2700 木徳神糧 JQ 14:35
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2016年09月01日16時25分

木徳神糧 Research Memo(5):中期3ヶ年計画最終年度、利益面では数値目標達成予想


■中長期的展望

(1)中期経営計画(基本方針と数値目標)

木徳神糧<2700>は経営理念として「コメビジネスを軸に世界中の消費者に日本米・日本食の素晴らしさを発信し、健康で楽しいライフスタイルの実現をサポートすること」、そのキーワードとして「変化への迅速対応」、「存在意義の発揮」を掲げている。これに基づいて同社は、2014年12月期を初年度とする「中期3ヶ年計画」を発表している。

この中期計画の各事業の基本方針としては以下のような施策を掲げている。

○米穀事業
・国内:生産者に近づく体制作り(川中から川上まで)
・海外:日本米(海外産ジャポニカ米含む)市場の創造と開拓

〇飼料事業
・拡大と独自性の発揮
・飼料用米販売の構築

〇鶏卵事業
・安全・安心の確保
・独自商品開発強化

〇食品事業
・機能性食品の開発と海外展開

また、この中期計画の数値目標は、2015年12月期売上高101,000百万円、営業利益1,100百万円、2016年12月期売上高121,000百万円、営業利益1,200百万円となっている。米価の動向などもあり売上高の目標達成は難しいと思われるが、利益面では既に2015年12月期の営業利益は1,385百万円となり目標利益を達成したとも言える。さらに2016年12月期についても、既述のようにかなり堅めに売上高103,000百万円、営業利益を1,230百万円と予想されており、中期経営計画の数値目標達成はほぼ確実と言えそうだ。

(2) 2016年経営戦略

この中期経営計画の最終年度である2016年12月期の経営戦略として、同社は以下のような施策を掲げている。

(米穀事業:国内)
◇生産地に近づく体制作り
○仕入手法の多様化
・既存銘柄の安定供給とコストダウンを実現するため、複数年・収穫前等の事前契約と期別相対・個別取引を併用する。
・仕入ルートの複線化による機動性の強化をする。具体的には、各経済連・県本部、各JA、生産法人等からの仕入れを拡大する。
・産地・生産者のニーズに応えられる仕入れを推進する。主食用だけでなく、加工用、米粉用、輸出用、飼料用への供給力の強さを発揮する。

○エリア戦略の進化
・単独農協との提携強化による生産体制を充実する。提携工場の拡大、品質管理の高度化、各地の設備の有効活用を進める。具体例として、(株)JA食糧さがに20%出資(2015年3月)したが、これによって九州エリアの需要拡大に対して迅速な対応が可能となった。さらに2016年7月には(株)純情米いわての株式15%を取得し、東北エリアでの需要拡大にも対応可能な体制が整った。
・特色ある地域銘柄の地産地消を促進する。広域卸機能を発揮して、生産者にメリット、取引先に価値を提案する。さらに各拠点・提携工場エリアの優良銘柄を深耕開拓する。

○需要変化への積極対応
・新品種開発への参画を積極的に推進することで付加価値を提供する。具体的な例としては、業務・加工用多収品種開発の東北コンソーシアムに参加、「ささ結」コンソーシアムに参加、栃木県「ゆうだい21」の契約栽培を拡大などである。また山形つや姫ブランド化協議会に続き、みやぎ米ブランド化戦略会議へも参画した。
・ニーズ別に商品開発を展開する。多用途小容量製品で異業種会社との提携、連携を加速する。例としては、引越し大手見積御礼品、他上場企業の株主優待品、ギフト・ノベルティ向け販売、通販会社ネットショッピングなどである。

(米穀事業:海外)
◇ベトナムを機軸としたグローバル展開
○ジャポニカ米、香り米(長粒種)の量的拡大
既に設立から四半世紀(25年)となるベトナムの現地子会社アンジメックス・キトクの年間販売数量をジャポニカ米、香り米(長粒種)合わせて2015年の22,000トン超から2016年にはこれを30,000トンに増加させ、東南アジア地区をはじめとした世界各国への更なる輸出拡大を図る。

