証P]、野村ホールディングス <8604> [東証P]は引き続いて狙える。
日経平均株価は年末には4万5000~4万6000円の水準を目指すだろう。この基本シナリオは不変である。不安要因としては、アメリカは大統領選挙、日本は解散・総選挙(政治リスク)に加え、中東地域における突発的な軍事衝突、予想外の円高進行などをピックアップできる。ただ、長期上昇トレンドを壊すほどのダメージはないだろう。
2024年5月2日 記
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