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2016年08月27日20時00分

【特集】キーワードは「円高耐性」、9月相場の“逆襲高”待つ3セクター <株探トップ特集>

JFE <日足> 「株探」多機能チャートより

―26週線上浮上、鉄鋼・化学・非鉄のリターン・リバーサルが始まる―

 26日の東京株式市場は、日本時間で同日の夜に行われるジャクソンホール経済シンポジウムでのイエレンFRB議長の講演を目前に、買い手控えムードが強く日経平均株価は下値を探る動きが続いた。自動車や電機などの主力輸出株が総じて見送られたほか、不動産、小売などの内需株も下げが目立ち、全般相場は連日の閑散商いのなかで買い意欲の乏しさが浮き彫りとなっている。

 しかし、そのなかで異彩を放ったのが、鉄鋼株を筆頭とした化学や非鉄などの素材関連銘柄の頑強ぶりである。市場関係者によると「ここ最近は鉄鋼、化学などシクリカル銘柄の底入れの動きが意識され、リターンリバーサルの買いに映し出されている」(準大手証券ストラテジスト)という。足もとでは、業種別指数でみても内需の代表である「不動産」や「小売」などが売り物に押されて、26週移動平均線を下回って推移しているのに対し、「鉄鋼 」、「 化学」、「非鉄 」の3セクターはいずれも同移動平均線の上に浮上、底値圏離脱の兆しが顕著となってきた。

●イベント前の軟弱地合いで「鉄鋼」が気を吐く

 この日、業種別騰落率で唯一大幅な上昇を見せたのが鉄鋼セクター だ。新日鉄住金 <5401> 、ジェイ エフ イーホールディングス <5411> の高炉株のツートップが揃って上値を追ったほか、電炉株にも買いが先行するものが目立った。日経平均が後場寄りに下に振られ一時1.4%の下落をみせ1万6320円まで水準を切り下げた場面でも、業種別で「鉄鋼」は2%強の上昇率をキープ、“野中の一本杉”のごとく買われる強さをみせた。大引けも1.3%弱の上昇で着地している。

 16年4-6月期の鉄鋼大手の決算は非常に厳しい内容を余儀なくされている。資源安を背景とした鋼材の販売価格下落や円高による輸出採算の悪化、在庫評価損などが直撃するかたちとなり、新日鉄住金は最終損益段階で146億3800万円の損失、JFEも117億2200万円の損失といずれも前年同月の黒字から赤字に転落した。しかし、4-6月期のこうした悪環境については事前に株価への織り込みが進んでいるほか、直近では売り残が増加する一方、買い残が減少するなど株式需給面の改善も下値サポート要因となっている。

 そうしたなか、日本経済新聞などが、「トヨタが部品メーカーに支給する自動車用鋼材の価格について、今年度下期(16年10月-17年3月)は上期比横ばいで通知を始めた」と報道、これが自動車用鋼材価格の下げ止まり観測につながり、新日鉄住金やJFEなどをはじめ鉄鋼セクターの収益改善期待につながった。幅広い銘柄に売り方の買い戻しや、リバウンドを見込んだ実需買いが株価を押し上げた。

 鉄鋼株の見直し機運について、前出の準大手証券ストラテジストは「中国の景気減速に対する懸念が一時よりは後退している。(中国の)消費自体はしっかりしており、言われるほどに景気実態は悪くない。中国ではGDP伸び率の急低下は政権基盤の揺らぎにつながるだけに、政府当局が経済対策に今後本腰を入れるだろうとの思惑も根強く、底割れリスクは遠のいている」と指摘する。

●切り口多彩な化学株、非鉄株にも打たれ強さ

 また、 化学株にも、買いが先行する銘柄が目立った。カネカ <4118> が一時4%近い上昇で800円台目前まで買われたほか、昭和電工 <4004> 、三菱ガス化学 <4182> 、トクヤマ <4043> 、三井化学 <4183> 、信越化学工業 <4063> なども強い動きをみせている。鉄鋼セクター同様に円高は逆風ながら、原材料価格の低下により、石化事業などのマージンが想定を上回って確保できている。また、自動車向け機能材料や、半導体やリチウム電池といった電子材料への展開で収益を伸ばしている銘柄が多いのが特徴だ。セメントなど建設資材や、抗体医薬核酸医薬など医薬品分野への展開を買い手掛かりに注目されている銘柄もあり、切り口が実に多彩である。

 このほか、素材関連では非鉄セクター にも買いが厚くなっている。最近は銅市況の下落基調が目立っているが、大きなウエートを占める中国向け需要の伸び悩みは指摘されているものの、「南米の鉱山が増産していることによる需給の緩みで、特に中国景気の悪化を反映している印象はない」(国内ネット証券)との見方がある。

 この日は、東邦チタニウム <5727> や大阪チタニウムテクノロジーズ <5726> など航空機向け需要拡大が見込まれるチタン関連、自動車向けや海外の飲料缶材を中心に需要を取り込むUACJ <5741> や日本軽金属ホールディングス <5703> といったアルミ関連などに物色の矛先が向いた。「非鉄 」の代表格である住友金属鉱山 <5713> も堅調な値動きをみせていた。

●流動性に富み、全員参加型相場も

 最近の東京株式市場では、好業績とはいえモメンタム重視で割高に買われた反動が、内需株の上値の重さに表れている。それとは対照的に、円高への耐性がついている今の地合いに乗るのが、これまで放置されていた鉄鋼、化学、非鉄などの素材セクターであり、リターンリバーサルで浮上した自動車や電機などに続く見直し人気ムードを漂わせている。

 「出来高流動性も申し分なく、機関投資家に個人も巻き込んだ全員参加型の戻り相場が期待できそう」(中堅証券営業マン)という声も出ている。信用取組で売り長の(売り残が買い残を上回っている)銘柄も多く、需給妙味も内包している。9月相場では水準訂正高のネクストステージを担う銘柄群として、素材関連株の活躍に改めて注目が集まりそうだ。


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