○生産基盤の拡充
既に北部ハノイで高品質のジャポニカ米の試験栽培を開始し、2期作により栽培面積を30haに拡大する。またさらなる生産基盤拡充のために現地での戦略的パートナーシップの構築に注力中である。

◇日本米輸出市場の開拓
○安全・安心で高品質の国産米輸出の拡大に注力
販売先は東南アジア、太平洋地域、北米へ。年間輸出量は平成25年産米500トン、平成26年産米900トンであったが、平成27年産米は1,100トンを目標にしており、さらに中期的には3,000トンを目指す。また巨大市場である中国向けの輸出を開始、既に上海地区への北海道産米の輸出を成約した。

(飼料事業)
◇事業環境の変化に迅速対応
○販売エリアは北海道、中京、関西、九州の開拓を継続する。また水産飼料、キノコ培地原料の販売を強化する。

◇飼料用米販売の拡大
○米穀事業の仕入力を活用し年間販売計画を達成する。
グループでの飼料用米販売量は2014年1,900トン、2015年3,200トンであったが、2016年には8,000トンを計画しており、中期的には10,000トンを目指す。

(食品事業:機能性食品)
◇たんぱく質調整米「真粒米」の拡充
○国内における取組
多様なニーズに対応するため小容量商品(1キロ)や真粒米シリーズ「純米もち」を発売開始した。さらに「真粒米」を進化させた商品を開発中である。
また既存の「真粒米」においては、「特別用途食品※」として申請中(消費者庁)であり、これが認められると「低たんぱく質食品/腎疾患患者用食品」の表示が可能になる。

※特別用途食品とは、乳児、幼児、妊産婦、病者等の発育、健康の保持・回復等の特別の用途に適する旨を表示して販売される食品。特別用途食品として販売するためには、その表示について国の許可を受ける必要がある。

(食品事業・食品子会社)
◇鶏肉事業からの撤退
既述のように鶏肉事業を行ってきた内外食品の全株式を2016年8月1日付けで売却した。長年の懸案であった鶏肉事業から完全に撤退し、経営資源を成長分野に傾注する。これにより下半期から食品事業の売上高は減少するが、採算は大きく改善し少なくとも損失計上からは脱却する見込みだ。

(3)農業政策の変化と同社の存在意義

国内の米穀消費そのものは低下が続いており、その点から同社にとっての市場そのものの拡大は期待できない。しかし米穀の流通においては、コンビニエンスストアなど新たなルートが広がっており、また外食チェーンや惣菜、弁当などの所謂「中食市場」は拡大傾向にある。同社はこのような新流通ルート(量販店、コンビニエンスストア、外食チェーン等)に対して太いパイプを有していることから、米穀市場全体は伸び悩んでも同社の米穀事業が成長する可能性は高い。

さらに中長期の視点から同社にとっての追い風は、農業政策における自民党政権の変化だ。既に自民党はJA全中(全国農業協同組合中央会)に対して「自律的に新たな組織に移行すること」を提言、JA全農に対しては「株式会社化」を提言し、このような農協改革は大筋で決着したが、米穀市場が今までの全中・全農の集中・支配体制から自由市場の方向に向かっていくことは確かであり、同社のように信用力、資金力、精米能力、全国レベルでの販売網を有している大手卸業者にとってプラスとなるのは間違いないだろう。米穀市場の自由度の高まりとともに、同社の存在意義は一段と高まっていくと予想される。

もう1つの重要な変化は、今後TPPで議論されていくであろう海外との米穀取引の自由化だ。既にTPP交渉は大筋合意され米穀を含めた日本の農業市場は大きく変わる可能性が大きい。ただし米国大統領選挙の影響などもあり、最終的に完全合意に至るかは未確定であり国内米穀市場及び同社にどのような影響が出てくるかはまだ不透明であるが、少なくとも現状より後退することは考えにくい。輸出及び輸入だけでなく3国間貿易も含めて少しでも米穀市場の自由度が増せば、大手米卸としての同社にとっては事業拡大のチャンスと思われる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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