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【特集】大相場が来る―「3次元NAND」革新で“半導体株”に異次元買い <株探トップ特集>

東エレク <日足> 「株探」多機能チャートより

―IoT本格化で需要急拡大、強気シグナル相次いで点灯―

  半導体関連株が後半相場の一大注目テーマに急浮上してきた。焦点となっているのが、「3次元NANDフラッシュメモリー」などの半導体需要の拡大だ。スマホの大容量化や、IoT(モノのインターネット)時代を迎え、3次元メモリーを含む半導体需要は今後、一段と高まるとの見方が強まっている。東京市場には、半導体製造装置関連を中心に有力銘柄が多く上場しており、今後の相場のけん引役を果たしそうだ。

●米SOX指数は新高値、世界的な需要拡大局面に

 半導体関連の各種指標に強気シグナルが相次いで点灯している。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の発表した7月の北米地域「BBレシオ」は1.05倍に上昇。日本製半導体製造装置の同BBレシオは1.23と8ヵ月連続で1を上回った。

 米半導体製造装置の世界最大手、アプライド・マテリアルズ(AMAT)は第3四半期の好業績などが好感され29日も年初来高値を更新。こうしたなか、米国の半導体関連株の動向を示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は新高値圏で強調展開を続けている。

 もちろん米国に限らず日本の半導体製造装置関連銘柄も軒並み上昇基調を描いており、SCREENホールディングス <7735> や東京エレクトロン <8035> 、アドバンテスト <6857> といった主力銘柄は年初来高値圏で強含んでいる。

●IoT向け需要など急増、日米韓の大手企業の積極投資続く

 この半導体関連銘柄の上昇の背景にあるのが、「3次元NANDフラッシュメモリー(3D-NAND)」への需要急拡大や、回路微細化に伴う「10ナノ(N10)」への投資活発化だ。とりわけ、3D-NANDが高い関心を集めている。これはフラッシュメモリー上にある「セル」と呼ばれるデータを保存する部分を平面上に広げるだけでなく、3次元構造に積み上げて大容量化したもので、スマートフォン向けに加え、データセンターのサーバーなどへの搭載が進んでいる。特にIoTの本格化によるビッグデータの保存の需要が拡大しており、このデータ保存先として3D-NANDへの需要が一気に拡大している格好だ。

 韓国サムスン電子が3D-NANDに積極的な投資を進めているほか、米インテルも設備投資を積極化。東芝 <6502> も18年度までに8600億円を投資し、NANDでの3D製品の生産比率を17年度までに50%に引き上げる方針を打ち出している。不正会計問題で急落した東芝の株価は、この3D-NANDへの期待もあり、足もとでは年初来高値に上昇している。

 また、大手半導体メーカーは、DRAMの回路線幅が10ナノメートル台後半の製品開発を巡りしのぎを削っている。この半導体回路の微細化が一段の半導体設備投資を促すとみられている。こうしたなか、前出のSEMIでは、17年の世界半導体製造装置の市場は前年比11%増と来年にかけ2ケタの伸びを見込んでいる。

●高まる業績成長期待、スクリーン、東芝、ローツェなど注目

 半導体製造装置関連株は「3D-NAND」や回路微細化の「10ナノ」という2つの潮流に乗っているが、同関連株は有機EL製造に関連しているところも多く、展開材料が豊富な点は見逃せない。

 例えば、SCREENホールディングスは半導体・フラットディスプレーパネル(FDP)・プリント基板の製造装置などを手掛け、株価は年初来高値に買われているが、同社は有機ELディスプレイの基板となる高機能樹脂「ポリイミド」を塗布する装置の販売を開始している。また、東エレクの第1四半期(4-6月)の受注は前四半期比7%増となり予想を上回った。同社の17年3月期の連結営業利益は前期比6%増の1240億円が見込まれているが、市場には同20%増の1400億円前後への増額修正期待が膨らんでいる。

 ディスコ <6146> はNAND向けの薄化装置やダイサーの需要が拡大。今期は円高の影響もあり減益見通しだが、来期以降の業績拡大が予想されている。日立国際電気 <6756> は、半導体製造装置を主力としており、3D-NANDでは成膜装置を手掛ける同社への需要が伸びることが見込める。

 日新電機 <6641> は半導体・FPDの製造で使用されるイオン注入装置を手掛けるほか、アルバック <6728> は半導体製造装置に加え有機ELパネルの製造でも関係している。同じく半導体製造装置関連では、東京精密 <7729> や日立ハイテクノロジーズ <8036> なども注目されている。シリコンウエハー関連では信越化学工業 <4063> やSUMCO <3436> への関心が高まっている。

 さらに、半導体の微細化に伴い高機能材料が伸びるトリケミカル研究所 <4369> [JQ]や半導体のウエハやガラス基板の搬送装置の製造を手掛けるローツェ <6323> などにも注目したい。

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