【市況】原油と金・銀・銅先物の近況【フィリップ証券】
■WTI原油先物とCMX金先物の投機筋建玉枚数
イスラエルによる在シリアのイラン大使館への爆撃とその報復としてイランによるイスラエルへの攻撃、更にイスラエルからの攻撃など、中東情勢を巡る地政学リスクが市場を揺さぶっている。地政学リスク深刻化は原油価格と金価格の上昇の動きとして市場に表れている。
米CFTC(商品先物委員会)による投機筋の買い越し枚数では、原油先物は2021年までと比べると多くない。短期的には中国経済など景気の先行き懸念、および中長期的には「脱炭素社会」の到来を見越しての需要減などが限月間スプレッドの「バックワーデーション」(期先ほど安い)に表れている。それが買い越し枚数の少なさにも関連している面もあろう。
他方、金は足元の値上がりの割には買い越し枚数があまり減少していない。ジンバブエのように通貨危機から金本位制へシフトする動きや世界的インフレ再加熱への警戒など、地政学リスクだけではない実物資産への需要もありそうだ。原油とは対照的に限月間スプレッドは「コンタンゴ」(期先ほど高い)となっている。
■金銀比価動向、銅価格の変質
足元で銀の先物価格が高騰。大阪取引所の銀先物は国際相場と異なり為替の円安の恩恵をも受けて上げ足を速めている。金価格高騰を受け金より割安な銀へのマネー流入が加速。金価格を銀価格で割った相対的価値の「金銀比価」は1月下旬に90倍超に広がり、金に対する銀の割安さが注目されるようになった面も大きい。更なる倍率低下に向けて最大消費国の中国の景気動向や太陽光パネル向け需要拡大などが鍵となろう。
銅の国際相場も中国の3月の鉱工業生産の伸び減速に関わらず高騰。中国の大手銅精錬会社が3/13、原材料不足対応のため共同減産で合意のほか、米英が制裁により取引所(米CMEと英LME)でのロシア産アルミ、銅、ニッケルの新規受け入れを禁止したことも背景にある。米電気自動車大手テスラ<TSLA>の低価格車開発も銅の需要増に繋がる可能性があろう。
※フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース
イスラエルによる在シリアのイラン大使館への爆撃とその報復としてイランによるイスラエルへの攻撃、更にイスラエルからの攻撃など、中東情勢を巡る地政学リスクが市場を揺さぶっている。地政学リスク深刻化は原油価格と金価格の上昇の動きとして市場に表れている。
米CFTC(商品先物委員会)による投機筋の買い越し枚数では、原油先物は2021年までと比べると多くない。短期的には中国経済など景気の先行き懸念、および中長期的には「脱炭素社会」の到来を見越しての需要減などが限月間スプレッドの「バックワーデーション」(期先ほど安い)に表れている。それが買い越し枚数の少なさにも関連している面もあろう。
他方、金は足元の値上がりの割には買い越し枚数があまり減少していない。ジンバブエのように通貨危機から金本位制へシフトする動きや世界的インフレ再加熱への警戒など、地政学リスクだけではない実物資産への需要もありそうだ。原油とは対照的に限月間スプレッドは「コンタンゴ」(期先ほど高い)となっている。
■金銀比価動向、銅価格の変質
足元で銀の先物価格が高騰。大阪取引所の銀先物は国際相場と異なり為替の円安の恩恵をも受けて上げ足を速めている。金価格高騰を受け金より割安な銀へのマネー流入が加速。金価格を銀価格で割った相対的価値の「金銀比価」は1月下旬に90倍超に広がり、金に対する銀の割安さが注目されるようになった面も大きい。更なる倍率低下に向けて最大消費国の中国の景気動向や太陽光パネル向け需要拡大などが鍵となろう。
銅の国際相場も中国の3月の鉱工業生産の伸び減速に関わらず高騰。中国の大手銅精錬会社が3/13、原材料不足対応のため共同減産で合意のほか、米英が制裁により取引所(米CMEと英LME)でのロシア産アルミ、銅、ニッケルの新規受け入れを禁止したことも背景にある。米電気自動車大手テスラ<TSLA>の低価格車開発も銅の需要増に繋がる可能性があろう。
【免責・注意事項】
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
<日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項>
・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
<日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項>
・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。
※フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース